表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/26

~落ち着いて考えてみる~

~落ち着いて考えてみる~


「オディよ。大丈夫だったか?」


 そう言って顔を覗き込んできたのは、金髪をオールバックにしている男性だ。青い瞳はつり上がっていて少し怖い顔立ちをしている。


 悪役令嬢であるオードリーヌ・フォン・コンラディンの父であるクリストフ・フォ・コンラディンだ。現コンラディン公爵でもあり、このスミュール王国の宰相を務めている。


 忙しいはずなのに、どうして?


「お父様。お忙しいのにどうしてここに?」


「オディが王妃教育中に意識を失ったと聞いた。何があったんだ?」


 そう言われても、私にそんな記憶なんてない。いや、なんか薄っすらと自分にないはずの記憶がよみがえってきた。


 王妃教育はかなり厳しいのだ。ここ最近は内政の授業だ。スミュール王国内の領地の名産や状況の把握。もちろんこれは各領地を誰が治めているのか、どういう人なのかを知った上での知識だ。


 なんかものすごい情報量が頭の中に入ってきた。


 気持ち悪い。


「大丈夫か?オディの顔色が悪いぞ」


「旦那様。もう少し休ませてあげるべきです。オードリーヌ様の顔が真っ青です」


 侍女がそう言ってきた。この侍女って確か名前はクロエだったはず。


「ありがとう。クロエ。少しだけ休ませて」


 私はそう言って意識を失った。



 翌日。


 私はようやく落ち着いた。寝て、起きて、を繰り返したけれどそのおかげで金井美香だった時の記憶と、このオードリーヌ・フォン・コンラディンの記憶が整理できた。


 まず、今はゲーム開始の1週間前だ。


 1週間後に私はスミュール王立学園に入学するからだ。このスミュール王立学園で3年間勉強し、卒業後は第一王子であるアルベイン・フォン・スミュールと結婚する予定なのだ。


 そう、これはあくまで予定。


 だって、この世界には主人公がいるのだ。


 しかも、もし私が作り上げたチート主人公だった場合、絶対に奪われるだろうから。


 アルベイン王子ルートの場合、悪役令嬢であるオードリーヌは婚約を破棄された後は歳が離れている辺境伯に嫁がされるということ、その後謀反を起こし、斬首されるのだった。


 なんで謀反をするようになったのかわからないけれど、実家である父も同調して殺されちゃうんだよね。


 とりあえず、斬首は避けないといけないし、この実家が滅ぼされるのも回避したい。


「お嬢様、おはようございます」


 クロエがそう言って挨拶してきた。


「今日の予定は?」


「午前中は王城へ行き、王妃様から王妃教育の続きがあります。午後は領地運営報告会議が開催されますが、そちらに客人として出席となります」


 領地運営報告会議というのは、各領地における問題点とその対策の会議だ。そして、客人としての出席というのは発言権がなく傍聴のみなのである。


 地味な会議だけれど、スミュール王国の領地運営の問題点が把握できるし、問題の中で優先順位をつけてどの問題から着手するのかを判断する会議でもある。


 ちなみに、私は出席しているが、アルベイン第一王子は出席していない。王妃に確認するとまだアルベイン第一王子は勉強が追いついておらず会議に参加させるのではなく、自室にて勉強を行う必要があるというのだ。


 私は王妃様のスパルタ教育のおかげで座学はすでに完了している。


 正直、学園に行って何を学ぶのかと言われてもいるが、学園では同学年との交流を楽しみにしている。


 別に友達が作りたいわけじゃない。今の状況だと、私の死亡フラグを回避するにしても予定が詰まりすぎていて何もできないからだ。


 そう、私には学園の入学するまで自由がないのだ。入学しても自由というわけではないけれど。王妃から影と呼ばれるものが護衛と称してつけられるからだ。


 一体、私が何をしでかすと思っているのだろう。まあ、気にしても仕方ないものね。



 なので、この1週間は自室に戻ってからゲームの知識を忘れないうちにメモすることしかできなかったのだ。


 といっても、それもあまり進んでいない。家に帰ってきてご飯を食べたらそのままベッドにダイブしていたからだ。


 なので、ようやく学園への入学の日が来た時に、色々なことから解放されたとほっと一息つけたのだ。


 けれど、その入学式は予定通りチートイベントが起きたんだけれどね。はぁ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ