未来での戦闘
外へ出た。
外は想像していたよりひどい。
昔テレビで見た軍艦島の様な景色が360°永遠に続いている。
東の方で遠い所何かが絶えず光っている。戦闘の光だ。
「守ちゃん先行ってるよ。」
いつのまにか健司がバイクに乗っている。
「じゃあ、お先~」
速い。一瞬で健司が豆粒ほどの大きさになった。
もしかして
「バイク出して。」
「了解」
まぶしい
陽は目を閉じた。
目を開けると目の前にさっき健司が乗って行った物と同じバイクがある。
陽は銃を両足にあるポケットに入れバイクに乗って健司の後を追いかけた。
いくら進んでも景色は変わらない。
本当にここは日本なのか?
少なくとも約100年間戦争をしていなかったのに…
しかも健司や竹田哲平、西尾ひとみの様な子供が戦っているなんて…
しばらく走っていると戦闘の光があった所へついた。
絶えず爆音が鳴り響いている。
3階建てのアパートの屋根の上に誰かいる。健司だ。
「あっ、来た。じゃあ交代しに行くか~。」
そういうと健司は走り出した。
「健司!危ない!」
突然空から健司目掛けて何かが降ってきている。
ドオーーン
地面が大きく揺れるほどの衝撃が起きた。しかし陽は50メートルほど後ろに飛ばされが全く痛みを感じない。今来てる服のおかげか?そんなことより健司は。
あたりを見渡しても健司の姿はない。その代わりに健司がいた所には瓦礫の山がある。
あまりの出来事に陽は唖然とその場で立ち尽くしていた。
ガラガラガラ
「いててて。危ねえ。」
健司は平然とした顔で瓦礫の中から出てきた。
え?
「お前、大丈夫か!」
「大丈夫、大丈夫~。」
「本当に?」
「スーツ着てるから俺らはあんぐらい大丈夫でしょ?」
「お前ら!おせーぞ。午後からはお前らの担当だろうが。」
いつのまに二人の大人の男達がいた。
「お前ら、後でお詫びとして夕食奢れよ。」
「じゃあ後はよろしくな~。」
そういうと男たちは今出したバイクに乗りその場を去って行った。
「アイツらいつも遅れてくるくせに。」
「二番隊前衛の無線に参加します。」
いきなり端末が動き出した。
「着いたな」
竹田哲平の声だ。
「今日でやっと妨害電波塔の一つ目が完成する。後6時間だ。それまで二人は無人兵器を食い止めておいてくれ。」
「了解」「…わかった」
無人兵器?人とは殺し合わないのか。
少し希望が見えてきた。人と殺し合うならどうしようかと思ったが。でも未来の無人兵器か…
……
何かかが近づいてくる。
…ン …シン ズシン
5メートルくらいのロボットだ。
「1機目。」
健司が急にジャンプしてロボットに乗り移り首の装甲の隙間銃弾を撃ち込みあっという間に倒してしまった。
凄え、どうやるんだ?
スーツのどこを探しても操作ボタンの様なものがない。
「もう一機きます。」
ガガガガガガ
まずい撃ってきた。健司はどこかへ移動していったのか?姿が見えない。
一か八かここから首の装甲の隙間を狙しかない。
ドドドドド
だめだ、下からだと当たらない。
何時間も逃げながら撃ってみたが装甲の隙間には全く当たる気配がない。
陽は建物跡の中に逃げ込んだ。
ドシン ドシン
陽を見失ったロボットが建物の周りをうろついている。
ヤバイ、このままだといつか殺される。
陽は端末を開いて、
「さっきの健司の様に動くにはどうすればいい?」
「先程の進藤健司の動きはスプリングシューズによる物です。現在の靴をスプリングシューズに変更しますか?」
「…まさかスーツも君が制御してるの?」
「はい。それと私は君ではなくジルと言う名前があります。」
「じゃあジル、靴をスプリングシューズに。」
「了解。」
靴が少し光った後少し形が変わった。
これなら
ズシンズシン
さっきの光を感知してロボットが戻って来た。
陽は走って建物を出てロボットに飛び乗り装甲の隙間に銃弾をくらわせた。
ガガガガ…
ロボットは動かなくなった。
これならなんとかなりそうだ。健司と合流しよう。
近くに五階建てのマンションがある。陽はそこに一飛びで登った。
近くに健司の姿はない。
そうだ無線がつながっていたんだった。
「ジル、無線繋いで。」
「了解です。」
「健司今どこだ?」
「今?さっきのとこから東に1キロぐらい。」
「6時間経ってないけどもう帰ろうぜ。ここら辺もういないや。」
「わかった。」
五分程待つと健司と合流した。もう日が沈みそうだ。
「哲平ちゃん達がいる所行こう。」
「え?ああ、わかった。」
しばらくバイクで走っていくと薄暗い景色の中でポツンと光が見えた。
光の方へ行くとそこには小さな町があった。
「地上にも町があるじゃないか。」
「何言ってんの、今一瞬で作ったんだよ。」
「そんな簡単に建てられるのになんでここだけ建てたんだ?」
「建ててもすぐさっきのロボットに壊されるでしょここは妨害電波で侵入されないから。」
「なるほど。」
「あっ先に二人戻ったみたいだ。」
「もう下に帰ろう。」
二人はエレベーターに乗って地下へ向かった。
エレベーターの中で健司に聞いた話によるとさっきの町が初めて日本人が地下へ逃げ込んだ後地上にできた町らしい。
二人はエレベーターを降りた後スーツを脱いで寮へ戻った。寮へ戻り朝自分が寝ていた部屋、陰山守の部屋へ戻った。寮の一部屋は普通の家と変わらない。一部屋一部屋にお風呂、トイレがある。食事は共同の食堂があって寮に住んでいる人は無料。外には普通に飲食店があり、外出許可を取れば外で食べたい物があれば外に食べに出れる。
陽は疲れていたので夕食は食べず、風呂に入った。
腕の端末は防水のようだ。外し方がわからないので付けたまま入った。
風呂を上がって鏡を見ると知らない顔の男がうつっている。当たり前か、こいつと俺は入れ替わったのか?未来と過去の人間が?考えても一向に答えは出なかった。
絶対過去に戻ってやる。そう決意した。
陽は着替えてベットで横になった。疲れていたせいかすぐ眠りに入った。
「…ら!…きら!陽!」
懐かしい声が聞こえる。ん?陽?
陽が目を覚ますとそこは家のリビングだった。