飛来する救い
SIDE--マリア
私とクリスティナは悲鳴を聞き、すぐに玄関まで駆けつけました。
玄関のドアが壊された、町の不良のような格好をしているならず者が中に入ってきて、十数人は下らないでしょう。それらはそれ程の実力者に見えない。
その実力でこの数でしたら、私とクリスティナだけでなら勝てない事は無いでしょう。しかし彼女達を守りながらになりますと、守りに徹した方が良いかもしれませんね。
私は素早く状況を確認して、策を考えました。
「クリス!」
「はい!」
私の呼び声にクリスこと クリスティナは返事を返した。
私の娘だけあって私の考えを良く分かっているのね。
「「バリアー」」
私とクリスティナは侍女たちの前に立って、両手を上げて魔法を発動させました。
透明な半球状の壁が私達を包み、襲撃者をその外側に締め出しました。
元々 バリア は防御魔法の基本ですが、後ろを守ることが出来ませんのです。しかしそれを私とクリスティナと一緒に発動させだから全方位の壁を創り出すことが出来ました。
私の策は策と言える物ではありません、簡単に言いますと 守りを固めて夫のジュリオを待つ! それだけです。
そして私の策通りに私達が守りを徹して数分後にジュリオが駆けつけてくれました。その左手にトールを抱えながら、バリア の上に飛び乗りました。
「マリア、無事か!」
「はい♪」
ジュリオは到着と同時に私に言葉をかけ、そして無詠唱で魔法を発動し、ならず者達を吹き飛ばした。夫の魔法にしては威力が出ていませんでした。
ジュリオの魔法の威力は高い、この十五年間鍛錬を重ねて以前よりも数段と上げています。
しかし、私達の バリア がありますが、高威力の魔法を発動させたらその バリア こと私達にも影響が及ぶかもしれません。だからジュリオは基本的な魔法しか使わず、それも威力を抑えて発動したものです。
ジュリオの参戦は私達だけでなく向こう側にも予想したもののようで、ジュリオの参戦と共に新たに二人明らかに他のならず者達とは違いの魔法を使う魔法師が出てきました。
少し厄介かも知れません と私も きっとジュリオもそう思いました。ならず者達はあの二人の参戦に調子を乗り、バリアー に近付いてきます。
カァん
屋敷の天井に一つの穴が開き、そこを通し十本程の剣が雨のように降り注ぎ、ならず者達の真正面に突き刺さったのです。
この場にいる全ての者が驚き 固まってしまいました。ジュリオも固まっているようなのですが、驚きが私達程ではなかったようです。
そして全ての者が驚きから解放され再び戦うとしたその時、一人の少年 いいえ 青年が一人の少女をお姫様抱っこして玄関から中へ飛んで来て、私達とならず者達の間に降り立ったのです。