【とうもろこしの小噺】其の肆 とうもろこしの由来と異名
とうもろこしって、なぜとうもろこしという名なのでしょうか。何だか謎かけみたいに書いてしまいましたが、この「とうもろこし」という柔らかな言葉の響きに、何やら他の野菜とは違うものを持っているような印象を持つのは私だけでしょうか。
余談でございますが、本編においてひらがな表記で何度もとうもろこしと書いていたせいで、推敲の時に大変読みにくい思いをいたしました。
さて、冒頭の名前のお話、漢字表記にしてみると少しわかりやすくなるかもしれません。
とうもろこしの漢字は、「玉蜀黍」。
さしづめ、玉のような蜀の黍、といっか意でしょうか。
蜀とは三国時代に中国に存在した国名。この場合は、ざっくりと大陸や中国を指して使われたのでございましょう。
ちなみにこの漢字、完全なる当て字でございます。
言葉そのものの由来は、唐からやってきたもろこし、といった感じのもの。もろこしとは、高黍という植物の異名でございます。唐からやってきた、高黍に似た植物という意味の言葉だったのでございます。
これまた余談ですが、もろこしという言葉自体も、遥か昔には大陸渡りの渡来品につけられる接頭語であったのでございます。
何だか謎かけのような小難しいような話ばかり書いてしまいましたが、とうもろこしは全国各地に広がったため、その異名の数もかなりのものになります。
代表的なものですと、とーきびや唐黍、といった名でございましょう。かつてはこちらが正式名だった時代もあるそうで、今でも北海道や北関東を中心に使われております。西日本では「なんばんきび」とも呼ばれているとか。この他にもざっと列挙しますと、高麗黍、コーリャン、かしきび、さつまきび、まめきび、もろこし、などなど。さる方言辞典には、二百六十七種もの異名がのっているとか。それだけとうもろこしがその土地土地になくてはならないものであった、ということでございましょう。




