運営事務局長ラファエルの憂鬱!
天界最高議会の開催決定から3ヶ月前、まだまだ残暑が厳しい日であった。
生命管理省大臣官房総務課長のラファエルが生命管理大臣ゼウスから呼び出しの電話を受けた。
ラファエルはこの時すでに嫌な予感がしていた。省内では、ゼウス大臣は非常に優秀だが、時にスタンドプレーに走りたがるきらいがあるという評判であり、ラファエルも同じ評価をしていた。
ラファエルがスーツを着込んで、大臣室に入るとゼウスが革張りの椅子に腰掛けていた。珍しく、秘書官がいなかったことで、ラファエルは、これは嫌な予感が的中したな、と心の中で舌打ちをした。
「大臣、御用でしょうか」
ラファエルが扉を閉めてから、恭しくゼウスに伺うと、ゼウスは静かな口調で、「まあ、かけたまえ」と、ラファエルに勧めた。
「来年3月15日に、天界最高議会を開こうと思っているんだ」
そう来たか、と思いながらラファエルは即座に尋ねた。
「6600万年ぶりですね。そこでどんな議案を提出するのですか?」
すると、ゼウスは椅子から立ちあがり、大臣室の窓から外を見下ろしながら、口を開いた。
「そろそろね、人類をなんとかした方がいいんじゃないかと思ってるんだ。」
「.....そうですか。」
「そういうわけで、3ヶ月後に破壊大臣と議案を共同提出するからね。君には運営事務局の事務局長を任せたいんだ。」
大臣からの直々の指令に刃向えるはずもなく、ラファエルを頭を下げた。
「承知しました。」
「うん。分かってると思うけどさ、この議案、絶対通すからね。よろしく頼むよ」
そういうと、ゼウスはラファエルの肩を軽く叩いた。
大臣室から出るとラファエルは即座に運営事務局の構成を考え出した。実際に議案が通るかどうかは、3月15日の本議会ではなく、それまでの運営事務局の準備で決まる。
ラファエルは憂鬱を抱えながら、メンバー構成をつくりはじめた。