運営事務局長ラファエルの準備!
生命管理省大臣官房総務課長のラファエルは、生命管理大臣のゼウスから天界最高議会運営事務局長を内示された。
自分の部屋に戻ったラファエルがまず取り掛かったのは、運営事務局のメンバー構成だった。
ラファエルは少数精鋭部隊の編成を考えていた。少ない人数ならば関係が濃密になり、情報統制や事務局運営のコントロールがやりやすい。そこで、各省庁から2名ずつ派遣させる案を考えた。事務局長を生命管理省の自分がやるならば、省庁の序列や議案共同提出の経緯から考えても事務局長補佐は破壊省から出されることになるだろう。そうすると、係長クラスに残りの3省から1名ずつ出させるとして、あとは実際に手を動かす兵隊として、各省から若手を1人ずつ出させたら合計10名で規模的にもちょうどいい。
ラファエルは、生命管理省から連れて行く若手を探すため、人事名簿をめくった。
そもそも生命管理省は天界中央省庁の中でも長年トップに君臨する官庁であり、毎年入省してくる20名前後の職員は、天界第一大学のトップ20の非常に優秀な人材である。
ラファエルの目がひとりの名簿に止まった。マルコスという名の若手職員で、直近の人事評価は全てS評価であった。申し分ないな、とラファエルは思いながら、マルコスの上司に内々の話を入れたのであった。
11月に入った頃、ラファエルはマルコスを総務課長室に呼び出した。
部屋に入ってきたのは、すらっとした体格に濃いブルーのスーツを着た隙のないスマートな青年だった。
「天界最高議会運営事務局への派遣の話は上司から聞いております。大役に抜擢していただき光栄です」
マルコスは深々とラファエルに頭を下げた。そんなマルコスの所作を見て、将来上まで上り詰めるな、とラファエルは直感した。
「じゃあ、行くぞ。」
ラファエルは席を立ち、スーツに袖を通す。
「えっ?行くって、どこにですか?」
「破壊省だ」
ラファエルはマルコスを連れて、破壊省へ向かった。生命管理省と破壊省は別のビルだが、連絡通路で繋がっている。
エレベーターで14階まで上がり、2人は破壊省の大臣官房人事課長室に入った。
中には、破壊省大臣官房人事課長のドガと破壊省若手職員のカポーティが打ち合わせテーブルに腰掛けていた。
ドガは2人をみるとにこやかに手を挙げた。
「やあ、待ってたよ。」
ラファエルも穏やかな笑顔を浮かべ、
「ドガさんがパートナーなら心強い。」
と応じた。マルコスとカポーティはこの時まで議案の内容については一切知らされていなかったが、ラファエルとドガのやり取りから、今回の議案は生命管理省と破壊省が共同で通すんだと悟った。
そして、4人は打ち合わせテーブルで今後のスケジュール感や想定される問題事項について2時間近くかけて話し合った。こうした打ち合わせは、12月15日に生命管理大臣と破壊大臣が議案を共同提出されるまで、毎週2回行われたのであった。