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~からまれてみる~

~からまれてみる~


 今日は朝から一人だ。といっても、侍女もクロエはついてきているし、王妃からつけられている影もずっと私と一緒にいるけれど、この二人は話す相手でもないし、話しかけてもリアクションはない。


 まあ、そういうものだものね。転生してきた時はなれなかったけれど、今はそういうものだと受け入れられている。


 お昼をさてどうしようかと思い、クラスを眺めてみた。遠巻きから私を眺めている女の子がいる。


 夜会で会ったことがある子もいるが、わかるのは中央で一番テンションが高いのは、ジビル子爵令嬢だ。


 ジビル子爵令嬢はほぼ黒に近い青い髪をしている。光があたったら青かな?って感じの色だ。


 セミロングのお嬢様って感じなのだが、顔つきはどちらかと言うときりっとした優等生型の美人タイプだ。


 ちょっと気がきつそう。ああ、そうか。この『ハナコイ』って主人公以外って結構きりっとした美人系が多いんだよね。


 そう言えばジビル子爵令嬢って婚約者がいた気がするんだよね。確か、スカルポン侯爵と仲が良いというか、親族とかそんな感じが相手だった気がする。だから、ダンジョン攻略に声をかけなかったんだ。思い出した。


 あまり信用しない方がいいのだろうか。ダンジョン攻略にもあまり乗り気じゃなかったから声をかけなかったしね。



 そう思いながら、私だけ中庭で食事をするのもどうかと思い、お昼は食堂に向かった。


 食堂に私が入るとなんだかちょっとだけざわついた。公爵令嬢が食堂に来ただけでざわつくなんて。


 まあ、私は転生前の記憶があるから別に違和感もない。トレイを手にとり、カウンターで注文をして、商品を受けとりお金を払おうとしたら侍女のクロエがささっと払ってくれた。クロエは私が授業の合間に食事を済ませているのでここで食べるのは私だけだ。


 影についてはそもそも行動が把握できていない。そう思っていたら騒がしい集団がやってきた。


「ほう、これが『しフ嬢』が言っていた学食というものか」


 アルベイン王子とその取り巻きが学食にやってきたのだ。面倒なのに出会ってしまったな。私は隅で開いている場所に座った。


「あ~あそこはいつもぉ、私がぁ、座っているぅ、場所なんですよぉ!」


 甘ったるい声がした。チート主人公の声ってゲームしている時は聞こえないから気にならなかったけれど聞いているだけでムカついてきた。


 場所を移動しよう。面倒事は避ける。


 私がトレイをもって立ち上がり周りをみた。その時、肩を叩かれた。


「ごきげんよう。コンラディン公爵令嬢。もし、ご迷惑でなかったですが、こちらで一緒に食べませんか?」


 そう話しかけてきたのはいつも遠巻きで眺めているジビル子爵令嬢と残り2人だった。残り二人はきゃーきゃー騒いでいた。


 まあ、行き場所がないよりはいいかな。そう思って「ごきげんよう。ジビル子爵令嬢。ありがとうございます。ご一緒させていただきますわ」とにこりと笑って答えた。


 うん、ジビル子爵令嬢は貴族としてしっかりしていて安心した。


 ジビル子爵領の話しをふる。自分の領地の自慢をするのは貴族として当然のことだ。ジビル領は海に面している。海産物と塩が名産だ。そして、もう一つ。船でしか行けない孤島があるのだが、そこは水の最難関ダンジョンがある。


 最難関ダンジョンの最奥にはその属性の攻略対象の親密度をマックスにさせるというアイテムがある。


 なくても問題ないのだが、あると特別なスチルが手に入るんだよね。もちろん、私はゲット済みだ。


「あの孤島には祭壇があるんですのよ。その祭壇で愛を誓い合った二人は永遠に幸せになれるという伝承があるのです」


 うっとりとしながらジビル子爵令嬢が言って来た。う~ん、ゲームで行ったけれど地上にあるその祭壇は周囲が色とりどりの花に囲まれていたけれど、何もイベント起きなかったけれどね。


 何かのギミックでも隠されているのかと探したけれど何もなかったんだよね。『ハナコイ』にはそういうよくわからない場所はいっぱいあったから気にしないことにしていた。


「そうなんですね。一度行ってみたいですわ」


 私がそう言ったら後ろからねっとりとした声が聞こえてきた。


「あれは何ですのぉ?公爵令嬢ともあろう人がぁ、下賤な貴族とも言えないような人に媚びへつらっているのなんてどうなのかしらぁ?嫌われている自覚があるからぁ、そうやっているんですかぁ?」


 チート主人公がつっかかってきた。まあ、反応しない。


「最近は暑くなってきたのは羽虫の音が騒がしいですね?」


 私はそのまま気にせずジビル子爵令嬢に話しかけた。ジビル子爵令嬢はにこりとしているが横にいる二人は顔を真っ青にしている。


 そう言えば、子爵の令嬢だけれど、片方は3女、もう片方が4女だからちゃんと教育されていないのかもね。


 どこか高位の貴族の侍女になるか、官吏として王宮に仕えるか、地方の豪族というか妙齢のおっさんにお金のために嫁がされるかのどれかだものね。


「何やら自己紹介をしている方がいるみたいですね」


 そう聞いて笑ってしまった。チート主人公はわなわな震えている。


「オディ!公爵という身分で下位の貴族を苛めるのはやめろ!」


 アルベイン王子がそう言って叫んできた。


「アルベイン王子殿下。ごきげんよう。ですが、ここは多くの方がおられる場ですので、そのような大声をあげるのはいかがかと思いますわよ。そんなことだから王妃殿下から失望されるのがわからないわけ、ないですよね?」


 うん、煽った。アルベイン王子はちょっと残念なのだ。昔から叱られるのがイヤで、努力するのもイヤ。だから、王太子ではなく第一王子という身分のままだ。


「くっ!!!お前のような性悪女などこの世から居なくなればいいのに」


 ぼそっとつぶやいた。何だろう?暗殺でもしにくるのだろうか?悪いけれど、私につけられている影って無茶つよいらしい。


 私を監視しているけれど、私を守ってくれる盾でもあるんだよね。


「もう、こんなところ出ましょうぉ。なんだか空気が悪いですしぃ。それに食事もあんまりおいしそうじゃないですものぉ」


「そうだな。行くか!」


 いや、学園の食堂はおいしいので有名だ。空気を悪くしているのはお前らだっちゅーの。


 集団が居なくなった後、私は周囲に謝罪をした。


 怒鳴る王子、猫なで声のチート主人公。そして、謝る公爵令嬢。


 いい構図じゃない。なんて思っていたら王妃殿下からお呼び出しを受けてしまいました。


 怖すぎなんですが。


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