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第3話 誰が言ってた?

「ねぇ、優希ゆうき。なんで私の好きな人知ってるの……?」


 授業中、隣の席に座っている紗衣さえに小声で尋ねられた。


「それは……」

「誰かが言ってたの?」

「…………」

「もしかしてしずく……?」


 紗衣は暗い顔をしながら聞いてきた。

 紗衣と雫の二人の会話が聞こえてきたから、それを勝手に聞いていた、なんて言いたくない。どうすれば良いのか必死に考えたが、良い案が思い浮かばない。

 もし雫に聞いたと言って、二人の仲が悪くなったら……いや、あれほど仲の良い二人だからお互いに嫌う事は無いだろうが、俺のせいで喧嘩になったりしたら嫌だ。


「ちょっと、優希……、せめて無視しないでよ……」


 紗衣は顔を真っ赤にして半泣きになりながら言った。


「っ……ごめん……」

「…………」

「あのさ……。なんで知ってるか、どうしても言わないとダメ?」


 そう聞くと、紗衣は真っ赤な顔を上下に一回だけ動かした。


「雫が言ったのか知りたいから……」


 悲しそうに言われて自分まで何故か辛くなってきたので、結局正直に言うことにした。


「……ごめん」

「え?」

「……二人の会話勝手に聞いてた……。本当にごめん……」


 俺はうつむきながら言った。


「そう……そうだったのかぁ……」

「え?」

「優希ってさ、昨日放課後に学校で雫が大声で叫んでた事を聞いただけ?」

「……うん」


 うなずきながら言うと、なぜか紗衣の表情が明るくなった。


「よ、良かったぁ〜……」


 そう紗衣は胸を撫で下ろしながら呟いた。


「……え? なにが……?」

「ん? 内緒〜」

「えぇー……」


 俺は紗衣が元気になって嬉しくなったと同時に、勝手に話を聞いていた事について怒られなかったことにホッとした。


「どうしても知りたいならね……。優希の好きな人教えてくれたら私も教えてあげる!」

「なんで⁉ いやって言ってるじゃん!」

「じゃあ私も教えない〜」

「えぇ、良いじゃん……!」


 そこまで言った時、声が少しずつ大きくなっていたようで、先生に授業中喋っているのがバレてしまった。


「はい、そこ! 喋らない!」

「「はい……」」





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