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~好きに話させてみる~

~好きに話させてみる~


「私はぁ、そこにいる悪役令嬢のオードリーヌに突き落されたのよぉ。みんなひどいとぉ、思うでしょぉ」


 くねくねしながらチート主人公はそう言っている。まあ、『ハナコイ』のゲームだと主人公が何をしてもうまく行っていたものね。


 だって、それはゲームがちゃんと進行するようになっていたからだ。


 けれど、この世界はゲームではない。


「おかしなことを言うね。コンラディン公爵令嬢は君が階段かた落ちたと主張する時は別の棟にいたんだよね?」


 国王がにやにやしながら私に話しかけてきた。


「国王陛下。発言することをお許しください」


 私はうやうやしく頭を下げながらこう言った。国王が話しかけてきたとしても、勝手に発言をして許されるものではない。


 まあ、そういう『当たり前』のことをチート主人公はしないんだよね。


「うむ、許そう」


「ありがとうございます。レイリ男爵令嬢が階段から落ちたと主張される場所は南棟の階段だと聞いております。けれど、私はその時は東棟に居ました。私は一人ではなく、セギュール公爵令嬢、ジビル子爵令嬢、リット子爵令嬢、オリウ子爵令嬢と一緒に行動をしております。そのことは王妃様につけていただいております影にも証言いただけるかと思います」


 侍女のクロエも一緒にいるが、侍女の証言は証拠にならない。


「影から報告は聞いていますわ。コンラディン公爵令嬢はレイリ男爵令嬢に鉢合わせないよう注意をしていたようです」


 影がそう報告してくれた。まあ、影はずっと見ていたから知っているよね。そして、私よりの証言なんかしてくれるわけがない。


「はぁ?何よそれ。避けるとかって苛めじゃない。ねえ、ひどくない?」


 あれ?チート主人公が甘ったるい話し方じゃなくなったぞ。


「学園内で自分がどう思われているのか知らないのでしょうね。ふふふ」


 シャーリーがくすりと笑いながらそう言って来た。チート主人公は不作法者とか、貴族崩れとか言われている。


 あんなのと一緒に居て自分もマナーができていない非常識な人と思われたくないものね。


 火クラスの人はあのチート主人公に魅了されているのか、金で買収されているのかどちらかなんだろうな。


「な?ま、まさかぁ、こんなどうどうとぉ、私のぉ、悪口をぉ、言ってくるなんて、あなたぁ、性格わるいでしょうぉ!」


 チート主人公が地団駄を踏んでいる。あざとさしか感じないし、ちゃんと教育された貴族の子供ならそんなこともすることもない。


 つまり、自ら礼儀作法がなっていないことを開かしているだけだ。それにシャーリーは悪口を言っていない。『知らないだけ』としか言っていないのだ。それで反応するということは学園内で流れている噂をチート主人公は『知っている』んだろうな。


「君が誰にも突き飛ばされていないことを証言できる子もいるんだよね。ベリー侯爵令嬢はいるかな?」


 国王は席でバタバタしているチート主人公を無視して話しを進める。にやにや笑っているのが怖い。


「はい!」


 手を上げベリー侯爵令嬢がやってきた。ベリー侯爵令嬢の髪色は私と同じ金髪。けれど、私と違って立て巻ロールにはしていない。


 ウェーブがかかっていて、長さは胸付近くらいにある。髪はまとめていたり、アップにしたり日によって違っているちょっと面白い子だ。


「ベリー侯爵令嬢が見たものを説明してくれないかな?」


 国王がにやにや笑っている。もうこの笑顔が怖いとしか思えない。


「かしこまりました。まず、私が階段の踊り場に、キューブ男爵令嬢と共にたどり着いた時、地面に横たわって、いきなり叫ぶレイリ男爵令嬢がいました」


 階段から転げ落ちるどころか最初から地面に横たわっていたのか。それはまた。ってか、あんたのステータスなら傷一つつかないでしょうが。


「違うわ!私はそこの女に押されたのよ!」


 いきなりチート主人公がきれた。


「それを証明できるのかな?」


 国王がそう言ったが笑っている。


「駆け付けた時はしフ嬢は怪我をしていたんだ!」


 アルベイン王子がそう言う。


「ふ~ん、怪我ねぇ?どこを?医務室に行った記録もないみたいだけれどね」


 国王は更に笑っている。そこまで調べているんだ。


「私は、絶対に、後ろから、押されて、階段を落ちたんです。なんでわかんないかな!」


 チート主人公が国王に向かってそう叫んだ。一体何回チート主人公は地雷を踏むのだろう。


「あそこにいる何かが、そう言っているが調査をしたんだよね?」


 国王がそう言い捨てた。ってか、すでに貴族名でも君でもなくなっている。


「あの後踊り場、階段を調べましたが、誰かが転げ落ちた形跡はありませんでした」


 影がそう報告してきた。ってか、そんなことまでしたんだ。


「うむ、ご苦労。ということで、自作自演だということがわかったね。じゃあ、これからはアルベイン。君が犯した罪についてだ。覚悟はできているかい?」


 国王の笑顔は今までと違って黒いものになっていた。実の息子に向ける笑顔じゃない。


「はあ?お前バカか?こっちは階段から落ちたって言ってんだよ!証拠なんていらねえんだよ。ちゃんとイベント通りに進めろっちゅうに!」


 チート主人公がいきなり豹変した。国王が指を鳴らす。周囲に居たものがゆっくりチート主人公に近づき手錠をかける。チート主人公が手錠を力任せに壊そうとするけれど失敗する。


「な?なぜ?」


「君ね。どれだけ強くなったのか知らないけれどさ、一国の王が無手で猛獣の前に現れるわけないだろう?君のステータスはすでに100分の1程度まで落とさせてもらっているよ。この場に着いたときからね」


 国王はにやにや笑っている。


「な、な、お前みたいなモブキャラがなんだよ。なんで邪魔するんだよ!うまく行っていただろうがぁぁあ!」


 これが本性なんだろうな?


「黙らせろ。そいつにはまだ確認せねばならぬことがある」


 背筋が凍りつくような声だ。国王の表情は静かにきれていたのがわかった。


 チート主人公は口の中に布きれを突っ込まれそのまま猿ぐつわ状態になっている。ざまあって感じだわ。


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