第一種接近遭遇
入試が終わって、発表を待つ間、MHK短歌に投稿したんだ。ぞの週のお題は、テーマ「星空」だった。実は、去年のクリスマスシーズンに中学の憧れの子との間に、「最後のクリスマスイベント」を期待して、その妄想の産物として、
オーロラの空そりに乗り探したい君へのカードに書く決め台詞
の一首が短歌ノートに走り書きで残ってて、この一首は、まさに「ピカッ」て感じでひらめいたんだけど、これを改作した、
星空の下ジャンプして掴みたい告白するためのひとことを らっこ三世
これがその投稿した一首で、驚いたことにMHK短歌に入選したんだ。そして担当の人から電話をもらっていたんだ。放送日と、あと、放送までは入選歌を他のメディア、媒体で発表しないでほしいって言ってた。
その1か月後の日曜の今日、番組で発表されたんだ。最初の投稿が入選したんだ。驚いたよ。嬉しかった。これで、明日、文芸部で先輩たちとわたり合うのにも自信ができた。僕には短歌の才能があるに違いない。文芸部のだれよりも。そうかな。そうだ、そうに違いない。そして、部員をまとめあげて「全国高校生短歌大会」に参加、優勝するんだ。そうに違いない。
ところが、MHK短歌の話はこれで終わりじゃないんだ。
星空の星をつなぐよ星空のあれが四つ葉のクローバー座 かのうぷす子
かのうぷす子の一首が、三席に入選していたんだ。
かのうぷす子とらっこ三世がランデブーした朝だった。「今日はふたりの短歌記念日」いやいや恐れ多い。一か月後には、MHK短歌テキストに、今日のテーマの入選者、佳作者が掲載される。一冊八百七十円。
明日、月曜は、らっこ三世のMHK短歌入選の実績を引っ提げて、文芸部へ入部希望を出しに行くことになる。肩で風切ったりしないように、あくまで謙虚に。