この度、訓練を始めました―1―
「それでは、準備ができましたらお呼び致しますので、それまでごゆるりとお過ごしください」
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あの後、歓迎会と称した貴族達との顔合わせ会をしたのちに、召喚された男同士での自己紹介をした。
俺と雅也は知り合いだったのだが、その他の人たちは全員知らない人同士だった。
「俺は月ノ上 神っていいます!」
一見三〇代に見える高校生の彼は、スキルが『槍術』だけしかなかったが、ステータスが男の中で一番高い。
「僕は時任 零一五歳」
物憂げな表情をしている彼は、
『無魔法』『時魔法』『自動MP回復』といった特殊スキルと固有スキルを持っており、後衛よりのステータスをしていた。
「俺は梶 大輝ってんだ。よろしくな」
身長が一八〇を超えていて、尚且つ筋肉がすごくついている彼は、
『盾術』『大剣術』というスキルの他に、
『頑丈』『全魔法耐性』という固有スキルを持っており、前衛よりのステータスだ。
「私は冬野 桃花鳥っていうの。この名前とても気に入ってるのよ。トキお姉さんって呼んでいいわよ♡」
口調や顔などの造形はぱっと見女なのだが、どうにも体型だけは誤魔化せず...結構ゴツゴツしている。細マッチョと言うのだろうが、へそ出しの服を着ているため、ガチガチのシックスパックが丸見えだ。
召喚された中で唯一二〇代の彼は、
『武闘術』『怪力』『自然治癒』『漢気』という、さまざまなスキルや特殊スキル、固有スキルを持っていた。
自己紹介後はこれからの活動に関して相談しあったりしていた。
そんなこんなをしていると、夕食の準備が出来たと呼ばれたため、セバスについて行った。
夕食は、昼食を兼ねた歓迎会をした場所とは違い、しっかりとした食堂へと通された。
歓迎会は立食式で、少し広いホールを丸々使った場所だった。
対して食堂は、男六人と女六人が入って少し席が余るくらいだ。
その後は特に何もなく、大浴場に入って部屋に戻り寝た。
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そんなこんなで翌日、朝七時から執事に起こされて朝食を食べた後訓練場へとやってきた。
「めげずによく集まったな! まずは自己紹介から始めよう! 俺は近衛騎士団長『ゼラード』だ!」
ゼラードに促され、俺達は自己紹介を始める。
この場には俺含め、七人の勇者見習いがいる。
俺から順番に『マサヤ』『シン』『ダイキ』『トキ』『シオン』『ミノリ』だ。
シオンとミノリは女性で、それぞれ近接戦闘スキルを所持している為ここへ来た。
遠距離戦闘スキルを持つ『アカリ』という女性は俺たちの隣にいるが、教官は違うらしい。
魔法戦闘スキルを持つ『レイ』『ナナミ』『ココア』と、魔法戦闘スキルはないが、治癒魔法が使える『チヨ』は共に同じ教官の元にいる。
『まずは体力からつけるぞ! 走り込みだ!』
ゼラードがそういうと、シンがあからさまに嫌そうな顔をしていた。
走り込みが始まり、かれこれ一時間ほどが経った。
どうやら走り込みは合同練習みたいで、何度も抜かされながらも走り切った。
(AGI低いからね! 仕方ないね! うんうん!)
休憩もそこそこに、各教官が集合を呼びかける。
「よく頑張ったな! それではこれより、素振りを始める!」
ゼラードがそう言うと、兵士たちが俺たちに木剣を手渡してくる。
「『STR』の二倍数素振りをした者から昼食を食べていいぞ! それぞれに兵士をつけるから誤魔化しは効かんぞ! 始め!」
ゼラードの合図を聞き、俺たちは素振りを始めた。
「九八......九九......一〇〇!」
かれこれ二時間は経つが、俺の『STR』の値が少なすぎて早く終わった為、誰かが終わるまで素振りをして暇を潰している状態だ。
(一〇〇行ったしちょっと休憩しようかな。)
早く終わったと言っても、腕が重く、軽く振るのでも精一杯なんだが。
『STR』が低いと、まともに剣も振れないんだな...。
「ナツメちゃん、私終わったし一緒にご飯行かない?」
「トキさん...僕も区切りがいい感じなんで行きましょうか」
トキに話しかけられ、俺はタイミングも良かったし一緒に着いて行くことにした。
「私無駄に『STR』高いせいか、目標数も多くなるのよねぇ」
困ったわねぇ。と言いながら頬に手を当てる。
「はは...僕はあの通りの数字なんで、一振り一振りがすごくきついですね」
「確かに想像に難くないわね」
なんて会話をしていると、急に声をかけられた。
「待ちなさい!」
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