タイムスリップ?
陽は警察署で麻薬の検査を受けた。
当然陰性だ。
何も反応出なかった為陽は帰された。
もう空は暗くなっている。
「そういえば一つ機能を言い忘れていました。」
「何を?」
「やっぱ今日はいいや、また捕まったらやだし、眠いし、明日教えてよ。」
「了解しました。」
陽は家に着くなり少し横になろうとリビングのソファーに横たわった。そしてそのまま寝てしまった。
「……ろ! …きろ! 起きろ!」
陽が目を覚ますとそこは全く知らない場所だった。
目の前に知らない男の顔がある。40代くらいだ。
「うわぁ!」
陽は飛び起きた。
「お前寝坊とは何事かー!」
全然知らない場所だなんだ夢か
「無視するな!」
「誰?」
バチーン
おもいっきり殴られた。
でも夢だから痛くないはずだ。
⁈
「イテーー!」
おかしい。
夢なのになんで痛いんだ?
「早く準備しろ!」
「交代の時間だ。」
そう言って首根っこを掴まれて建物の外に放り出される。
「なんだ、ここ…。」
そこは、地下だった。とても広い地下空間に建物がたくさんある。町だ、普通に道もあり、車も走っている。しかも外にいないのに外のように明るい。陽が立っている場所は自衛隊の駐屯地によく似ている。
ここは、未来の日本なのか?俺はタイムスリップをした?
明らかに現代の技術では再現できないような物がある。
まず、道路に信号機はなく代わりに画面が浮いている。
建物も見た事もない形の物ばかりだ。道行く人々もスマホではなく浮いている画面をいじっている。?昨日吉田に貰った物と同じ物だ。
「おい。」
後ろを振り向くとさっきの筋肉質で高身長の男がいる。
「お前集合に遅れているのにぼけ~っと何をしているんだ?」
陽は声も出ない。
しばらく沈黙が続いた後、
「ハハッ、嘘嘘ホロだよ。似てた?あの鬼教官の真似。」
「俺だよ俺、進藤健司。」
男の体が光ったかと思うと次の瞬間同い年くらいの姿になった。
「いや~そんな綺麗にひっかかるとは思はなかったよ。」
「そういや昨日夜寮を抜け出して警報鳴らしちゃた奴いたじゃん、あれ俺なんだよね~ここだけの話。」
結構チャラい奴だな。
「その話後で詳しく教えて貰おうか。」
さっきの教官だ。健司がやばっと言う顔をしている。
「さっさと集合場所へ行け!」
「「はい!」」
二人は走ってその場を去った。
もうこうなったら怪しまれない様に周り合わせよう。
「こっちこっち。」
健司について行くと、永遠に上へと伸びているエレベーターがある施設に着いた。地上へ続いているのだろうか。
施設へ入ると、
「遅い!」
と声が聞こえた。
声がした方を見ると二人男女が立っている。
男の方はメガネを掛けていて真面目そうだ。
女の方は可愛いけど
「もう20分もロスしてる。早く準備してきて!」
怖そう。
陽と健司はロッカー室へ入った。
部屋にはロッカーが4つあって一つ一つに名前が書いてある。
陰山守
進藤健司
竹田哲平
西尾ひとみ
俺の名前がない。
隣で健司はロッカーの中から取り出した濃い緑のパーカーコートを被ってリュックを背負っている。軍服みたいだ。パーカーコートの右肩部分には02と書いてある何かの班?の番号みたいだ。
健司は準備が終わったようで急いで部屋を出て行った。
なんなんだよ
残された陽は仕方なく、誰も使っていない陰山守のロッカーの中のパーカーコートを着てリュックを背負って部屋を出た。
さっきまで三人とも違う服を着ているようだったのにパーカーコートを羽織ると全員同じ服装になっている。そうか、全員同じ色ののズボンを履いていたからか?軍服みたいだ。
「いくぞ。」男の方(多分竹田哲平)が仕切っている。アイツが班長的な立ち位置のやつか?
「配置別に乗れ、進藤と陰山は一番の俺と西尾は5番のエレベーターに乗る。」
「それと陰山、これ昨日戦闘中無くしたろ。バックアップしといてよかったな。ほれ新品。」
そういうと竹田は、あの謎の端末を渡してきた。
「え?ありがとう。」 ?
「もう無くすなよ。兵站の奴らが怒ってたぞ。」
「ああ。」
陽と健司はエレベーターに乗った。
健司はエレベーターに入るなり壁に寄りかかって居眠りをし始めた。
戦闘中?無くした…
今更だが陽の脳裏に不安がよぎった。
何となく周りに合わせていたがよく考えると自分たちはこれから戦闘に行くらしい。それも未来の、
「なあ。」
たまらず陽は健司に話しかけた。
「何?」
「これからどこへ何しに行くんだっけ。」
すると健司は当然のように
「地上で戦争しに。」
「どの国と?」
「?大体全部。」
陽の不安は的中した。これから俺はこいつらと一緒に上で戦争をしに行くのだ。大体全部って…
何でこんなに緊張感がないんだ。もう生きて過去には戻れないのだろうか。
陽が絶望している間も束の間エレベーターが止まった。
健司は欠伸している。
エレベーターを出るとまだそこは地下のようだった。
エレベーターの正面には少しの広場があり、その奥には階段がある。
だが地上に近いようだ。さっきから戦闘?爆発?の振動が伝わってくる。
他には誰もいない竹田哲平と西尾ひとみは違うところか。
「装備チェック。」
健司がいきなり喋り出した。
あの端末を忘れていた。
急いで端末を腕につけて健司と同じ言葉を言った。
「装備チェック。」
「魂魄認証クリア、ロック解除。」
「装備確認……装備はいつものでよろしいですか?」
「あ、ああ。」
「了解。分解ののち構築します。」
え?
さっきまで結構重かったリュックが軽くなった。
中身がなくなった?
その代わり両手に何か重い物がある。
銃だ。サブマシンガン?
想像していたより遥かに軽い、技術が発達しているからか?
そういえばさっきまで何も入っていなかった数カ所あるポケットにも何か入っている。
どうすればいいのかわからないので健司を見るとフードを被っている。フードを被った健司は全身が何故か少し光っているようにみえる。
慌てて陽もフードをかぶる。
「やべっ、後衛の二人がもう出てる。」
そういうと健司は急いで階段を登り始める。
陽も慌てて追いかけた。
階段を登った先にはドアがある。どうやら外とつながっているらしい。
「ドアを開けます。ご注意ください。」
ともかく生き残らないと
ドアが開いた。