第十四話 第五部隊トレーニング
その晩は聞いていた通り、圧気さんがロヒケイットを作ってくれた
舌触りが良く、クリーミーで濃厚な味がしたし、中のサーモンがこれまたいい味を出していて非常に美味しい料理だった
が…どうしても村でのことが忘れられなくて、クリーミーな食感とは裏腹に何かが舌の上でざらついているようなそんな感覚に陥っていた
「…まぁ、気にするこっちゃない。そもそもの話、ジャスティアさんが事前に伝えてなかったのが悪いんやし」
そんな僕の様子を見てか、反対側に座っていた圧気さんが声をかけてくれた
いつものように圧気さんは笑みを浮かべながら僕に話しかけてくれる
僕もそれを見て貼り付けたような笑みを浮かべて見せる
「わかる…わかるぞ…自身の美しい…まるで芸術のような力を人前で見せられない辛さを…マモ…僕は君の気持ちを誰よりも理解することができる」
とりあえず、奏多さんが僕の気持ちを一ミリも理解できていないことはわかった
「心のカウンセリングも医者としての責務です。必要ですか?」
「お気遣いありがとうございますタナトスさん。でも大丈夫です」
タナトスさんに言われ、僕はそう答える
これは単なる痩せ我慢ではなく、本音である
それは何故か…なんてわかりきっている
僕には仲間がいるのだ
ちゃんと自分に寄り添ってくれる人たちがいるからこそ
僕の気持ちはどんどんマシになっていった
それでも、落ち込んでいないと言うと嘘になるが、
数時間前よりかは幾分かマシになった
僕はテーブルに置いてあるロヒケイットをスプーンですくい、口に運ぶ
そのスープはとっくに冷めて、冷たくなっていたが
それでも、まだ、どこかで温かみを感じることができた。
そんな気がした
「では、早速始めましょう」
僕はいつものトレーニング部屋でそう言われる
僕は質問する
「いや、あなた誰ですか?」
そう言うと端っこの方でポツリと座っていたニケさんが答える
「こいつは“ガンマ“!私の忠実な部下である!!」
「はい、忠実な部下である“ガンマ・サプレスナイプ“です」
初めに思ったのは綺麗な人だった
金髪とまではいかないが黄色の髪が肩まで続いている
だが、顔は常時無表情である
言うなれば…不思議な雰囲気の人だった
「なんでニケさんがトレーニングしてくれないんですか?」
「いやぁ、私もトレーニングしてあげたいんだけどさぁ…やってほしいと言われたのがまさかの“基礎肉体能力“なの!!要は反射神経とかエネルギーを使わないことを鍛えてやってって言われちゃって。で、私の能力はそんなの向いてないからガンちゃんに任せた方がいいかなって。私がダメ出ししてあげるし」
「あーわかりました」
「マモさんですよね。話は聞いてます。私はさん付けで呼びますが、マモさんは別にガンマでもガンちゃんでもガンマきゅんでもなんと呼んでもらっても構いません」
無表情でそんな顔を言われたので思わず笑ってしまいそうになる
「じゃあ、ガンマさんって呼びます」
「ありきたりすぎてつまらないですね。もっと面白い名前つけてくれたら私も笑えるのですが、何にせつまらないので笑うことは困難ですね」
2回も言わなくていいじゃないか!!
自身がつまらないって言われたら流石の僕でも傷ついてしまう
そんなことを考えているとガンマさんは腰元の拳銃を取り出した
「ただの拳銃に見えますが、これは“魔道具“です」
「魔道具?」
初めて聴く単語に僕は聞き返してしまう
「知らないのも無理はないです。と言うのも魔道具というものは私たちが作り出した物ですから。それに使っているのも世界連内で私と第三部隊の“切海“さんだけですし」
そう言いながらガンマさんは魔道具の説明を始める
「簡単に言えば、特殊効果のある武器や物の総称を魔道具といいます」
すると、ガンマさんは突然その拳銃を上に向け、引き金を引いた
『バン!!』という音が音を振動し、僕の耳に入ってくる
僕は目を見開いた
しかし、その驚きは拳銃の耳を劈くような音のせいではない
拳銃から放たれた弾丸のようなものが天井と床を往復しているではないか
「この拳銃には打たれた弾丸をバウンドさせる特殊効果がついています。また、弾丸はエネルギーなので込める量によって威力を上げたり、下げたりできます」
そう言いうとガンマさんは僕に銃口の先を向ける
その指は引き金に置かれていた
さっきまでうるさくなっていた反響音はすでに止んでいて
そこにあるのは静寂だった
その静寂を壊したのはまたもやガンマさんであった
「避けてください」
刹那、また『バン!!」という音が鳴り響く
僕はそれを寸前で避ける
銃弾の速さは避けられる物では無いが銃口の向きからある程度軌道を予測できるのだ
故に寸前と言ったが、案外楽に避けられた
そんなことを思っていると
「ダメですよ。エネルギー応用術を使っては。練習の意味がないじゃないですか」
エネルギー応用術を使ってはいけない?
待て待て、かなり話が変わってくる
エネルギー応用術…特に強化と一点を使うことで速度を上げることが今までできていた
それをせずに銃弾を避けろと?
ただ、ガンマさんは思考する間も待ってくれず…
『バン!!』と3発目の弾丸が放たれる
僕は今回は応用術を言われた通り、使わず避ける
ただ、やはりエネルギーを使えないというのは苦しく完全に避けることはできなかった
その弾丸は僕の頬にあたる
「痛い!!」
痛い…確かに痛い…が…
それは痛いだけであった
例えるなら、鞭で打たれているような
そんな感覚だった
「出血しない程度のダメージを与えます。痛いものは痛いですが」
そう言ってガンマさんはまた銃弾を放つ
僕はそれを身を屈めることで寸前で避けることができた
髪の毛には当たってしまったが…まぁ、体に当たらなければ問題ない
「ふむ…なら、少しレベルを上げてみましょう」
そう言ってガンマさんは3発の弾丸を放つ
しかし、その銃口は僕ではなく
いろいろなところに向けられ、放たれた
…何をしているんだ?この人は?
そう考えた刹那
背中に衝撃が走る
3回の衝撃…とどのつまり…
「銃弾を壁に反射させたんですか?」
「はい」
質素な答えを返すガンマさん
不可能なことではない
ただ、軌道を完璧に予測しないとできない芸当だ
並の人間にできることではない
そう考えているとガンマさんは口を開いた
「これから一ヶ月間、一緒に頑張りましょう。そして、たくさん苦しむ顔を見せてください。私、ドSなので」
と…無表情のままガンマさんは告げるのだった
一ヶ月間ただただひたすらにその弾丸を避けるというのは苦行だった
何にせ面白みがないのだ
しかも、多分、ガンマさんがドSと言うのは事実で後半は確かに避けれるようになったが、その弾丸は肩をかすめていた時血が出ていた
要は多分体に当たっていたら貫通するのは免れないだろう
ただ、そのトレーニングも今日で終わりだ
「それでは、ガンマさんありがとうございました」
「…もう終わりですか」
なんで嫌そうなんだこの人
ガンマさんはその拳銃をクルクルと人差し指で回している
その目はいつも通り無表情であったが、様々な気持ちがこもっていそうだった
その時だった
「ちょっと待ったぁ!!」
…と、ニケさんが立ち上がってそう叫んだ
「なんですか?」
「最後に私と戦ってこの一ヶ月の成果を見せてくれ!!」
ニケさんと戦う…?
考えたこともなかった
なんなら、叫ばれるまで存在を忘れていたほどだ
ニケさんは…第五部隊の最高責任者はどんな能力を持っているのだろう
というか、第五部隊の人たち…ガンマさんもニケさんの能力も僕知らないな…一ヶ月間一緒に過ごしていたのに
ただ、もちろん僕は
「…わかりました」
と…承諾する
「それでは定位置に立て!!」
“定位置“と言うのは僕とガンマさんがトレーニングをするときにいつも立っている場所のことだろう
僕はそこに立つ
真逆のところにすでにニケさんは立っていた
「ルールは簡単!!私の攻撃を鍛えた動体視力で避けてね!!そして、私に攻撃を与えること!!私はこの場から動かないから。あ、能力もエネルギーも使っていーよー!それじゃあガンちゃん!コールよろしく!!」
「かしこまりました」
ルールはわかった
まぁ、いつも通り、一撃与えたら勝ちと言うやつだ
場には静けさが漂っている
そんな静寂を壊したのはまたもやガンマさんだった
1日目のことを思い出す
ガンマさんはゆるい声で告げる
「れでーふぁいとー」
緊迫感がないなぁ…
そう思いながら僕は身構える
見れば、ニケさんは手と手を合わせていた
そして、その手からは少し光が漏れている
その手に全神経を集中させる
そうして、その手は開かれた
『ミラーマジック』
この人も光系の能力者なのか!?
次の瞬間、部屋全体に光の光線が放たれる
その光線は壁に反射して、僕の方に一直線に向かってくる
『壁羅』
僕は当たりそうなところだけに壁羅を展開する
僕の壁羅もかなり強度が上がった
故にこの程度の光線なら止めることができる
「いいね!!次々!!」
まるで僕の技量を見定めると言わんばかりに
また、手を合わせたのだが
「青…?」
手からはさっきと違い青の光が漏れている
そう疑問に思っていると手は開かれる
『サブマリン』
僕は目を見開いた
なんと言うことだろう、手から大量の水が流れ出ているではないか
『リバースグラビティー!!』
“リバースグラビティー“は僕の能力の一つ重力の技だ
名前の通り、自身にかかる重力状態を反転させる
つまり、僕は地から今天井に立っている
この状態は血が頭にのぼるのであんまり長い時間使いたくないのだが…
僕は天井に張り付きながら質問する
「光系の能力者じゃないんですか?」
…と。
光と水を使う能力者なのだろうか
やがて、ニケさんは口を開く
「これは能力じゃない…“魔術“だよ」
こんにちは!!レイジネスです!!
いやぁ、ごめんなさい!!ゲームしてたらめっちゃ開いちゃいました!!
はい、本当にごめんなさい
と言うことで期間が空いちゃった理由でした
今回は魔道具とか魔術とか色々出てきましたね
魔術の説明は次にするとして
魔道具は現在ガンマと切海の2人しか使っていない
切海はまたいつか出します
そして、ガンマの能力はなぜ公開されなかったのか
これ別に特に深い意味はなくてただただ、出す場所がなかっただけなんですよね
別にここで出しちゃってもいいんですけど…まぁ、のちのお楽しみとして今回は隠しときます
次回はさっき言った通り、魔術の回だよ!!
是非、お待ちください!!




