第10話 告白
「……遅い。遅すぎる」
海人は腕を組みながら心配そうに呟いた。
「見てきてあげあら?」
朱里も少し心配そうに海人と湊人に言った。
「そうだな。ちょっと見てくる」
「俺もついて行くわ」
そう言って海人と湊人は優希のいるトイレへ向かった。
「優希〜。大丈夫か……?」
「湊人……? うん。まぁ、大丈夫」
「そう。それなら良かった」
「あのさ、まだ出れそうにないから先に帰っといてくれない?」
「……分かった。みんなに言ってくるよ」
俺は湊人と海人が帰った10分後ぐらいに個室を出て、荷物を取りに図書室に戻った。
「紗衣……」
図書室にはなぜか紗衣が残っていた。
「優希……。ごめん。言うなって言われてたのに言っちゃって……」
「いや、それは大丈夫。紗衣のことだから言うのは分かってたよ」
「じゃあなんでヒント言ったの……?」
「当ててほしかったからかな」
「そうだったんだ……」
「うん。その事は全然気にしてない。むしろちょっと嬉しかったから。……じゃあね、俺は帰るよ」
そう言うと机の上に置いてあったカバンを肩に掛けた。
「まって! あのさ……言いたいことあるんだけど……」
「ん? どうしたの?」
俺は後ろを振り返って何か言いたそうな顔を見つめた。
「……私は……優希の事が好きです!」
「え?」
「嫌がってるって分かってて余計なことしたから、嫌われてるかもしれないけど……。これだけ言いたかったの……」
紗衣は泣きそうな顔になりながら言ってきた。
そう言われた瞬間、俺は体が震えるほど嬉しくなった。
「それ本当? さっき嫌って言ってたけど……」
「うっ……ごめん。照れ隠しでつい……」
「そうなんだ……」
俺はそう呟いて、少し深呼吸してから言葉を続けた。
「俺も紗衣の事が好きです。付き合ってください!」
「……え? 良いの?」
信じられない、というような顔でこちらを見つめてきた。
「うん。なんで当ててほしかったか分かる? 自分から言うのがなんか恥ずかしかったからだよ?」
「そう……だったの……」
紗衣がホッとしたような表情でそう言った時、図書室の扉の方から声が聞こえてきた。
「おぉぉぉ! おめでとうっ!」
「はぁ⁉ 湊人⁉ 海人も……。って、なんでお前らいるんだよ」
「なんで……って、見守りたかったから。頑張って引っ付けようとしてたんだけどな……。俺らは何もしなくても良かったみたい」
海人はそう、笑いながら言った。
「ごめんな。なんか面倒くさいことして。俺ら二人が両思いなの知ってたんだよ」
「え?」
「二人の様子見てたら分かるぞ。多分クラスの大半の生徒は気付いてた」
「……マジかよ」
「うん」
「まぁ、これからもふたりとも仲良くするんだぞ!」
湊人は、笑顔でそう言った。
「言われなくても分かってるよ」
少し恥ずかしくなった俺は、みんなと目線を合わせないようにしながら言った。
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この話も最後まで読んでいただいてありがとうございます!
ここで一応完結となります。
番外編的な感じで続き書くかもだけど。
こういう展開好きじゃないって方いると思うんですけど、自分はちょっと嫌がることされただけでやり返すようなざまぁ系はあまり書きたくないんですよね……
だからこうなりました。




