~複合魔法を教えてみる~
~複合魔法を教えてみる~
「さっきのは一体なんだったでしょう?」
シャーリーはそう言って笑っていたけれど目は笑っていなかった。
「私の婚約者が無礼をして本当にすみませんでした」
私はここに居ないアルベイン王子に変わって謝罪した。
「あのような短慮な方が婚約者だと大変ですわね」
「まあ、行事の時以外は特に顔を合わすこともない関係でございますし。それに、何やら今まで女性に免疫がないのか言い寄られてちょっと色ボケしているみたいで本当にお恥ずかしい限りです」
主人公の見た目は明るくてかわいいと言う感じだ。けれど、貴族社会としてのマナーは身に付けていない。
話し方、所作、ルール。そう言ったものをすべて無視しているのだ。私もシャーリーも幼少期より教育をみっちり受けているから自然と振舞えるけれど、あのチート主人公『しフ』はひどいものだった。
「確かに今まで見たことがない毛色の違う雌猫がいましたわね。あんなのと同じ学園だなんて品位が落ちてしまいますわ」
シャーリーはそう言って扇子で何かを払うしぐさをした。
「そうそう、複合魔法について説明をしたいと思います。よろしいですか?」
「ええ、もちろんですわ。それを楽しみにしていましたもの」
この世界の魔法は単純だ。最初は自分の属性の基礎魔法をマスターし、次にどんどん魔法レベルを上げ、ステータスアップを目指すのだ。
レベルアップ時に差が出るのが個人の資質なのだ。チート主人公はすでにステータスがカンストしているため、レベルを上げて上がるのはHPとMPだけだ。
そして、MPについては別にレベルを上げなくても上げることができる。一度MPを枯渇させて、マジックポーションというアイテムを使うか一晩眠って回復させるかだ。
そうするとMPは『1』だけ絶対に上がるが、この事はゲームでしか知られていない。
そのため、プレイヤー以外は大体MPが低かったんだよね。おかげで模擬戦とかかなり楽だった。
「簡単に言うと水と土の魔法の両方を同時に発動させるの」
「それだけMPがすぐに枯渇するだけですのよ」
「MPは枯渇した後に回復させれば『1』だけあがるの。続けて行けばMPはレベルアップしなくても上がっていくわよ。見るといいわ」
そう言って私は『火』と『風』の魔法の発動させた『ファイアストーム』を上空に撃ちつけた。
「え!?何この威力!!!」
ってか、シャーリー。お嬢様口調じゃなくなっているわよ。
「わかったかしら?大丈夫。ここにマジックポーションは大量にあるから何回か試してみるといいわよ」
レベル1だとMPは4くらいだ。つまり、同時に魔法を発動させたら2回しか使えない。
そう、これが単一の属性持ちと複数の属性持ちの差と言われているのだ。複数の属性持ちはあまり魔法を使えないと思われているし、MPもすぐに足りなくなる。
だから複数の属性持ちはダメだと思われているのだ。
すでにシャーリーは何回か魔力枯渇、回復を繰り返している。
あ、そろそろだろうな。
「ごめんなさい。ちょっとお花摘みに」
そりゃそうだろう。あれだけマジックポーションをがぶ飲みしていたらトイレだって近くなる。
最初はすぐにMPが増えていくから楽しくてついついやってしまうんだよね。
でも、これでクラス対抗戦は面白い結果になるかも。まあ、チート主人公には勝てないけれど、それ以外には勝てるものね。
なんて思っていたけれど、あのチート主人公がやってくれたんだよね。