~クラス対抗魔法戦後から対策を考えてみる~
~クラス対抗魔法戦後から対策を考えてみる~
クラス対抗で重要になるのは上位陣に誰がいるのかだ。
私とシャーリーについてはわかっている。攻略対象であるショタっ子のセリアンくんも他の人よりはステータス値が高いから上位陣に組み込めるだろう。
そう思っていた。
だが、セリアンくんはこう言って来た。
「僕は出ないよ。だって、僕が出たら成績残しちゃうじゃない。それに、そんなことしたら『しフ』ちゃんが悲しむものね」
なるほど。そう来たか。これはゲームにはない展開だ。でも、あのあざとすぎるチート主人公はそういう手を使って来たのか。
まあ、クラス対抗はこれから何回もある。今回はいいけれど次はこう行かないと思いなさいよね。
ちなみに、結果だけれど、チート主人公は1位。私が2位、シャーリーが3位。そして4位は第一王子である、アルベイン・フォン・スミュールだった。
なんだか私とシャーリーに負けたアルベイン王子は「不正だ!」とか「これだから女は」とか「男を立てられない女はいらん」とか言って来た。
それ言うのなら1位のチート主人公はどうなんだよって思った。
「しフ嬢は努力した結果なんだ。お前らは不正をしたに決まっている」
「なら、その不正の証拠はあるのでしょうか?まさか、証拠もなしに公爵令嬢2人を攻め立てているわけじゃないですよね?もしそうなら王妃様にご相談しないといけないかもしれません」
私がそういうと「うぐぅ」とか言ってアルベイン王子は黙った。
王妃は怖いものね。私もできれば関わりたくないんだよね。あの王妃と関係が切れると考えるだけでもこの残念王子との関係は切り捨てたい。
婚約破棄だけなら今すぐできるけれど、こうアルベイン王子が確実に悪いと思わせる決定打が欲しいんだよね。
「まあ、いいだろう。今度はもっとばれないように気を付けるのだな!」
そう言って去って行った。
うん、アルベイン王子については正直どうでもいいけど、水クラスについてはどうにかしないと行けないと思った。
ショタっ子のセリアンくんがクラス対抗戦に参戦してくるとは思っていない。おそらくセリアンくんはクラス対抗戦を辞退することはあのチート主人公『しフ』に良い事だと思っているんだろうな。
セリアンくんの実家に働きかけるのも一つだけれど、普通に欠席していることについてどうなのか学園に問い合わせるのもいいかも。まあ、気持ちも入らず惰性で参加されるのも嫌だしね。
クラス対抗戦は上位を占めたのは火クラスだった。おそらくあのチート主人公はクラスの人間を鍛えたんだろうな。
人脈作りにもなるだろうし、感謝もされるだろうな。マジックポーションも安くないものね。うちやシャーリーの所はある程度お金には融通が利くけれど。
アルベイン王子が言って国庫のお金を動かしたか、軍が保有するマジックポーションを動かしたのかも。
多分、ちゃんとした手続きはしてないだろうな。この辺りは私ではできないから王妃様に手紙を書いておこう。
王妃様は息子であるアルベイン王子を少し見捨てている感があるからな。どうなるか楽しみだわ。
とりあえず、私もチート主人公がしたようにこのクラスの誰かを鍛えよう。全員を鍛えるのは無理だ。そこまでマジックポーションを捻出できないし、お父様も絶対に認めてくれないだろう。
使えるお金は決まっているのだ。だから、成績、身分、実家などを吟味しないといけない。
私が悩んでいたらシャーリーが声をかけてきた。
「あの火クラスは私たちまでじゃないですけれど、鍛えていましたわね。情報の出所はどこなのかしら?」
私が裏切っているとか思っているのだろうか?
「あなたに不信感はないわ。そんな時間がないのはわかりますし、あなたの後ろにいる影がそんな不義理を認めるとも思いませんものね」
シャーリーは私の後ろにいる黒い服を着ていて無言の男性を見てそう言った。私には王妃から影が付けられている。影は私に語りかけることはないし、気配も消している。
「ありがとう。私たちには敵がいます。いいえ、このスミュール王国を堕落させようとしている敵なのかもしれません。ただ、まだ証拠はありません。なので証拠を集める必要があります」
影が居る前でこういう事を話せば王妃にも伝わる。だから、技と話したのだ。
今は私の敵であるチート主人公である『しフ』が邪魔をしてくるということを共有できればよかった。けれど、ここで話したことが後に思いがけない出来事になっちゃうんだよね。