表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/26

~強制イベントを乗り切ってみる~

~強制イベントを乗り切ってみる~


 『ハナコイ』には強制的なイベントがある。一番大きなのは『悪役令嬢の断罪イベント』だ。けれど、それまでの間に何回か『悪役令嬢』が追い詰められるイベントがあるのだ。


 というか、普通に考えると公爵令嬢を追い詰めるってシチュエーションがおかしいと思うんだよね。


 なんて思っているのは魔法演武という授業の時におきた事件がきっかけだ。


「きゃ~」


 それは魔法演舞場に向かう時に階段から落ちたチート主人公が叫んでいたのだ。


 というか、あんたのステータスなら怪我なんてしないだろうって思った。その時、私は確かに階上にいた。けれど、一人ではない。シャーリーとジビル子爵令嬢たちが私の周囲を囲ってくれている。


 明確に敵がいるということをここにいる皆には話しているし、何かやってくると思っていた。


 いつもジビル子爵令嬢が先行する。もし、目の前にチート主人公である『しフ』が見えたらハンドサインをするように指示していた。チート主人公が居る場合私たちはルートを変更していたのだ。


 だから、今回チート主人公である『しフ』が階段を転がり落ちた時の上にいたのは私ではない。学園には何人か金髪の子はいるのだが、ベリー侯爵令嬢がそこに立っていたのだ。


 だが、アルベイン王子は斜め上なことを言って来た。


「まさか、他のものに指示をして自分は安全な場所にいるなど最低だな!!!」


「本当にぃ、最低ですよねぇ。自覚ないんですかぁ?」


 チート主人公の甘ったるい声がかなりうっとうしかった。


「そうだ!そうだ!」


 火のクラスの人間が騒ぎ立てている。ベリー侯爵令嬢はおろおろしている。そりゃそうなるよね。


「罪には罰を」

「罪には罰を」

「罪には罰を」

「罪には罰を」


 その言葉広がった時に、そう言えばこういうイベントがあったことを思い出した。


 私はなぜか弁明もさせられることなく、別室に連れて行かれた。理由は場を乱したということらしい。


 そう言えば、そういうイベントだったのを思い出した。



 連れていかれたのは、よくわからない塔の中にある一室だった。小さなテーブルが一つに椅子が2つ。それしかない場所だった。窓もない。


 とりあえず椅子に座ってみる。木で作られて質素な椅子だ。しばらくすると鉄でつくられた重そうな扉が開いて教師がやってきた。


 この教師はミリバ・ラッテンという礼儀作法の授業をしている人だ。40代くらいの神経質な女性。顔も体も細くなんというかきつそうな人だ。


「あなた。自分が何をしたのかわかっているのかしら?」


 高圧的な感じでそう言って来た。ああ、この人もひょっとしたらチート主人公の『魅了』にでもかかっているのかもしれない。


「何もしなかったことが問題だとは思っています。違いますか?」

「違うわよ!!いい加減に罪を認めないさい!」


 机をドンっと叩いてきた。


「では、私の罪は何でしょうか?」

「しフ・レイリ男爵令嬢を階段から突き落としたでしょう?」


 まず、どうしてそう思ったんだろう。


「しフ・レイリ嬢が階段から落ちた場所は南棟側の階段ですよね?ですが、私はその時は東棟に居ました。どうやってしフ・レイリ嬢を突き落せるのでしょうか?」


 冷静にそう告げる。


「それは、あなたがベリー侯爵令嬢に指示をしたのでしょう?本当に憎らしい」


 なんだろう。この決めつけは。ゲームでは悪役令嬢が主人公を階段で突き落とすというイベントはある。だから私は一人にならないようにずっと気をつけていたのだ。


「一つ宜しいでしょうか?ベリー侯爵令嬢は今回のことどう話しているのですか?まさか聞き取り調査もしていないなんてことないですよね?私はベリー侯爵令嬢と夜会で数回顔合わせをしたことはありますが、そこまで接点はありません。組も違いますしね」


 ベリー侯爵令嬢は風クラスだったはずだ。それに、ベリー侯爵令嬢があのチート主人公を突き落せるとも思えない。


 だって、チート主人公のステータスは高いのだ。タックルをしたとしてもびくともしないだろうな。


「そ、それは今関係ないでしょう!」

「きちんと調査もしない。証拠もない。なのに、私を罪人として追求し謝罪を求める。学園というのは偉くなったものですわね。私には王妃様から影をつけてもらっているのご存じですよね?もし、私が無罪だった場合は覚悟はできておられますか?」


 そう言うと頬を殴られた。


「脅しに屈することはないわ!あなたはそこで反省していないさい!」


 感情的にミリバ・ラッテンはそう言うと去って行った。さて、どうするのがいいかしら。


 私は閉じ込められた部屋で考えていた。まあ、こういう事態になったらクロエに動いてもらうことは事前に話していたけれど大丈夫だよね?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ