リオン死す?
ポコラン ドン ドン
木が割れる音がしたとほぼ同時に二人の男が馬車内に飛び降りた。
「大人しくしてもらお、そすれば危害を与えるつもりはない」
一人の渋い方の男が一歩前へ出て僕達に剣を向けながら言い放つ。しかし隣のチャらい方の男はお母様を見てあやし音を立てた。
「ひゅう~すんっげ美人じゃん、三人の子供の母親には見えねな。な お前さんよ」
お母様は動じず僕を自分の後ろに下がらせ前に出て庇いたてる様に両腕を開いた。
「だまらんか屑、それくらいにしておくのだな。ああ見えても、魔法師の端くれだ。子育てで腕が鈍ってるとは言え、油断すると死ぬぞ。」
「はいはい、わかってるって。」
さっきの渋い人が手を上げチャライ人を止めた、そしたらチャライ人は肩をすくめて片手のナイフを握りながら ほいほい した。
「よし、じゃ先ずは馬車を止めて貰う、おい御者ばしっく」
渋い人は言いながら御者の方に顔を向けた、しかし御者は突っ込むで来て何か光る物でチャライ人を刺したことに驚いた。お母様は目を閉じ僕を負い被る様に抱かかえ、チャライ人は目を見開いて懐に突っ込むで来た御者を見詰める。
渋い人はようやく反応し御者を殴り倒した、御者は気を失い、お母様はびくとして僕を抱える腕に力を入れた。
「ひぃひぃん」
御者が傷付いたのを感じたかの様に馬は呻れ、手綱が離れた馬は暴れ速度を上げ前に突き進む。
今度は渋い人がすぐに反応して、馬の手綱を握ようとすると、僕達から背を向けた。
その機会 僕は決して見逃さない、お母様は僕が守る そう僕は決心した。
暴走してる馬の所為で車内は安定しない、物凄く揺れて渋い人は手綱に手を伸ばし 着かんだ。しかし道の先に曲がり角があり、止まらないと先の崖から落ちることになる。前を見て、渋い人は必死に馬を引きとめようとした。渋い人は思い切り手綱を引っ張る。
「ひぃんぃん」
馬は手綱に引っ張られて呻り声を上げ、急停止した。そして其の瞬間、渋い人は微かに前へ傾いた。ずっと機会を探している僕は思った、今だ と。
僕はお母様の手を急停止の揺れに乗じ振り解き、お母様は僕を止めようとした。しかし僕を前へ押し出す力に逆らわず 其の上更に全力で走り出す。
御者の席に居るあの渋い人に目かけて、文字通り全身全霊の体当たりをかました。
背後からの衝撃に渋い人は驚き、手綱を手放した、放してしまった。
「いや、リオォォォォォン!!!」
お母様の悲鳴のような叫びが山谷に反響して
僕は渋い人と共に崖から落ちた。