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一幕 ~四谷の章~ 中編

「ひいっ!」

何者かに肩を掴まれた幽奈は、手を夢中で振りほどき、必死に走った。

すると目の前に懐中電灯の光が見えた。

「えっ?誰か人がいるの!?」

幽奈は藁をもすがる想いで、その懐中電灯の持ち主に近寄った。

……一人の女生徒が懐中電灯を持って立っていた。

「どうしたの?そんなに慌てて……。」

懐中電灯の主は……。五十嵐さんだった。

「そっ、そこに何か……。」

必死で説明するが、懐中電灯の光を当てて探してもその何か、は見当たらなかった。

「……あ……れ、おかしいな……。」

そう考えるものの、居ない方がいいので安心した。

幽奈は、落ちている懐中電灯を拾い上げる……。ふと、周りから指す明かりに気付く。

外は明るかった。校舎の電気は消えているものの、外から指す明かりは周りが見える程の明るさだった……。

その明かりを見て落ち着き、冷静さを多少取り戻した。

……「あれ」は、何だったんだろうか……。それと、

「五十嵐さんはどうして、ここに?」

まあ、私も居るわけだからそこまでおかしい訳ではないのだが。

「……今夜は月が綺麗だからね。色々出てくると思って。」

……色々?どう意味だろうか……。多少疑問が残るのだが、怖いからすぐに帰る事にした。

「待ちなさい、一人は危険よ。玄関口まで一緒に行ってあげる。」

「え?……あ、ありがと。」

玄関口に戻り、靴を履き替える。

「えーと、五十嵐さんはまだ帰らないの?」

振り向くと……誰も居なかった。

「あ、あれ?五十嵐さん?」

周りを見渡すが見当たらない、呼んでみても返事は無かった。

……そしてふと思った。

五十嵐なんて名前の生徒、三年に居たかな……。いや、まあ。居るとしたら一年か二年だろう。一応三年生は全員、顔と名前は把握しているのだから……。


──家に着き、部屋に戻ると携帯電話が光っていた。

「あ、あれ?私携帯電話置いて行ってたの?」

今気がついた……。携帯電話があれば多少の明かりになっただろう……。

しかし、携帯を見て凍りつく……。

「着信48件……?」

……少し、不気味さを感じた。そして鳴り響く携帯電話……。

幽奈は……恐る恐る電話に、出た。

「もしもし?」

「あ、私よ。五十嵐。」

───────五十嵐さん?

「ど、どうして私の携帯の番号を……知ってるの?」

………………。

無言だった。……しばらくして。


「貴方のね……一番の親友に教えて貰ったのよ……フフフ……。」

一番の……親友?……一番の親友と言えば、一花だ。

「一花……とは仲がいいの?」

…………。返事が遅い。


「貴方と……同じ位にはね。」

…………。

「と、ところで何の用?」

…………。

「廊下で財布を拾ったのよ、一花に見せたらやはり貴方のだって……。」

……あっ。財布無いや……。あの時落としたんだ。

「生徒会室の机の中に入れておいたわ。」

「あ、ありがとう。」


「……あ、それともう一つ。」

「今日はもう学校に来ちゃ駄目よ?さっきみたいに危険な目に会うわよ?」

……えっ!?

「……いい?絶対によ。……次は……命の保障は無いわよ。」

……え!?一体どういう事なの?意味が分からないし怖くなった。しかし、まあ。行くことも無いのだが。何故こんな話をするのか疑問だった。あの……「なにか」と関係があるのだろうか……。

それともう一つ気になる事が合ったので聞いてみた……。

「い、五十嵐さんは……何年何組なのかな?」

………………。


返事がない。……いや5分程度経過した後に声が聞こえ出した。


「3年……1組よ。」

…………。


「そう……財布の件ありがとうね。じゃあ切るね。ありがとね。」

「いい?絶対に来ちゃ駄目よ……次は……」

……プツンと、そこで電話は途切れた……。


「おかしいでしょ?3年1組?私のクラスよ?五十嵐なんて名前の人は居るわけがない!見たことも無い!それに……。私は学校から真っ直ぐ帰って来た。それなのに、私の家より遠い一花に会った?」

どう考えてもおかしかった……。


……そしてまた、すぐに携帯電話の着信音が鳴った。

「はい。」

とりあえず出てみる幽奈。内容は……。


「やっぱりすぐに、学校まで財布を取りに来てくる?」

…………?

「どういう事?さっきは絶対に来るなって……言ってたじゃない!?なんで?」

………………。

…………なんで。


「気が変わったのよ……来るの?来ないの?」

「行かない!別に何時でもいいでしょ?財布なんてっ!」

…………。

「良くないわよ……来ないなら……貴方の家まで行くわ……知ってるし……住所、くすくす。」

……………。

「な、なんで……知ってるの?」

…………。

「言ったでしョウ?あナタのオトモダチにキいたッテ……。くすくすクス。」

……………。

声が……おかしい……なんなの!?


「あ、貴方誰よ!?……い、五十嵐なんて名前の人、ウチのクラスにいないわよ!」

………………。

………………。

………………。


「くすくす……フフフ………あははははははははははははははははははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。」


怖かった……泣き出してしまいそうだった……。


「来たくなければ、いいのよ?それでも。そうね……30分待ってあげる。それまでに来なかったら……命 ハ ナ イ !!」

ブツッ……ツーツー……。

そこで、電話は切れた。幽奈は泣きながら走った……。

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