第十六話 戯れ
「自分の意思でバグを顕現できるのか?」
ニケさんを打ち倒して次の日
僕はいつものトレーニングルームでそんなことを言われた
「わかんないですけど…なんでそんなことを?」
「んー…色々とバグについて知っておきたいから?」
と、そんな曖昧な答えを返される
そもそもバグと変わるって…そんなことどうすればいいのやら…
とりあえず…話しかけるようにして心に思う
(あー…バグ?聞こえてる?)
(なんだ?)
本当に話せるんだ…
(当たり前だ。そうじゃなきゃ不便だろう?)
(え…あの…もしかしてずっと心の声筒抜けだったりする?)
(安心しろ。肉体の主導権を持っている奴が話したいと思わない限り、もう1人の方はもう片方に干渉できない仕組みだ。俺もお前もな)
(そんな便利な仕組みなのか…よかったぁ…)
(なんだ?いやらしいことでも考えていたのか?)
(違うわ!!)
そんなこと断じて考えたことはない…ってこの声も筒抜けなのか…少し厄介かも
(厄介とか…言うなよ…で?なんのようだ?)
(なんかジャスティアさんがバグと話したいらしいよ)
そう要件を伝えるとバグは「ふむ…」と声を漏らす
(それをしてなんのメリットがやつにあるというんだ?)
(なんか知らないけど…知りたいんだって。バグのこと。てか、そもそもとして入れ替われるの?)
(入れ替わり自体はできるぞ。互いの同意があればいつでも。俺は全然いいが…お前は?)
(僕も全然いいよ!!じゃあ、ちょっとジャスティアさんと話してから変わるね)
(ああ、わかった)
そう言いながら僕はジャスティアさんの方を向く
「バグ…入れ替われるらしいですよ」
「おっ!!じゃあ早速入れ替わってみてくれ!!」
そう言われ、僕は瞼を閉じる…
その瞬間、僕の体がまるで僕の体でないようなそんな感触に陥った
マモの雰囲気が変わる
まぁ、当たり前というべきだろう
なんせ、別人になったのだから
そして…そいつはやがて口を開く
「要件は?」
奴は警戒を解かない
「そんなに警戒されちゃあ話しずらいぜ?もっと柔らかくいこうぜ」
「どんな奴でも警戒は解かない。それが命取りになるからな」
「それはマモに対してもか?」
「…失礼。マモ以外のやつには警戒を解かない」
「はは…!なんじゃそりゃ!マモだけ特別扱いって…恋でもしてんのか?」
…と、冗談を言いながら他愛もない話を続ける
相変わらず、バグは警戒を解かない
まぁ、はなから解けるとは思っていなかったがな
「この会話はマモに聞こえてんの?」
「聞こえてないさ。それどころか視界も聴覚も共有されてない。なんだ?エッチな話でもするのか?」
「確かにお前のそう言った事情にはちいと興味があるなぁ〜」
「ほざけ、思春期なんてとっくの昔に終わったわ」
「厨二病は終わってないのにな」
「お前もだろ」
マモには聞こえていない…なるほどな。
なら、案外、粗相を犯してもマモにはバレないな。うん
俺はカスみたいなことを考えながら本題に入る
「それじゃあ、本題に入るんだけどさ、俺と一回戦ってみてくんない?」
「…何?」
バグの視線が俺に突き刺さる
「いやぁ…エネルギー量も増えてるからさ?そろそろ満足…とまではいかないがある程度能力も使えるようになったんじゃないか?」
「…確かにある程度使えるようにはなっている。だが、俺がそれを承諾することはない」
「…なんでさ?」
「そんなの…俺がお前に勝てるわけがないだろう?それに俺の能力の手札をあんま見せたくない」
勝てるかどうかは置いておいて、まぁ、能力の手札を見せたくないってのは妥当か
いや、ある程度推測はしていたが、まさか、こんなキッパリ断られるなんて…
「俺からのデートの誘いを断るのか…」
「戦いと書いて、デートと読むな。気持ち悪い」
バグはこっちをため息をつきながら見てくる
気づけば、その、刺すような視線はすでになくなっていて、警戒も少し…ほんの少し解けているような気がした
「こっちからも質問していいか?」
「ん?もちろんもちろん。俺はお前と仲良くしたいんだ」
「ありがとう。それじゃあ聞くぞ」
そう言いながらバグは質問を繰り出す
「お前は俺とマモ…どっちに価値を感じてるんだ?」
そんな質問を…
…くだらない
そんなの決まってるじゃないか
俺はその質問の答えを告げる
「マモ…当たり前だろ?お前よりも何倍も価値を感じてるわ。なんだ?自分の価値がわからなくなったか?」
「…嘘じゃないな?」
「嘘をつく必要がどこにあんだよ」
そう言うとバグの表情がほんの少し緩む
…が、すぐにその強張った顔を取り戻した
「…ふふ。そうか。それはよかった。俺に価値を感じているのはマモが可哀想だからな」
「いい能力を持ってるからな。まぁ、仮に能力がなかったとしても人柄がいいからなんかしらで気に入っていたかもしれんがな」
「…よく…わかってるじゃないか」
そう言いながら、バグは目を瞑る
「それじゃあ戻る。少し…お前のことが好きになった。次会う時は快く迎え入れよう」
「それはありがたいこった。また、お前と話す機会があればいいがな」
「それもそうだな…ふふ…じゃあな」
そう言うとその気配は一気に収まっていく
「バグってこんななんもない空間歩いてるんだ…」
僕はその“白“の空間を歩いていた
前と違ってバグはいない
…まぁ、かといって僕ができることなんて特にないんだけど
僕はその空間を歩いて…歩いて…歩いた
「…ん?」
やがて、一つの物影が見える
僕はそれに近づいて行った
そして、僕はやがてその物の前にたった
「…扉?」
そこにあったのは扉だった
木製の至って健全な扉
…が、その扉には鎖が巻きつけてあった
僕はそれに触れようとする
「マモ。入れ替わる時間だ」
直前でそんな声が聞こえた
「…ああ、バグ!!」
「要件は済んだらしい。ほら、早くしろ。変わってやるから」
「いや、その前にさこの扉について教えて欲しいんだけど」
そういうと元々暗かった顔がさらに暗くなる
なんだかこの扉を見てからバグの様子がおかしい
そして…やがてバグは口を開く
「…お前が知ることじゃない。少なくともまだ」
…と。
「知ることじゃないって…」
「さぁ、変わる時間だ…こっちに来い」
「…わかった」
バグは案外優しい
基本的に隠し事とかもしない
そんなバグが隠すことなのだ
僕はなんとなく詮索するのはダメな気がした
僕はバグに抱きしめられる
入れ替わるためにこんなことをしなければいけないのだろうか
でも、まぁ、悪い気はしないので僕はそのままでいた
そして、だんだんと意識が薄れていく
薄れゆく意識の中、声が聞こえた
「…その“まだ“が来ないことを願うよ」
そんな声が…
こんちは〜レイジネスです〜
忙しい中、書いていて案外つらめ…
まぁ、こんな話別にいいですよね!!
はい!!今回の話では久々にバグが出てきました。
これ実は…ぶっちゃけ次バグが出るところ考えてなくて…
なのでここらで一回忘れないように出しておこうかなって!!
最後のバグの言葉も気になるでしょ?だから、その伏線も!!後々回収するので
是非!!次回もお楽しみください!!




