【じゃがいもの小噺】其の弐 男爵とメークイン
じゃがいもの品種として、真っ先に名が挙がるのはやはり「男爵」と「メークイン」。もちろんこの他にも「インカのめざめ」ですとか、「キタアカリ」ですとか多数の品種がございます。外見の形状も、球形だったり少し平べったいものがあったり、断面もいわゆるじゃがいもらしい淡黄色にとどまらず、黄色や赤紫色のものも存在します。原産地のアンデスの高地においては様々な種類のいもが栽培されており、植物が育ちにくい過酷な環境下において、大変重要な食料となっております。連作障害や凶作時の全滅を避けるために、高地に暮らす民族の家庭では、様々なじゃがいもを同時に栽培していることも多いのだとか。じゃがいもは四千メートル程の高地でも栽培でき、山の斜面にマチュピチュ遺跡にあるような段々畑を築き、細々と多様なじゃがいもを育ててきたそうでございます。
さて、お話をじゃがいもの品種に話を戻しましょう。やはり、日本の二大トップは「男爵」と「メークイン」。男爵は球形でごつごつとした見た目で、火を通すとホクホクとした食感に。メークインは細長い球形でつるりとした見た目で、身が緻密で煮崩れしにくいといった特徴がございます。そのため、特性を活かして男爵はポテトサラダなどに、メークインは肉じゃがやカレーなどに使われることが多いようです。余談ではございますが、本編に登場するお料理は全て男爵で作ることを想定して書いております。
さて、男爵が日本に入ってきたのは明治時代のこと。明治四十一年に川田龍吉氏が海外より苗を取り寄せ、函館近郊で栽培を始めたことが始まりとされております。元々はアメリカ原産の「アイリッシュ・コブラー」という種なのですが、普及に貢献した川田氏の爵位にちなんで「男爵」と呼ばれるようになったとか。今でも品種別で日本一の作付量を誇る、じゃがいもの一大トップでございます。
対するメークインは、伝来の由緒については判然としませんが、遅くとも大正の頃には日本に入ってきたようでございます。こちらは男爵とは異なり、イギリスが原産の種。しかしながら、栽培に手間がかかり、収穫量も少ないために、今ではイギリス本国では忘れ去られた存在なのだとか。日本でも長く不遇の時代が続きましたが、戦後になって注目を集めるようになり、現在では男爵と並ぶ二大トップとなったことは、皆様ご存知の通りでございます。




