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30.図らずも不味い

 さてと、気を取り直して。そろそろ仕事を再開しなければ。僕のせいで随分と時間を食ってしまった。あれっ、本当に僕が悪いのか……?


「ありがとう、クリム。良くなったから。背中さすらなくて大丈夫」

「はいはーい。もう勝手に拾い食いしちゃダメですよぉ」

「拾ってないけどね? 降ってきたんだけどね?」


 ()()大丈夫。口に入った不味いドングリを吐いただけだから。


 ただ、ブレンは……ガチで吐いちゃった。まだ気分が悪そう。いや、幸せそうな顔なんだけど、また吐きそうでもある。なんと表現すればいいのか。嬉し吐き?


「ブレンさんはなかなか良くなりませんねぇ。どうしましょうか。いっそのこと、吐いちゃった方が楽になりますよぉ?」

「それ吐いた人に言うセリフじゃないよね? 多分だけど、クリムが背中を撫でてるから良くならない」

「えぇー? どういうことですかぁ?」


 この時点で全てを察した。


 やっぱりクリムは、ブレンの好意に気付いてない。自分のせいで相手が吐いたなんて、夢にも思っていないだろう。


 女神は女神でも、人を吐かせる女神。最悪だぁ……。


 ブレンもブレンで、もうちょっと頑張って欲しかった。まさかと思ったけど、そのまさかだよ。全然善処が足りてないっ!


「はぁ……クリム。それくらいにしてあげて」

「うえっ!? 私がいじめてるみたいな言い方しないでくださいぃ~!」

「してないしてない。ほら、僕と交代」

「グルメさんがさすった方が良くなるんですかぁ?」


 ブレンからクリムを引き剥がし、夢心地の彼の背中をドンと叩いてやる。


「おーい、起きろっ」

「……はっ!? 敵襲か!」

「味方だよ! さては、完全にトリップしてたな?」

「夢……じゃないのか。本当に、クリムがさすさすしてくれた……あぁ、何だこれは。下手な酒よりも中毒性がある。自分の意志では抜け出せぬ。くっ、思い出したらまた……うぷっ」

「思い出し吐きは止めて! まぁ、これで僕は約束を果たしたよね?」

「承知した。殺すのは勘弁してやろう」

「で、気分はどう?」

「最高っ!」

「そりゃ良かった」


 うむ。なかなか恩を売れたと思う。さすがに手玉には取れないけど、僕の計画には快く協力してくれるだろう。幸先が良い。


 僕は正気に戻ったブレンを一瞥する。どこからどう見ても立派な兵士。冷淡な無表情でクールに決めている。つまり、あれだ。黙っていれば、いい男。


 そんなブレンを容易くたぶかしてしまうなんて……クリム、魔性の女っ!


 クリムにさすさすしてもらえる券を発行したら、廃人まっしぐら。いい商売になるかもしれない。ちょっと考えてみよう。


「じゃあ、クリム! 仕事に戻ろうっ!」

「グルメさんはお仕事を見てるだけでしたけれどねぇ」

「確かに!!」

「それで、ブレンさんはどうするんですかぁ? 一緒にお仕事するぅ?」

「あわわ……その……グルメ、グルメ……!!」

「えっ、僕? あー、はいはい。僕が代わりに伝えるのね。なになに……大変光栄ですが、これより兵団の訓練があるため帰還しなければなりません」

「うえっ!? グルメさん、いつの間に兵団なんて所属していたんですか!?」

「違う違うっ! 僕がブレンの言葉を通訳してるの! 察して! いや、そもそも! どうして僕は異世界で通訳なんてしてるんだ――!?」


 全く、不思議なことがあるものだ。


 それよりも、ブレンは訓練の合間に何やってるの!? よーしっ! 訓練前にさくっと誘拐しちゃおう! なんて考えないでしょ!


「ありゃあ。せっかく会えたのに、帰っちゃうんですねぇ。残念」

「上官の命令は絶対であるため、申し訳ありません。だってさ」

「そうですかぁ。一緒にお昼ごはんを食べられると思ったのになぁ」

「なっ――!? た……食べるっ……!!」

「上官の命令は絶対じゃないの!?」

「仕方ないだろう、グルメ! クリムとお昼ごはんの方が! 優先順位は上っ! 現場の俺がそう判断したんだ! 上官も采配に納得してくれるはず!」

「しないと思うよ!?」


 本当にエリート兵士なのか? 怪しくなってきたぞ……。


 まぁ、クリムの仕事が捗るならいいか。遅れた分を取り戻せれば。


「ふふっ。変な人ですねぇ。グルメさんの次に変な人ですねぇ」

「僕が不動の一位なの?」

「えへへー。じゃあ、3人でお仕事しましょう! たーだーしー! 一つだけ条件があります。私のグルメさんを取ろうとしないことっ! いいですかぁ?」

「はい、なになに……こんな奴いらないってさ。いや、本人に何を言わせてるの!? こんな奴って! 確かにこんな奴だけど!!」


 やれやれ。とりあえず、誤解は解けたようだ。これで無事に、ブレンはクリムと友達に……なったよね? 2人だけじゃ会話も成立しないけど。


 こうして、僕たちは3人で森を回って仕事を再開するのだった。



   ☠



 僕と、クリムと、ブレン。


 そうそうたる顔ぶれ。一癖も二癖もある、ヤバイメンバーが集まってしまった。さらに、例の作戦ではミキサも加わると。今から凄く不安に思えてくる。


 この3人で仕事をした日には、絶対に問題を起こしそう……。


 という予想とは裏腹に、僕たちは案外上手く連携できていた。


 歌いながら木を数えて、進捗を記録するクリム。


「ふふ~ん、ポンの木が1本~、ポペペンの木が3本~♪」


 周囲を警戒しながら、黙々と任務をこなすブレン。


「……担当エリア、完了。異常なし。半径10メートル以内の敵影なし」


 ブレンの終えた仕事分を聞いて、クリムへ伝える僕。


「おーい、クリム。ポペン4、モジャ3、ドロベチャ28追加で」


 即席のチームにしては上々。従来よりも二倍の効率でどんどん進んでいく。あっという間に遅れを取り戻せそう。


 ただ、僕がそんなに仕事してないなんて……言わないでよね。これでも頑張ってるから。通訳も立派な仕事。


「ふん、ふふ~ん、ポペンの木が4本~、モジャの木が3本~♪」

「あのさぁ、クリム。その歌は何? さっきから耳に付いて離れないんだけど。延々と脳内でリピート再生。壊れたラジオみたいに止まらない。どうしてくれる」

「おおっ、グルメさんも気に入りましたぁ? これは、ポペンの歌です」

「ポペンの歌」

「私が作ったんですよ?」

「才能ある」


 クリムにこんな隠された才能が。CDデビューは無理だけど、CMソングには使えそう。僕も、ふとした拍子に口ずさんでしまうこと請け合い。


「この歌はですねぇ。お仕事しながら作ったんです。だって、一人でずっと回るのは寂しいじゃないですかぁ。森が好きでも、一人は寂しい。だから、私は歌いながら数えるんですよっ!」

「なるほど。クリムらしいね」

「ちなみに、今のメロディはポペンの歌の3番です」

「3番?」

「全部で108番までありますからねぇ~」

「どんだけ作ってるの!?」


 クリムは歯を見せてニシシと笑う。こっちまで楽しい気分になってくる。


 すると、背後から僕を呼ぶ声が。


「グルメ、グルメ……!!」

「はーい、何かあったー?」

「ズルイぞ。お前だけクリムといちゃついて」

「ちょっと話しただけじゃん! そんなに羨ましいなら、自分で喋ればいいのに」

「それは無理だ! でも、俺だっていちゃつきたい!」

「面倒だなぁ」

「2人とも、どぉーしたんですかぁ~?」

「ひいっ!? クリム……あぅ……」


 ほら、通訳がいないとダメ。僕に向かってはガンガン喋るのに、クリムが近くにいると委縮してしまう。借りてきた猫よりも大人しい。


 どうやって克服させればいいのだろうか。徐々に距離を縮めていくとか、目隠しをしてクリムを認識させないとか。あれ、なんで僕が頭を悩ませているんだ?


「不思議ですねぇ。グルメさんとは喋れるのに、私とは喋れない。どうしてだろう? もしかして、アレルギーですかぁ? クリムアレルギーですかね?」

「クリムアレルギーとは」

「あのですね、ブレンさん。言いたいことは口にしないと伝わらないんですよぉ。あの時、言っておけばよかったって。いつか後悔しちゃいますからね?」

「こっ……後悔……!?」

「そうですっ! 私も経験があります。ほら、言いたいことがあるんでしょう? 今、私に一番伝えたいことは何ですかぁ?」


 ここまで言われて、引き下がっては男が廃る!


 瞬間。ブレンの目の色が変わった。


 あの時の目だ。完全に据わった目。遂に覚悟を決めた。クリムに積年の想いを伝える日が来たのか――!?


「俺、が……伝えたい、こと……」


 なんだろう。僕の胸の奥がチクリと痛むような。きゅうっと心臓が苦しくなるような。もしや、この気持ちは……不安? またブレンが吐くんじゃないかと。


 違う。もし、ブレンがクリムと普通に話せるようになったら。


 僕の仕事がなくなる――!! 通訳が不要になる! 僕の存在意義が! そりゃあ、不安に思ってしまう訳だ。


 彼はゆっくりと口を開く。めっちゃドキドキしてきた……。


「くっ、クリム……俺……」

「ふふっ。なんですか?」


 深呼吸を何度か挟み、ブレンは彼女に言い放った!


「俺を、クリムのペットにしてくださいっ!!」


 ……は?


 はあああああああああああああぁ!? 違うだろっ! そうじゃないだろ!? どうして!? どうしてそうなる――!?


 それは言っちゃダメな奴! なんで今、爆弾を投下したァ!? それは胸の内に押し留めるべき! いや、「言ったやったぜ」みたいな表情! どういう気分でそんな顔してんの!? むしろ、言ったら後悔する奴っ!!


 あーあ。台無しだよ。ラーメンに生クリーム。餃子にチョコレート。


 ブレンの(衝撃)告白を受けて、クリムの回答は――


「うえっ!? 無理ですぅ~!!」

「ガーン……」

「だって、私はグルメさんだけでも手一杯なのに! もう一人なんて飼えません~!」

「あ……そっち……?」

「でもでもっ、グルメさんと交換なら」

「えっ、嘘でしょ!? 僕が捨てられるパターン!?」

「うーん。ブレンさんの方が優秀そうですよねぇ。お仕事もできるし、木だって登れるし。って、冗談ですよぉ! 不安そうな顔しないでくださいぃ~!」

「ほ、ホントに……? かなり焦ったんだけど」


 冗談なのか。いや、クリムのことだから、少し本気で考えたかもしれない。まさか、予想もしていなかった。僕の方が捨てられるなんて――!!


 実際に僕とブレン。どちらをペットにしたいか。全国の10代から60代の女性に聞き込み調査を行った結果……選ばれたのはブレンでした。そんな幻想すら垣間見える。


 全てが間違っていた。


 ブレンはクリムのライバルじゃなくて、僕のライバルだった――!!


 一枠しかないクリムのペットの座を賭けて争う仲! みすみす明け渡してなるものか! いかに友情が芽生えようと、僕にだって絶対に譲れないものがある! 負けないぞっ!


 はて、どうして僕はペットの座に執着しているのだろうか。最初は不本意だったはずなのに。いつの間にか、居心地が良くなってしまった。


「グルメ、聞いただろう。一生のお願いだ。代わってくれ」

「嫌だよ! 一生のお願いをこんなことに使っちゃっていいの!? いや、そもそも! 同族をペットにするのは有り得ないでしょ! 完全にそういうプレイだよっ!」

「うえっ? どういうプレイなんですかぁ?」

「クリムは知らなくていい」

「安心しろ。何も問題はない。上官だって納得」

「納得しないよ!!」

「それに、ペットは主人を守るために優秀である方がいいだろう。俺の方が適任じゃないか」

「一人じゃマトモに喋れない癖によく言えるね!?」

「もちろん、タダとは言わない。そうだな。今なら、嫌いな奴が二度と目の前に現われなくなる特典を付けて」

「 い ら な い ! ! 」


 喋れないことと、すぐ吐くことに目を瞑れば、ブレンの方が適任。僕自身が一番理解している。ただ、そうじゃないんだ。優秀である必要はないんだ。


 飽くまで僕の持論だが、ペットは手の掛かる方が可愛い――!!


 はて、どうして僕はブレンと張り合っているのだろうか。


「クリムは僕を捨てないよね?」

「くっ、クリム……俺を……お願い……」

「もぉー! 2人に詰め寄られても、困りますぅ~! 私は1人しかいないんですからぁ~!」


 どこかで聞き覚えのあるようなセリフを叫びながら、クリムはてんやわんやするのだった。これなんて乙女ゲーム?


 ただ、一つだけ言えることは。どっちの男も吐くほどヤバイ奴っ!



   ☠



 ブレンの事情を考慮して、少し早めのお昼ごはん。


 彼の目的がお昼ごはんならば、食べれば帰還してくれるだろう。無事に訓練へ間に合うことを願う。もう手遅れかもしれないが。


 背負っていたリュックを下ろし、袋の底から取り出したのは――大きな葉っぱに包まれた弁当。はたして、中身は何だろう。


 期待半分で、恐る恐る葉っぱを広げると、登場したのは白いお米の塊。


「おおっ! これは、おにぎりだっ!」

「おにぎり? 鬼のようにギリギリって意味ですかぁ?」

「逆に聞こう。何それ。人間は、この料理をおにぎりって呼ぶんだよ。エルフはなんて呼ぶの?」

「ギュッです」

「ギュッ? えっ、ギュッ?」

「だから、ギュッです」

「ギュッ。それだけ!? この名前を考えた奴は、手抜きにも程がある!」


 お米をギュッとするから、ギュッなんだろうけど。もう少し捻ってもいいんじゃないかな。こんなにシンプルな料理名は、他に「フォー」ぐらいしか知らない。


「グルメ、グルメ。これはもしや、あの伝説の――クリムの手料理!?」

「勝手に神格化しないでよ。期待を裏切って申し訳ないけど、クリムのお母さんの手料理」

「カスタさんの……俺は一向に構わんっ!」

「人の弁当を食べる気満々だね。まぁ、3つあるから分けてあげてもいいか」

「あれぇ? 私の方は6つもありますよぉ~」

「脅威の格差社会。理由は何となく察した」

「えへへー。こっちは私のですからぁ。一個もあげませーん」

「さすがクリム。期待を裏切らない。分け合って食べた方が美味しいという、父親の教えはどこへ」


 仕方なく、僕はブレンに1つだけ分けてあげる。残り2つ。サイズは大きいから十分に足りると思う。


 そして、カスタには頭が上がらない。荷物の準備のみならず、早朝からおにぎりまでこしらえていたなんて。今度クリムの実家へ行く時は、手土産を持参しなければ。


「いっただきまーすっ! あむっ。うんうーん! 美味しいっ! どうして、おかーさんの料理はみーんな美味しいんですかねぇ」

「……ふぅ。カスタさん……いただきます……む、美味いっ!」


 二人とも笑顔が零れ落ちる。いいなぁ、美味く食べれて。


 その時。ふと、クリムはポツリと呟いた。


「やっぱり、3人で食べると美味しいですねぇ。お仕事の時、私はいつも一人でお昼ごはんを食べていましたから。でも、今日はお仕事も楽しかったです! 一人じゃないから、寂しくないっ! こんな日が、いつまでも続けばいいのになぁ~」

「大丈夫。これからは、僕も仕事を手伝うから。いや、まだ全然手伝えてないんだけど」

「お、俺も……」

「ブレンは兵団の仕事があるだろ? だから、僕に任せて」

「グルメには、安心して任せられない」

「どの口が言うんだ」

「うふふっ」


 では、僕も食べるとしよう。


 そういえば、炊いたお米をそのまま食べるのは初めて。これまでは、料理として一手間加えたお米しか食べていなかった。


 日本人といえば、白米。真っ白なご飯こそ、日本人の心。


 噛むとほんのり広がる甘み。どんなおかずにも合う、万能な食材。炊き立てホカホカだと美味いが、おにぎりならば冷めても美味い。


 もしも、無人島に一つだけ食材を持って行けるならば。断言しよう。米一択。


 ドリアのような料理に使ってもいいが、やはり米はシンプル・イズ・ベスト。真っ白なお米で、不味いものなんて食べたことがないっ!


 手に持って、じっくりと眺める。純白の色ツヤ。パールさながら。


 海苔は巻かれていない。具も入っていないようだ。薄らと塩の香り。つまり、おにぎりの原初にして究極形態、塩むすび。一周回って、素朴な味わいが癖になる。


 色んな食材の味が混ざり合って不味い――ということはないだろう。


 僕と、米との、真剣勝負。


 これは世界の常識だが、日本人は米が好きだ。そして、奇しくも僕は日本人。


 異国の地で口に合わない料理に出会ったら、真っ先に思い浮かべるのが白米だろう。見るからに真っ白なお米。謎の果物や植物じゃない。


 米が日本人の口に合わずして! 他に何が食べられようか!


 裏を返せば、日本人好みの食材。不味いはずがない。不味くなる要素がない。だって、無駄に手を加えていないんだから。


 素材の風味をそのまま生かした、塩むすび。迷わず大きく頬張る。


――はっむ





………





……









「ベバアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!? ファッ!? はひぃ……ヴェッ! ボボゲぇ! マズッ! 図らずも不味いッ!! 忘れてたァ! こやつは米じゃなくて! 米の形をした炭――!! 元素記号で言えばC! 手を加えていようといまいと! 素材が不味けれりゃ、何も変わらないっ! 固まった墨汁のような味! ざらざらした舌触り! 断じて米とは認めん! 日本人を舐めるな――!! うえっ! 異国の地でも、滅多に出会えぬレベルの不味さ! 鎖国されるぞォ! やっぱり日本の米が世界で一番美味い! あっ、そうか! 日本人は米に対して、舌が肥えているッ!! 道理で異世界の米が不味い訳だ! 絶望したっ! 米食えば、僕が吐くなり、法隆寺ィ――!! ぬええぇ……」


 当然の結末。日本人は米に対する評価が厳しいのだ。


 小さい頃から、世界一美味い米を毎日浴びるように食べているから。


 どれだけ日本の米が恵まれているか。知りたければ、海外へ旅行してみるといい。東南アジア辺りがオススメ。現地のタイ米を食べたら、一瞬でホームシックになるかもしれない。


「またか、グルメ。お前はどれだけグルメなんだ」

「ホントだよ……クソォ……この舌を恨むぞぉ……!!」

「仕方ないな。残りは俺が食べてやろう」

「いや、食べるっ! 一個は食べる! カスタさんに感謝して! でも、もう一個はあげるっ!」

「あーっ! ブレンさん、いいなぁ~!」

「待って。クリムの分は6つもあったじゃん。あれ、どこ行った……?」

「そんなの、もうとっくに食べちゃいましたよぉ」

「嘘でしょ!? 早くない!?」

「これくらい、ペロリといけちゃいますっ!」

「ペロリの次元を超えている――!!」


 そんなこんなで、僕たちは楽しくお昼ごはんを食べるのだった。


 確かに、1人よりも2人よりも、3人で食べた方が美味いかもしれない。いや、不味いけど。気分は美味い。


 ただ、できれば日本に帰って炊き立ての白米を食べたいなぁ……。

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