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崩壊した世界でそれでも僕らは生きる  作者: ひぐは
第一章 ショッピングセンター立てこもり編
3/3

第3話 「バリケード建設作戦」

2023/05/23 12:30


「おい!兄ちゃん達!これやるから使え!」


逃げ続ける僕らにそう声を掛け、高枝切りバサミを3本こちらに渡してきたのは屈強ながらも優しさの見える顔をした男だった。

男は高枝ハサミの他、さすまた、塩化ビニル管、虫取り網などとにかく長い棒を沢山持っていた。


「いいか、これで近づいて来る奴らを押しつけながら逃げろ。奴らはもう人間では無い!情は捨てろ。さもなければ命を掬われるぞ。」


無条件の善意程怖い物は無い。などと言ってられる余裕は無い。奴らに対抗出来る手段はこれしかなさそうだ。今は藁にも縋る思いでどんな救いの手も受け入れるしかない。


「ありがとうございます。でも本当にいいんですか…?」


「そんな事で戸惑ってる暇があったら逃げろ!とにかくこんな状況じゃ生き残る事が重要だ。いいか奴らを倒そうなんて思うんじゃないぞ。接触したらおしまいだと思え。近づいていたらそれを使って押し倒せ!ほら行け!」


きっといい人なのだろう。ということに今はしておこう。


目の前の進路にいたゾンビを高枝切りバサミを使って刺す。胸のあたりに刺すことが出来た。しかしゾンビは痛がる様子は見せない。そのまま言われた通りにハサミごとゾンビを思いきり押し倒す。ゾンビはバランスを崩しその場に倒れる。すぐには起き上がりそうにない。

そのまま高枝切りバサミを元に戻した。

なるほどこうやって使えばいいのか。というかゾンビなのだがを刺すのは結構心理的にきついものがある。しかしちょっと慣れればそこまで大した事は無い。

少し逃げるのが楽になって来た。



────────────────────────



ゾンビ騒ぎを目の前にしてもう2時間は経っただろうか

先ほど武器をくれたおじさんが他の人にも配っているのだろう。ゾンビの数は少しずつ減り始め、まだ生存している人達はなんらかの武器を持ち出し始めた。バットだったり鉄パイプだったり様々だ。2階にはホームセンターが入っているので幸い対抗できる道具はそれなりに整っていた。どこからか一人の男が叫び伝えた。


「おーい!みんな聞いてくれ!このままじゃ1階からゾンビが入り続けてキリが無い。これじゃみんな力つきてお陀仏だ。」


男はデカい声で後に続けた。よく見たらさっき僕達にこの高枝切りバサミをくれたおじさんだ


「そこでだ。一階と二階の間にバリケードを作りたい。そこの家具屋の家具を使ってバリケードを作りたいから、力の在るやつはこっちにきてくれ。」


どうやら1階と2階にバリケードを作るつもりらしい。1階と2階の出入口は3個あるのでそこをふさげば何とかなりそうだ。


「俺らも行こうぜ」


剛史もそっちに向かっていく。


男の元に集まったのは40人程だった。他にも人はたくさん人はいるが力尽きていたり絶望したり恐怖で震えていたりでそれどころじゃなかったりと、まともに動けるのはこのぐらいの人数だった。


「よし。集まってくれた皆ありがとう。早速だが3班に分ける。1つの班ごとにバリケードに使う家具を運ぶ人と近づいて来るゾンビ達を倒す人に分かれてくれ!それぞれの班で一つの出入口を塞いで貰う!」



「バリケード建設作戦だ!」




やたらと機転が利く人だなと思った。

僕ら三人は同じ班に入れられた。それぞれの班はおよそ13人から14人程の人員が居たので家具を運ぶのが5人、その周りをゾンビから守るのが8,9人という事にした。僕達三人は周りでゾンビから守る側になることになった。


「じゃあいくぞ!」


集まった14人はお互いの顔を見合わせ、健闘を誓う。

僕達の班が任されたのは1階と2階を繋ぐエレベーター。正面玄関から最も近い出入口でゾンビの数も多い事が予想された。


5人がタンスを店から運び出す。僕らはこちらに向かってくるゾンビがいたら迎撃する算段だ。幸いゾンビはこちらに多く集まって来る気配はまだ感じない。


ゾンビ達が近づいてきた所で僕達の班でゾンビの迎撃に当たっているのは9人もいるのでそのうちの1人の運動神経のよさそうな男が今の所近づいて来るゾンビを倒してくれている。


ようやくタンスを運ぶ準備が整いエスカレーター前まで移動することになった。


「やあやあ、君たちは3人とも高校生かい?俺の名前は渡部哲司。よろしく。」


さきほど何体かのゾンビを率先して倒していた20代くらい男がこちらに話しかけて来た。こういう時に話しかけてくれるのはありがたいものがある。


「朝霧司です。よろしくお願いします。」


剛史と和也もそれに続いた。


「渡部さんはお一人ですか…?」


「いや違うよ。あそこにいる俺の嫁と2人で来てんよ。」


渡部さんが指を指した先で女の人がタンスを運びながらこちらに向けて手を振っている。


「渡部さおりでーす。よろしく」


気さくな感じの人だった。この状況でよく明るく振舞えるもの凄いと思う。


「じゃあまぁ挨拶もこれくらいにして、どうやらずっと駄弁ってる訳にはいかないようだ」


と渡部さんが言う。前の方から10体程のゾンビがやってくるのが見えた。


「おらっ────!」


一番槍と言わんばかりに一番前にいるゾンビにバットで打撃を与えたのは渡部さんだ。

さらに3人程がそれに続き残りの9体を仕留めに向かう。


「俺たちも行こうぜ」と剛氏が言うと


「横からも来てますからね。そっちも忘れないで下さいよ。」と和也。


右横からは3体程のゾンビがやって来ている。


「そうか、しゃあおらーー!」


右横のゾンビの1体を剛史が高枝切りバサミで刺す。高枝切りバサミは刃先から持ち手までの距離が3mあるので比較的安全な距離を保てる。

もう2体がさらにこちらに進んで来たので僕と和也がその2体を高枝切りバサミで刺す。


───やばっ!


僕の側にいたゾンビを刺し損ね、刃先がゾンビをカスる。


「ったくあぶねぇな!」


剛史がゾンビを刺したまま高枝切りバサミを振り回し、そのままこちらに向かって来るゾンビを打撃する。

バランスを崩したゾンビは態勢を崩し転倒。チャンスとばかりに僕はゾンビの首部を思い切り刺す。さっきからそこ以外の場所を刺してもゾンビを倒せはしなかった。ウガガガガというゾンビの音が弱まってきてやがて止まった。


他の2体も動かなくなるのを確認した。左横の方面でもなんとかゾンビを倒す事になんとか成功したようだ。

さっき10体いた前の方面は…どうやら苦戦してるみたいだ。3人で10体を相手にするのは厳しいだろう。剛史と和也も前の方面に応援に駆け付ける。

僕はこちらでゾンビがさらに来ないか見張る為に待機だ。


そうしてなんとか周りにいたゾンビを迎撃することには成功したみたいだ。また動きだす可能性もあるので倒れてるゾンビを避けながらエスカレーターまで移動した。


良かったここまでくれば安心だ。

エスカレターの入り口にいたゾンビを念のため剛史が下に突き落とし、そこに5人がタンスでエスカレーターを塞いだ。


さらにいくつかそこらへんに転がっていた雑貨をタンスに寄せてタンスが倒れないようにした。


「作戦の、成功だ!」


渡部さんは大きい声で言った。


「うおおおーっ!」


「やったー!」


そこにいた14人、そして僕らもバリケード建設作戦の成功の喜びを分かち合った。



3ヶ所の内少なくとも1ヶ所でバリケードを作ることに成功したのだ。他の2か所も成功しているといいが…


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