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~カイ男爵に御呼ばれしてみる~

~カイ男爵に御呼ばれしてみる~


 カイ男爵から夕食に呼ばれたことをお父様に伝えると「エスコート役が必要だろう」と言われた。


 私が対外的に出かけるのなら『アルベイン王子』がエスコート役になるのだろうけれど、公式なものでもないし、男爵程度の夕食にアルベイン王子は連れていくことはできない。


「可愛い妹をエスコートできるんだ。仕事なんて放りだしてきたよ」

「お兄様!」


 そこには私と同じような金髪だけど、後ろに一つ結びをした超絶イケメンが立っていた。そのままついうれしくて抱きついてしまった。


 お兄様はお父様の手伝いとして王都に仕えている。


 文官だけれど、体も鍛えているからしっかりしているが、激務なのか働き出してからやつれだしてもいるんだよね。


 そこが心配だった。


「かわいいオディ成分が得られたら元気100倍だよ。それで、男爵風情がかわいい、かわいい、オディを呼び出したんだ。切り捨てればいいのかな?」


 なんか一気にお兄様が闇堕ちしてしまった。


「違うの。聞いてほしいことがあるの」


 私はこのタイミングで話すのは早いかもと思ったけれど、アルベイン王子について相談をした。


 いや、アルベイン王子と言うか、チート主人公の「しフ」についてだ。


 そもそも、攻略対象の男性キャラの実家はある程度要職についている。だからこそ、こういう話しをすることもできると思ったのだ。


 話しの要点はこうだ。


・学園内で『魅了』のスキル、もしくはそれに類するスキルを持っている者がいるかもしれない。


・その対象者は『しフ・レイリ』


・すでに、アルベイン王子だけでなく、複数の男性、特に爵位の高い男性に色目をつかっており、女王のようにふるまっている。


・私としては『魅了』なのかわからないが冷たく対応されるため、アルベイン王子との婚約も考え直したい。


 そう話した。話してしまった。私はわかっていなかったのだ。どうして、辺境伯に嫁がされたのか、なぜ謀反で撃たれたのか。


 私の話しを聞いたお兄様とお父様は静かに怒っていた。


「ふむ、それが本当かどうか調査させてもらうがいいか?」


 学園は高位の貴族の子息子女がいるため、護衛や諜報で人がかなり入っている。すぐに情報は入るだろう。


「別に構いません」


 私がそう言うとお父様は「アグリー辺境伯にも連絡をしておくか」と言った。それを聞いたお兄様は「本気ですか?」と聞いていた。


「当たり前だ。我がいとしいオディを悲しませる王政などいらぬだろう。まあ、すぐに事を起こすつもりはない。それに、仲間も必要だしな」


 そう言ってお父様は笑っていた。ああ、本気でこの人はこのスミュール王国をどうにかしようとしているのだと思ってしまった。



 カイ男爵家に行く前に結構重たい話しをしてしまった。カイ男爵の家はかなりごてごてした外観をしている。なんというか、色んな歴史的建造物の目立つところを盛り込んだ形になっている。


 柱は神殿のようなごてごてした感じで、その屋根付近には銅像が組み込まれていた。それだけでも目立つのに、更に庭園がひどい。門扉から見える庭園はかわった噴水がある。中央にある像はヒキガエルかと思ったらカイ男爵の像なのよね。


 もうね、なんというか気持ち悪いのだ。


 その中庭を馬車で通り過ぎ、カイ男爵家に降り立った。


「これは、これは。コンラディン公爵子息様ならびにコンラディン公爵令嬢様。こんなあばら家にお越しいただきありがとうございます。私がムツリ・カイと申します」


 にやにや笑っているその顔を見て嫌悪感が出てきたが、このカイ男爵は貴族としては問題だけれど、商人としては優秀なんだという。


 だから、味方に付ける方がよいと。そういう狙いもあってハスター侯爵は繋がりをもったという。それに、誰も貴族としての対応を教えていないのだから仕方がないのだとも言われた。


 そういうものなのか。まあ、お父様が「あれは平民が思う貴族を演じているのだろうな」と言っていた言葉を信じることにした。


「はじめまして。カイ男爵。本日はお招きありがとうございます」


 お兄様が挨拶をしてから私もカテーシーをして挨拶をする。


 話しはナタリーのことについてだった。


「正直どう接して良いのかわからなかった。貴族というのはよくわからぬのだよ」


 この数時間で本音を話せるくらいまでには仲良くなれた。というか、お兄様のコミュニケーション能力がすご過ぎた。


 私なんかニコリと笑っているだけで終わっている。最後なんてこうだった。


「コンラディン公爵が望まれるのならこのカイ男爵。出来ることはすべてしましょう。この命にかけて!」


 うん、お兄様がすご過ぎて言葉がでなかった。


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