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カルマは一人、王宮へと足を運んでいた。
勇者になったものは必ず王様に会い、勲章を授与されなければならないらしい。
足取りは重い。
職員室に呼び出された時くらい、足取りが重い。
途中まで友達(二人)についてきてもらったが、
授与式には本人と王だけしか立ち会う事ができないらしい。
「あ!そうだそうだ」
ポケットから貰った聖錠を一粒取り出し口の中へ放った。
(ここが王宮か…デケェなー。)
その城は天まで聳え立っているのかと思うほど大きかったです。(小並感)
「これどうやって入ればいいんだ?
とりあえずノックだよな。でもこう言う時の
ノックって3回だっけ?2回だっけ?
なんか『〜回だとトイレのノックになる』みたいな事を聞いたことあるけど……」
カルマはそっとドアに指を近づけた。
「いや!よく考えろ!!俺は勇者になるんだ!
それなのに普通のノックじゃあ格好つかないじゃあないか!!」
カルマは大きく息を吸い込んだ。
『コンッコッココンッコンッ』
「雪だるま…」
「インターフォンありますよ」
扉の横にはこの伝統的な城とはどう考えても不釣り合いな、近代的なインターフォンが設置されていた。城にインターフォンがついてるなんて、誰が気づけると言うのだろうか。
「今開けますね」
「………」
巨大な扉がギギっと開くと中は、モノホンのディ◯ズニーの城のような内装になっていた。
正面には大きな階段がどっしり構えていて、執事であろう黒服の女性が軽く会釈をし、すぐさま案内された。
案内された部屋には一人の黒服の執事が立っていた。一眼見ただけで分かる。他の執事とは何か違う。『年季が入っている』と言う程歳をとっているようには見えないが、明らかに異様なオーラを放っていた。その男は会釈をし、カルマに座るよう促した。
「あなたが優勝者のカルマ・コールマン様ですね」
「はい」
「履歴書を拝見しましたが…いやはや面白い経歴をなお持ちで…」
「あ…アハハハ」
「えーと…あの聖ヨハネ大学を主席で合格し…
TOEIC942点、パ◯スマの残金が10万、
マイブームが大気圏突入で…親兄弟は……」
(なんかよく分かんない言葉がいっぱい出ているがあの爺さんが何とかしてくれてるっぽいな。)
その男は淡々と履歴を読み上げ、その長い長い経歴書を閉じた。
「以上が貴方の履歴で間違いありませんね?」
「はい!」
(案外楽勝じゃん!!)
「では最後に…」
そう言うと男は立ち上がりカルマを見下ろした。
数秒間重たい沈黙が流れ、二人の間に緊張が走った。
「あなたは……………ですか?」
よく分からないどう言う意味だでも何か質問のされ方的に『はい』って答えるやつだろうな。
質問に答えるとその男は表情を緩ませ軽く微笑み、
部屋から出て王の元へと再び案内された。
門の前で待っていた二人は、カルマの帰りが遅いことに親の如く心配していた。
「アイツ大丈夫かな?」
「カルマを信じましょ」
その時門が開く音がした。
「待たせたね」
そこにはカルマがニヤニヤしながら立っていた。
「気持ち悪いぞオッサン」
ノヴァはそんな言葉とは裏腹に少し嬉しそうだった
「いやさあ、なんかすごいメイドさんにモテちゃった。ここにきてモテ期きたかも」
カルマは鼻の下を伸ばし、とても気持ち悪い顔をした。
「で!もらえたの?勇者の勲章!!」
「あったりめぇよ!」
カルマの手の平には親指の関節ほどの大きさの
バッチが置かれていた。
「おおーすげー!でもこれどうやって使うんだ?
てか、何かな使えんのかこれ?」
カルマは得意げに笑った。
「見とけよ〜」
そう言ってその手を握り、再び開くとそこにはバッチの姿はなくなっていた。
「そんで〜」
そうカルマ手のひらを返すと、バッチと同じ紋様が手の甲一面に入れ墨のように映し出されていた。
「からの〜」
そう言うとまた手を握り、開くと、その手の平には
あのバッチがあり、そして手の甲に描かれていた
紋様が消えていた。
「すげ〜!手品みてぇ」
「だろだろ!はいパッパッパッパッ」
「ちょっ!俺にも貸して!!」
「そ・ん・な・こ・と・よ・りこれにどういう
効果があんるの?」
「ええ〜っとね〜…あ!そうだそうだ!説明書もらったんよ」
「説明書!」
「2年保証だって」
「2年!!」
アイニスは呆れた様子を見みせ、説明書を渡せと言わんばかりに手を出した。
「貸して」
「は…はい」
「えっと…宿代の全額負担…団体での瞬間移動……
関所の顔パス…使用者と使用者の仲間の潜在能力向上、成長力などの飛躍的な増加…エトセトラエトセトラ…これ本当にすごいわね!!ここまでくるも人生つまんなくなりそうな!」
(ハンターライセンスか)
カルマから説明書を奪い読んでみると、この勲章がバカにならない程すごいものだとわかった。
「落とすといけないからちゃんと持っておきなさいよ!」
そう言うとカルマはすごいニヤニヤしながら手を
グーパーグーパーさせアピールした。
「わかったから!そうしておいてよ!」
その時背後から見覚えのある3人の男女が声をかけた。
「先日は主人を助けて頂きありがとうございました」
若い女性がそう言うと3人は深々とカルマにお辞儀し、3人は呆気に取られてしまい、なんと答えていいのかわからなかった。
ノヴァとアイニスに至っては何に対して感謝されているのかすら分かっていなかった。
3人が顔を上げると、アイニスは見覚えのある二人の女性に気が付いた。
「あ!あの時の…」
決勝戦前に色々あった時に居た女性達だ
「はいその節は…」
ノヴァは未だ誰が誰だか分かっていない様子だった
その時自ずと男性が口を開いた。
「僕はあの時ほとんど意識がなくて何も覚えていないのですが、医務室の先生と母と妻が教えてくれたんです。あなたがくれた薬のおかげで助かるはずのない瀕死状態から、ここまで動くことができるようになりました。本当にありがとうございます。」
男性は涙ぐみながら又さっきより大きく、お辞儀をした。
「妻が今妊娠していて、あの時死んでしまったら
子供に会う事は永遠に出来ませんでした。でもあなたが助けてくれて、仇もあってくれた。本当にいくら感謝してもしきれません。」
「顔を上げてくれ。俺はそんな大層な人間じゃないんだ……」
カルマは何故か一瞬哀しそうな顔を見せ、何かを言いとどめた。
「息子のこと大事にしな」
三人が去った後、アイニスとノヴァは唖然としていた。今目の前にいるカルマは本当にあの、ふざけていて、意味不明なことをずっと言っている変なオッサンなのかと。
「カルマ、さっき何か言おうとしてなかった?」
カルマはまた哀しみに満ちた顔をし、話し始めた。
「俺があの時に使ったのは、黎剣の力を凝縮した欠片みたいなもんなんだけどよお。この力はさ、自分以外に使うようにできてないんだ。」
「え、」
「……だから自分に使うのより量も力も大きく消費する。その上あの重症だ。俺には彼を完璧に直すことはできなかった。」
「それって……どう言うこと?」
「俺は彼を延命しただけだ。いつかとは言えないが、きっと持ってあと二、三ヶ月で彼は……」
その時アイニスが小さな手で、カルマの胸ぐらを力一杯掴んだ。顔には悔しさと、いく当てのない怒りでいっぱいだった。
だがカルマは何も言わなかった。そしてとうとうアイニスは胸ぐらから手を離した。
そしてアイニスは、楽しげに話す2人の夫婦とその母親の背中を見ているしかなかった。この後に待っている絶望は今の自分が感じているものと比になるものではないと考えると、アイニスは目を逸らすしかなかった。
「ってかこれから俺達何をするんだ?」
唐突に何も知らないノヴァが質問した。
「えっと…王様が言ってたのは、なんか『北の魔王を倒せ』的なことを言ってたような…」
「おいおい勘弁してくれよ『北の魔王』ってやばい奴だろ」
「そうなのか?(てかそもそも魔王って自体でやばいのでは)」
「北……ねー。まぁ良い機会だしな」
その時カルマが何か閃いたように手を上げた。
「一人仲間増やしてもいい?」




