この度、召喚されました―1―
この度、
『この度、勇者に選ばれました』を見つけてくださりありがとうございます。
コロナが最近流行っておりますのでご自愛ください。
「ふぉっふぉっふぉ...成功致しましたぞ陛下...」
「あぁ」
突如俺達を襲った眩い光に視界を奪われ次に目を開くと、そこは先程までいた場所とは違い、豪華絢爛な内装が施された広い場所の中心にいた。
後ろには、巨人でも入ってくるのを想定しているのか?
と、疑問を持たざるを得ない程の大きな両開き扉。
左右には、これまた目が痛くなるような貴金属のアクセサリーを身に纏う貴婦人や、恰幅の良いおじさん等々。それを守るように兵士がちょろちょろ居たりする。
そして目の前には、魔法使いのコスプレをしているのか?
と言いたくなるような人物が何十人も倒れており、そのさらに奥には、豪華な椅子に座ってこちらを見ている冠を頭に身につけたおじさんと、両サイドに美しい女性が二人。左側には、見た目優男そうな男がおり、右側には年端もいかない男の子が居る。
(なにこれ?)
「よくぞ来てくれた! 若き戦士達よ!」
王様らしき人物が急に大きな声を出した。
(え...戦士達? 何の話だ?)
そんな疑問も解消されることなく、矢継ぎ早に王様らしき人物は言葉を並べる。
「我は国王『ミルケス・ユーラザード』である! 今、我が国『ユーラザード』は魔族による襲撃に遭い、危機に瀕している!」
(でた、テンプレ設定。てか王様なのね......俺達にその危機を救ってほしいとか言うんだろうなぁ。)
「故に貴殿らにはこの国を守り、魔族の脅威を退けてもらいたい! 魔族共の脅威が去った暁にはきっちり報酬も用意している!」
俺のその思惑通り、王様は俺たちに救いを求めた。頭も下げているし、なんならその傍にいる人達も頭を下げている。
(王様が簡単に頭なんて下げたらダメなんじゃないのか...? 威厳に関わるとどこかで聞いたような気がするが。)
ざわざわと、左右にいる高貴な方達がざわめく。中には頭を深く下げている人もいるが、大半は焦ったような顔をしている。
すると、王様は声を張り上げる。
「貴様らも頭を下げんか! 国の命運がかかっているのだぞ!」
その言葉に、すぐに頭を下げるものもいれば、苦虫を噛み潰したような顔をしているものもいる。
「恐れながら王よ。この者らに頭を下げなくても良いのでは?」
そう言いながら、自信満々という言葉を顔に貼り付けたような男が前に出てくる。
「なに...?」
「見たところ、この者達は全員が素人。
くふっ...戦力になる前に死ぬのがオチなのでは?」
俺たちを馬鹿にしたような顔でそう言う。
(表情筋が柔らかいんだなぁ。)
なんて思っていると、前方からものすごい圧のようなものを感じた。
「口を慎めオベロン! それ以上は不敬罪となるぞ!」
「おやおや...これはこれは。近衛騎士団長殿。そんなに威圧しないでくださいよ。
くふっ...ありのままの事をお伝えした迄ですよ?」
オベロンと呼ばれた男は、近衛騎士団長と呼ばれた大男の威圧をものともせず、妖しい微笑みを浮かべながらのらりくらりと喋る。
(なんか修羅場になってるけど...俺ら蚊帳の外じゃん。)
「静まれぃ!」
国王がそう一喝すると、先程までのざわざわが嘘かのように静まり返った。
「オベロン。貴様の言っていることもわからんでもない。確かに強者としての覇気がないやも知れぬ」
(なんか嫌な予感しかしないけど...?)
国王の雰囲気からして、嫌な気配がする。
「では――」
「であるからして! 一ヶ月後に貴様の私兵とこの者達とで試合をしてはどうだ?」
オベロンが喋ろうとしたところに被せる形で王は言う。
(試合!? えっ...殺し合いですか?)
「ま、まぁいいでしょう。
くふっ。楽しみにしてますよ」
そう言い、オベロンはこの場を去る。
「待てオベロン! まだ話は――」
「よい! 放っておけ」
「...承知」
近衛騎士団長はまだ思う所があるのか、納得いっていない様ながら身をひいた。
「待たせてしまってすまない。少々我が国の汚点を見せてしまったな」
そういってまた頭を下げる国王。
(この人の頭軽いな。本当に国王なのか?)
「この国の現状を話す前に質問などはあるか? 質問があれば先に答えようと思う」
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