この度、召喚されました―3―
『ステータス』
そう唱えると、目の前に半透明の板のようなものが出てきた。
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名前:荒井 棗
LV.1
職業:勇者見習い
称号:勇者見習い・加護もち
HP:10
MP:5
STR:4
VIT:3
INT:2
RES:2
DEX:1
AGI:3
固有スキル:成長補正1.2倍
特殊スキル:遊戯神の呪い
加護:遊戯神の加護
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(え...弱くない?)
このステータスはあからさまに弱いだろう。
王が言うには、一般人ですら全ステータスの平均が『50』はあると言う。
だが俺はどうだ?
全ステータスの平均が『3.5』しかない!
約一五倍の差だ。つまり俺は赤ちゃん並みってことか?
(嘘だろ...?)
「それではステータスを見せていただけますか?」
(やばいやばいやばい!)
文官が順番にステータスを写していっている。俺のところまで来るのも時間の問題だ。
(今のうちに何か役に立つスキルがあるか見てみるか...って、そんなの無いよな。)
『遊戯神の呪い』
未解放LV.5:アイテムボックス
未解放LV.10:鑑定
未解放LV.20:勇者剣闘術
未解放LV.30:勇者魔法
未解放LV.50:魔眼
未解放LV.70:???
未解放LV.#%+$€%€?%#
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(なんだこれ?)
明らかに異色のスキルがあった。
(未解放ってことは、レベルを規定の数字まで上げればそこに書いてあるのが使えるってことか...?)
「すみません、『ステータス』をお見せ願えますか?」
「うおっ! は、はい...」
そう思案に耽っていると、急に後ろから声がして驚いてしまったが、文官に『ステータス』を見せる。
「ふむふむ...なんと! これはこれは...」
意味深な言動が目立つが、よくあるラノベ物の
「なんだこの雑魚いステータスは! 貴様などいらん! この国から出て行け!」
――等といったような雰囲気では無い。
ちょっとばかり驚いているようではあるが、概ね好印象のようなものが窺える。
(とって食おうってわけでもなさそうだしなぁ。)
「おいなつめー!」
「...まさやか」
(急に声かけてくるからびっくりした...!)
声をかけてきたのは、今ステータスの写しが終わったのであろう、一緒の学校に通っていた友達である『東雲 雅也』だ。
「どうよこのステータス!」
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名前:東雲 雅也
LV.1
職業:勇者見習い
称号:勇者見習い
HP:500
MP:300
STR:350
VIT:300
INT:250
RES:250
DEX:200
AGI:300
固有スキル:限界突破
特殊スキル:自然治癒
スキル:剣術・光魔法・状態異常耐性
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そう言って前に突き出してきたステータスは、俺のステータスに比べ天と地ほどの差があった。
(これが“普通”の勇者見習いのステータスか...。)
「どっちが先に勇者になれるか勝負な!」
「ん? どういうことだ?」
ステータスを見せてきたかと思うと、急にそんなことを言い出して困惑する。
「いや、勇者見習いってんだから、何かしらの条件でもクリアしたら勇者になれんだろ?」
「あー...そういうことね」
「だから勝負な! ぜってぇ負けねぇぜ!」
「あ、あぁ...頑張れよ」
今はまさやの眩しい笑顔がさらに眩しく感じてしまう。
(流石にこのステータス差を見ちゃうとなぁ。)
先の見えない暗闇に迷い込んだようで、少し顔に影が差す。
「それでは皆の者よ! これより歓迎会へと移ろうではないか!」
王がそう言うと、貴族達はゾロゾロと、でかい両面扉の両脇に作られた、貴族用(?)の小さい扉から出ていった。
「それでは勇者様方はこちらへどうぞ」
大きい方の扉が開かれたかと思うと、執事とメイド達がやってきてそう言う。
ふと王様達が居た方を一瞥すると、すでに姿は見えなくなっていた。
(あっちにも通路があるわけね。)
「歓迎会の準備に少しお時間がかかります故、お先にお部屋の方へとご案内いたします」
「は、はぁ...」
執事のおじさんがそう言いながら前を歩くので、それに俺たちはついていく。
「男性には執事を。女性にはメイドを専属で一人付けますので、何か御用命があればその者にお達し下さいませ」
そう言いながらもズンズンと迷いなく進んで行く。
階段を登り、そして降り、そしてまた登り...と幾度繰り返した後、目的地へと着いたようだ。
「こちらが男性のお部屋となります。女性方はこちらのメイド長へ着いて行ってくださいませ」
「さぁ、此方へどうぞ」
まるで迷路のような王城を歩き回り辟易していたが、ようやく着いたか。
と、其処彼処から聞こえてきそうだ。
「申し遅れました。私、執事長のセバスチャンと申します。呼びやすいように呼んでください」
「は、はぁ...」
色々ありすぎて脳内がパンクしそうながらも、返答する。
「それでは、準備ができましたらお呼び致しますので、それまでごゆるりとお過ごしください」
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