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蒼き飛翔のイクシロン -ex-Y  作者: 赤羽ころろ
第1章 蒼い飛翼
1/5

[Depth]01 出逢い

メカデザインやキャラクターなどはツイッターにて公開しようと思います。

@kororoYt

初めて書くロボット物なので暖かい目で見守ってもらえたら嬉しいです。

 その日は突如として訪れた。

 世界的テロリスト集団「リ・デザイア」は今まで小規模のテロを行ってはいたが世界規模のテロは行ってはいなかった。

 そしてそれは起きた。

 西暦2055年、世界とリ・デザイアは正面からぶつかり合った。リ・デザイアの本拠地はロシア西部を中心としてヨーロッパ全土に構成員が散らばっていた。

 3月、ヨーロッパの小国アザリアへの大規模テロを皮切りに世界中でテロが起き始めた。

 4月、中東リセンディスタンにて一発のミサイルが首都に向けて発射された。

 5月、日本のトウキョウにミサイルが発射された。着弾はせず自衛隊による迎撃が行われたがその破片は市街地にふりそそいだ。二次災害の被害は大きく数か月インフラがマヒすることとなった。

 これにより日本政府は政府としての機能を維持できなくなった。各地で抗議活動が起きた。が、そんなもの世界にとっては小鳥のさえずりにしか聞こえない。

 リ・デザイアのテロは終わりを告げることなくその年の12月まで続いた。そう12月まで。テロが終わりを告げたのではない。世界が終わったのだ。

 12月31日、2055年最後の日。世界中の人々がこの混迷の世が変わることを望み明日を、もう一度陽が昇るのを待った。

 そして2056年1月1日、夜が明け人々が今日という日を歓迎した時、世界が終わった。

 南極、北極、地球の両極端を総べる氷の大地が謎の大爆発により融解した。さらに爆発の衝撃波により超大な津波が各地で発生。リ・デザイアなど関係なく世界は蒼の底へと沈んだ。

 例外の国はほぼなかった。助かったのは高度が高い国と地域のみだった。日本も例から漏れることなく東京はおろか中部や東北の一部と北海道の一部を除き沈んだ。

 世界の約8割の大地が海の底に沈み、自給すら困難になった生き残りの人々は何とか生きようと物資を集め少しずつ海に出始めた。使えるものは何でも使った。

 やがて安定し始めた人々は大地を捨て海に縦円筒状のコロニーを立て始めた。はじめは2桁にも満たなかった数は数十年で50、100、500と数を増やしていき世界中にコロニーが建っていった。

 そして海を今までの太平洋や大西洋ではなく、本初子午線と日付変更線を基準とし、本初子午線とその周囲数千キロを中央の海(セントラル・シー)、中央の海東側から日付変更線までを東の海イースト・シー、中央の海西側から日付変更線までを西の海ウエスタン・シー、南極とその周囲が南の海サウス・シー、北極とロシア、アラスカなどが北の海ノース・シーと5つの海に分けた。さらにその中でコロニー群を分けてその群の中で政治などを仕切るのがセントラルコロニーで周りに少し小さい各方角のコロニーが集まり、さらにその中でも同じようにセントラルコロニーがありいわばこちらは市役所のようなものとして機能する。つまり一つのコロニー群は大体21個で成り立っており各コロニーにもその中で住む人たちのゆかりの名前が与えられているが基本的に英語で名づけられている。

 こうして破壊された世界から再生しはじめた時代を人は海洋暦と呼んだ。

 そして物語はあの事件からあと数年で250年がたつ海洋暦2304年に動く。


 漁師は朝が仕事の職だ。でも俺は朝が嫌いだ。何故なら、

「お兄ぃー! 朝だぞー! 仕事の時間だろぉー!」

 妹のうるさい声が俺の脳内にこだまする。昨日も夜遅くまでゲー・・・・・・じゃなかった、課題をやっていて寝たのは九時ごろだ。え?遅くないだろって?いやいやうちら漁師はそのぐらいでも遅いくらいさ。

 いい加減妹の声も聞き飽きたので俺はタオルケットを蹴り飛ばしリビングに向かった。

「おはー・・・・・・」「もう、遅いよ!? 3分43秒卵焼きが冷めた!」

 うるさいなーと不満を漏らす俺、神薙(かんなぎ)アオイ。イーストサイドコロニージパングのヨコスカバンチに妹と住んでる。母親は三年前、ノースサイドコロニーのアラスカに旅行中にハリケーンに巻き込まれてコロニーごと消えた。親父も台風がきてるのに無茶して漁に出て海の底へと消えた。

 今年で15になる妹、ヨーコと17になる俺は毎日漁で稼ぎ学校で学ぶというこの時代ではまぁ普通の生活だった。

 海洋暦になってもうすぐ250年、人口も西暦時代ほどではないがその4分の1ほどまでは言ったのではないだろうか。そんなことを頭の片隅で考えながらアオイは朝食のヨーコ特製卵焼きとパンを頬張る。

「あ、ヨーコ今日ちょい帰り遅くなるから。 帰りにおやっさんとこいってコロニーの修繕してくる」

「ん、りょうかーい。 そっかぁこないだの台風でちょっと欠けたんだっけ?」

 うんと相槌をうちながら先週あったことを思い返す。

 海面から40メートルほど高く建設された高床式のコロニーはざっと6階建てで1階が漁協や農協などのコロニーを仕切る施設が入っていて2階は商業施設が並ぶ。3~6階は居住区となっている。

 このコロニーは漁業が盛んで隣のアタミバンチは観光客に人気である。それにこのヨコスカバンチと残りの4つのコロニーを仕切るコロニー、セントラルヨコハマはかなりの都会らしい。そしてさらにそれよりも上、ジパングコロニーの首都にあたるトウキョウはそれこそ最先端が集まる未来都市らしい。

 最先端と言っても西暦時代よりかははるかに技術力が衰退している。2050年代にはホログラムヴィジョンが実用化されていたらしい。

「・・・・・・」

 コロニーは割ともろいのだ。高波がきても防波シールドで防いでいるため問題ないが台風は別である。強大な台風はそれこそコロニーを破壊する。アオイにとっては苦い経験でもある。母の死がこのコロニーを守る決意をさせてくれたのだが、

「皮肉なもんだな」

「? 何か言った?」

 ううんなんでもと言いこんな朝早くから朝飯を作ってくれた妹に感謝の気持ちを込めて「ごちそう様」と一言。

「じゃあ私はまた寝るから。 食器洗ってね」

「ああ、学校遅れんなよ」

 ふああーとあくびをしながらヨーコは自分の部屋へ戻っていった。

 洗い物を済ませ支度をしてアオイは家を出た。


 ゴゴンッと重く軋むような音がした後エレベーターの扉が開き数人の大人と共にアオイはエレベーターから降りた。

「よう、アオイ! また眠そうだな」

 朝から元気にアオイの名を呼ぶのは同年代で漁師仲間の楠ミハネだ。彼女の父がこのコロニーの漁業組合長なのだ。そのため彼女自身もこうして港で仕事をしている。

「ああ、これはまた涼しそうな格好で・・・・・・」

 ミハネはつなぎにタンクトップという格好だったがつなぎの袖を腰に巻いていた。

「いいのよ、アタシ今日無いから」

「あ、あっちか」

 漁師として働いているミハネだが非番の時は船の修理なども承っている「工房」で働いている。アオイが今日帰りに寄るのもそこだ。

「こないだの台風で座礁した馬鹿がいてさぁ。 そいつの引き上げと修理が大変でさ・・・・・・」

「あー、分かるわぁ」

 ここの漁業組合では捕った分の3割を自分のものにできる。そのためその日収穫する量が食に直結するのである。だからこないだの台風の日、貧しい家のひとたちは無茶をしてでも取りに行ったのである。まあ座礁した分の修理代金は自分で払わなければいけないが。

「じゃあ、アタシ行くわ。 大漁を!」

「おう、お前も修理頑張れよ」

 と数分の会話を交わしアオイはミハネと別れて自分の船がある場所に行った。ゲートの男にIDカードを見せて自分の船「碧雲丸」に乗り込んだ。

 この船は2年前に父が行方不明になった時沖で見つかったいわば父の遺品である。それをミハネが修復し今アオイに受け継がれている。

「・・・・・・」

(あの日、親父は無理をしてでも俺たちのために船を出した・・・・・・。あんたはどこに行ったんだ?まだこの海にいるのか?)

 いつもそんな疑問を抱きエンジンをかけいつもの「領域」へと向かった。


「おやっさん! おやっさーん?」

 漁が終わり戻ってきたアオイは今日の仕事場、コロニーの外壁パートの6階層へ来ていた。ここは居住区と外壁の間にあるメンテナンススペースである。

「居ないの? おーい」「こっちだアオイ」

 上からスパナが降ってきた。それを軽くキャッチする。いつものことだ。見上げるとおやっさんは10メートルほど上にいた。

「まったく打ち所が悪かったら最悪死んでますよオレ」

「おお、それは困るなお前便利だもん」

 あのねえと飽きれつつスパナを返す。

 おやっさんこと秋坂コースケ確か48とかだっけ?まあいいか、「工房アキ」の長でこのコロニー全体の修理などを行っている。

「そこのプラスドライバーとってくれ」「はい」

 コロニーの外壁修理と言ってはいるものの実際は簡単なチェックだけである。頑丈ではあるが万一があるからとおやっさんは言う。前に一度「万一のために新しくしたら?」と言ったことがあった。が「そんな金どこにあんだよ」と一蹴された。確かに他のコロニーと比べうちは貧乏な部類に入る。

「まあこんなこと黙々とやってる方が性に合っていいわな」

「ああ・・・・・・」

 おやっさんがいつも持ち歩いているラジオからは他の海の情勢などが流れてくる。ノースでは「雪」が降ったとか南極でペンギンの子供が生まれたとか。

 地球温暖化のせいでアオイは本物の雪を見たことが無い。コロニーの中で四季は再現されているが人工雪なのだ。南極は全ての氷が融けたがその下にある大地が顔をだしペンギンたちなどはそこに住んでいるという。

 かの事件でほぼすべての動物が消えたが標高の高い場所で暮らしている動物や動物園にいた動物などは無事でありコロニーに保護されている。

 その時ラジオから少し気になるニュースが流れた。

「一昨日、リヴェイア軍が隣のオブネスコロニーを襲撃し多数の犠牲者が出ています。 リヴェイア軍はここ数か月で各コロニーを攻撃、占領して回っています。 各コロニーの方は厳重に注意し・・・・・・」

 そこまで言ったときラジオの通信が切れた。

「他のコロニーを襲うってどういうことなんでしょう?」

「さあなセントラルの方の話だろ? セントラルの方じゃ技術はかなり発展したって聞いてるしな。 小競り合いなんてしょっちゅうだろ。 ウエスタンやイーストの奴らも巻き込まれたとかってな。 まあこんな極東の貧乏コロニーにゃ関係ねえだろうさ」

 そうしてまた親方は手を動かし始める。

「アオイ今日はもういいぞ。 あとは俺一人でやる。 さっさと家帰って学校行けよ」

 アオイは腕時計を見るともう9時を回っていた。学校の始業はとっくに過ぎていた。

 お先に失礼しますと軽く会釈してアオイは学校に向かった。


「やあ、アオイお疲れかい?」

 アオイが見上げるとそこにはメガネをかけた美少女、じゃなくて少年が立っていた。楠レン、ミハネの双子の弟である。ミハネをショートカットにしてメガネをかけた美少女、じゃなかった美少年だ。学年一の秀才にしてゲームの天才。まさかの勉強せずに学年一位まで上り詰めた天才である。

 アオイ達が通う学校「ヨコスカ海洋学園」は幼保小中高大一貫校で横須賀の子供たちはみんなここに通う。

「ああ、レンか。 当たり前だろ、お前朝四時半に起きたことあるか?

「ん、起きたことはないが起きていたことはあるぞ」

 こいつ・・・・・・とアオイは苦笑した。つまり四時半までずっとゲームをしてたということだろう。

 その時「お兄ぃ〜」と元気な声が聞こえた。そこにはヨーコが立っていた。

「帰りに夕飯の食材買いにスーパー寄るから付き合って!」

「おう!」

「いいねー。 ボクもあんなに可愛い兄妹が欲しいよ」

「お前ミハネにスパナ投げられるぞ」

 ははっと笑いながら「そりゃそうだ」とレンは笑った。

 そしてレンは教室から出ようとしたとき

「あ、レンさん今日家でご飯食べない? ミハネさんも誘ってさ!」

 そしてレンは

「待ってました!」とダッシュで戻ってきた。

「お前、最初から狙ってたろ」「当たり前だろ」


 スーパーに寄った帰りヨーコが「浜に降りたい」というので3人は浜に降りることにした。

 このコロニーは旧小笠原諸島の小島の上に立っており長年蓄積された土や砂が集まって砂浜が出来上がった。無論、台風の時はその面積はゼロに近くなる。

「私、ここ好きなんだ。」

 その空は紅く染まり海はそれを鏡のように映し出していた。

「ボクは将来絶対このコロニーから出て世界をこの目で見て回るんだ」

「オレは今の生活がもう少し裕福になればいいかな」

 アオイがそこまで言ったところで場がシーンとなった。

「お兄、夢無さすぎ」「全くだ」

 二人はジト目でアオイを見てくる。

「べ、別にいいだろ! 現実主義っていうんだよ!」

 その後三人は沈みゆく太陽を静かに見送った。数分後ヨーコが「そろそろいこっか」といい三人は砂浜を後にしようとした。

 そこでアオイは何やら輝く物を砂浜で見つけた。貝殻や真珠の類ではなさそうだった。拾ってみると盾のような意匠をしたペンダントだった。真ん中には蒼く輝く水晶がはめ込まれていた。

「いいもん見っけっと」

 アオイはそれをパーカーのフードに入れ、砂浜を後にした。


 その日の夜、ミハネとミハネの父、アズマも合流し楽しい夜となった。10時を回った時アズマは仕事があるといい家に帰りレンとミハネはアオイの家に泊まることになった。そして、アオイの部屋ではアオイとレンそれぞれが読書に勤しんでいた。

「・・・・・・なあ、レンお前何読んでるの?」

「ん? ああパックワーカー大佐の戦術指南書」

 せんじゅつしなんしょとまあこのご時世にあまり聞きなれないワードが出てきた。

「そんなもんよんでどうするのさ? 別にお前世界回るって言ったって戦うわけじゃあるまいし」

「もしもの時のためだよ。 セントラルに行ったときに戦闘に巻き込まれたらの話。 何があるかなんて誰もわからんだろ」

 さすが天才。いつ何時も準備を欠かさない。ちなみにアオイは西暦時代に書かれたとされる小説を読んでいる。どうやら自伝のようだが「常識が非常識」だの「神隠し」だのわけのわからないことが書いてあるがアオイは割と好きである。

「何があるかわからない、か」

 その言葉はアオイの胸に深く残った。


 神薙家の浴室、現在はヨーコとミハネが使用中。「ふぅ」と吐息を漏らしながらヨーコは湯船につかった。

「いやーこういうの久しぶりでいいねェ。 たまには悪くないかも」

 ミハネは体についた泡をシャワーで落としながら言った。

「えー私はたまにじゃなくてもいいなぁ。 やっぱりミハ姉は男っぽいなぁ」

 ヨーコは少しにやついて言った。その言葉にミハネは

「なっ! 何を言ってるのさ! アタシだって女っぽいし! ほらスタイルとか!」

「確かにモデル体型ではあるけど胸は私の方があるよ?」

「っ! たった3㎝だろうが!」

 ミハネは顔を真っ赤にしていった。無論、シャワーのせいでは無いのは目に見えている。


 アオイの家はコロニーの三階で一番防壁に近い。夜は星が良く見える。アオイはそこにいた。眠れないときはよく来るのだ。

 そこへ「眠れないの?」と声をかけてくる少女がいた。

「ああ、ミハネか」

 二人は幼馴染であり仕事仲間。互いに良き相談相手となっている。二人の間には恋愛感情は無い。むしろ家族に近いのだ。三年前、母を、二年前に父を亡くしたアオイ達兄妹をアズマは面倒を見てやるといいアオイに漁師という職を与えてくれた。幼少期からの付き合いは大切だとそのとき改めて感じた。

「眠れないというかたまにこうやって物思いにふける時があるんだ。 世界の一部では戦いに巻き込まれている人たちがいるのに自分はこんなところでのうのうと生きていていいのかって。 ヨーコやレンは夢があってオレは夢どころか生きる意味さえ見いだせない。何もできない自分に苛立つんだ」

「・・・・・・そんなことないでしょ。 両親が亡くなって今、生活を支えてるのはアオイでしょ? もうすでにアオイは何人もの人たちを食という意味で支えてるんだよ? 何もできてないなんて思っちゃだめだよ」

 ミハネは時として姉のように、そしてたまに妹のように支えてくれる。だから心からこう思う。

「ありがとう」

「え?」

 不意を突かれたミハネはきょとんとしていた。

「さあ、もう遅いし俺らの朝は早い。 寝ようぜ」

「うん・・・・・・」

 アオイはそう言うと梯子を下りて行った。ミハネもたまにある。今のこの環境が壊されたら自分がどうなってしまうか、アオイが、「家族」が居なくなったらどうなってしまうだろうかと。

「・・・・・・そんなこと考えても仕方ないよね」

 そう自分に言い聞かせてミハネも梯子を下りた。


「アオイさんちょっといい?」

 翌日、アオイはとある少女に呼ばれて席を立った。

「ああ、委員長。 何かな?」

 委員長、そう呼ばれた少女は艶やかな黒色の長髪の少女だった。名は森宮ツバキ。アオイのクラスの学級委員長である。アオイが思うに普通に美人だ。

「これ頼まれてくれないかな? 私ちょっと他の用があって」

 アオイはツバキから書類の束を渡された。おそらく帰りのHRで配るものだろう。

「いいよ。 やっとくよ」

 ありがとう、と一言言ってツバキは教室を出て行った。

「委員長も大変だな」

 おそらく操艦科の宿題だろう。彼女はトップクラスの成績だと聞いている。ここヨコスカ海洋学院は単位制かつ海に関する選択科目がたくさんある。まあ地球の8割がたが海なのでしょうがないが。

 そのなかでも総合戦術科と操艦科は難関らしい。彼女はどちらでの科目でも二位とトップクラスである。ちなみに一位はレンである。アオイは船の操縦やその他の重機などを操作する操練科と整備科、ミハネは整備科と機関科にそれぞれ通っている。

「神薙手伝うよ」

「ん? ああ、ありがとう」

 声を掛けてきた少年は中学生かと見間違えるほどの背丈の少年だった。仙道コウキ、中等部からの同級生でなにかと世話を焼いてくれる。

「じゃあ仙道はソッチよろしく」

「了解」

 二人は8列ある席を半分に分けて担当することにした。

「えっとここは6人か・・・・・・!?」

 アオイは自らが配ったプリントに驚愕した。

「台風19号接近のお知らせ!?」

 ただ台風が来るだけではそこまで驚かない。こんなことザラにあるからだ。だが今日のアオイは違った。今日はまだ漁に出ていなかったのだ。朝から研修があってまだ出れていないのだ。

 アオイはパーカーからスマホを取り出し台風の進路を調べる。技術力の衰退はいまだ完全回復とは言えなかった。現在はなんとか2010年あたりまで回復したと聞いている。

「2時間後にはコロニーに直撃ってことは・・・・・・もう沖はギリギリだ・・・・・・クソっ」

「? 神薙?」

「悪い仙道急用思い出したから帰る! これ頼むわ!」

 アオイは残りの書類を仙道に預け鞄をもって教室を出た。


 エレベータがのろのろと動くのも煩わしいので階段を数段跳んで手すりを滑って降りた。IDカードをぱっと見せてアオイは碧雲丸へと急いだ。エンジンを手慣れた手つきでぱぱっとかけ、出向させた。アオイの前方、数十キロ先の雲は曇天の空であった。

「頑張れよポンコツ!」

 数分後ポイントに到着したアオイは今日の分の網を揚げはじめる。

(早く早く・・・・・・)

 三分後網を揚げ終わり、「よし、戻ろう!」と船をコロニー方面に向けた時アオイはあることに気付いた。

「マズイ、予想より台風が早い!」

 すでに周りは波が高くなり始めていた。さらに、

「!? センサーが聞かない!? しまった・・・・・・」

 これではコロニーに戻れない。勘で行けなくはないが今見えているコロニーは目分量ではすぐそこにあるが実際はまだ数十キロある。今の残りの燃料を無駄に消費してしまう。

「とにかくコロニー方面へ・・・・・・!?」

 その瞬間アオイは高波にのまれた。船から放り出されて海底へ沈んでいく中アオイは自分のパーカーのポケットが光るのを見た。


 アオイが波にのまれてから数時間後ヨコスカコロニーに碧雲丸が流されてきた。最初にそれを見つけたのはミハネだった。その後ヨーコとレン、アズマもやってきた。

「うそ!? お兄は乗ってないの!?」「ええ・・・・・・」

 うそよ!と涙を必死にこらえるヨーコにミハネは声を掛けることもできなかった。

「でもよ、見てみろよこれ多分アイツが捕ったんじゃないか?」

 レンが指差すもの、船の数メートル離れたところに網と魚が入ったカゴが流れ着いていた。幸い網とカゴが絡まって魚は外に出ていなかった。

「まだアイツが死んだって決まったわけじゃあない。 どこかのコロニーに流れ着いてるかもな」

「! おやっさん!」

「こいつは俺のところで直す。 運ぶの手伝ってくれ」

 はい、とミハネは返事を返すもすの顔には暗い影を落としていた。

 二時間ほどが経ち工房アキではコースケが一人、碧雲丸を直していた。

「お前の息子は必ず帰ってくるよな? なあソウスケ」

 船の側面に力強く書かれた碧雲の文字を撫でてコースケは亡きアオイの父で友人であるソウスケに問いかけた。当然返事は帰ってこないが、

「ああ、アイツはこの数年で変わったよ。 強くな。 だから帰ってくるさ。 アイツは絶対に妹を一人置いてなんか行かない。 そういうやつだからな」

 誰もいなくなった工房で一人そっとつぶやいた、

「なあアオイ? 早く帰ってきてやれ。 お前の妹は本当は泣き虫なんだからよ」

 シャッターを降し鍵を閉めた。

 その言葉はアオイに届いたかどうかは定かではない。


 キーンコーンカーンコーンとよくあるチャイムが鳴り生徒たちは席を立ち各々昼食を取り始めた。レンもその一人である。

「おーいアオイ、昼飯行こうぜ・・・・・・・」

 一つ後ろの席、そのたった一つ空いた席がレンに虚無感を与えた。レンは頬をポリポリと掻き、

「仙道、一緒に飯どうだ?」

「ん、いいよ。 ツレも一緒でいいか?」

「お、いいぜジュン行こうぜ!」

 ジュンと呼ばれた生徒は「おう!」と答えた。アララギジュン、水雷・砲撃科に所属する男子。身長は割と高い方である。

「で、購買か食堂、どっちにする?」

 ジュンは二人に聞いた。

「今日は購買メロンパン特売だから混むだろうから食堂行こうぜ、なあレン」

 コウキはレンに聞いてみたが反応はない。何かとレンの方を向いてみるとレンはアオイの机を見つめていた。

「・・・・・・気になるよな」「ああ、でもアイツは死んでねえよ」

 そうか、と一言だけ言って「で、食堂でいいか?」とコウキは続けた。

「ああそうしよう」「よっしゃ、今日は確かB定食安かったよな」「うーんオレはとんこつラーメンにしようかな」

 レンはもう一度アオイの机を見つめて「早く帰ってこい」とつぶやきどのメニューにするかの論議に華を咲かせている二人の後を追った。


 それは過去を見ているようで夢を見ているようでもあった。この家に生まれ、育った。両親と妹、幼馴染にも恵まれて確かに充実していたはずだった。でもそれは刹那のうちに過ぎ去った。否、時間は短くなかった。ただその充実した生活が一瞬で消え去るようなそのくらいの出来事だった。母は旅行が好きだった。友達と共に幾多のコロニーを旅していっていた。そんな母と共に旅をするのが夢であった。

 そしてあの日、母はいつものように旅行に出かけて行った。が、母は戻らなかった。遺品も遺体もすべてあの強大な台風に持ち去られた。幼かった自分は何が何だかわからなかったが妹は何かを感じて数日間泣きっぱなしだった。それから落ち着きやっと心の整理がついたとき今度は父が行方不明だった。今まで唯一頼れる父という存在が消えたおかげで俺の心の決心がついた。妹のために働くという道を選んだ。そして母のような人をもう出すまいと工房に弟子入りしてコロニー修復の仕事も始めた。でも父が行方不明になってから夢を見る。目の前に父がいるのにいくら手を伸ばしても届かない。そしてしばらくすると父は強大な波にのまれどこかに消えてしまうという夢。今日も同じ夢を見ている。いくら手を伸ばしても届かない。やがて波が近づいてきて父がこちらを振り向いた。その顔は紛れもなく俺自身だった。

「ッ・・・・・・!っはぁっはあ・・・・・・」

 目を覚ました瞬間と同時に呼吸が行われた。見上げたは見知らぬ天井。

「オレは・・・・・・生きているのか」

 記憶が途中で途切れていた。波にさらわれ海に落ちパーカーのポケットが光ったところまでは覚えている。あの時ポケットに入っていたものは海岸で拾ったあのペンダント。急いでパーカーのポケットを探すがペンダントは入っていない。それどころかポケットが無い。しばらくしてアオイは自分が上半身全裸なことに気付いた。

「おわっ! 服! オレの服!」

 ベッドから降りてみると少しふらついた。物干し用と思われるロープにTシャツがかかっていた。それを取りアオイは着た。少し洗剤の香りが残っていた。

「洗ってくれたのか。 御礼しなきゃだな。 それよりここどこだ?」

 スマホはいくら防水と言ってもさすがに画面は黒のまま電源が入らない。電池が切れたか壊れたかだろう。今は後者の方が大きい。

 アオイは最寄のドアは開けた。光が目に入り目の前が白一色になった。数秒経って目が慣れるとそこに広がっていたのは蒼。一面に海が広がっていた。海に囲まれているのはいつもと変わらないがここはコロニーではなかった。

「コロニーじゃない・・・・・・なんだここ」

 あたりを見渡してみると砂浜に一人の少女が居た。自分と同じくらいの年だろうか、蒼がかかった銀髪の髪が風でなびいていた。その瞳は翡翠のごとく澄んでいた。アオイは話しかけてみることにした。

「あの、オレを助けてくれたのってキミかな・・・・・・?」

 コクンと頷き少女は、

「砂浜に流れ着いていた。 私以外の人間をここで見たのは初めてだったから少し戸惑った」

 淡々と喋る少女にアオイは少しリアクションに戸惑っていた。

「ん? ってことはここにはキミ以外の人はいないってこと?」

「うん。 居たのかもしれない・・・・・・が少なくとも私は見ていない」

 そっか、と返事をしたがにわかには信じがたかった。この時代に一人で生きていくなんて不可能に近いからだ。そして一番気になることをアオイは聞いた。

「あのさ、ここってどこかな?」

 少女は振り返り一言こういった。

「ニッポン」

 その瞬間、漣と風が吹き少女の髪を大きくなびかせた。


 ニッポン、250年前に海の底に沈みアオイ達が住むコロニーの名前の由来にもなった国。そう、アオイ達は失われた極東の人々の末裔であった。

「文献によればもうだれも住んでいないはずだった。 ここは標高が高かった場所なのか?」

 アオイは家|(というより小屋)に戻りさっきの少女は何かとってくると言って出かけて行った。その間アオイは今自分が置かれている状況を再確認することにした。

 まずアオイは波にのまれニッポンまで流されてきたということ。流れ着いたのはアオイだけで船は流れ着いていない。

 ガチャっとドアが開き少女が入ってきた。その手には多数のリンゴを持っていた。

「ん、食べて。 貴方三日も寝てたのだから。 ほら」

 少女は無愛想にリンゴを差し出す。「ありがとう」と一言お礼を言ってアオイはそれを頬張った。

「そういえばキミの名前聞いてなかったね。 名前は?」

 それを聞いた途端、場が静まり返った。

(あちゃーいきなりすぎたか?)

 アオイが自問自答をしていると、

「東雲、東雲ミズキ・・・・・・」

 ぼそっと小さな声で少女は答えた。その瞬間アオイは少しこの娘を可愛いと思ってしまった。

「えっとミズキさんはいくつ?」

 女性に年齢を聞くのは本来失礼なことであるが今のアオイにはとにかく情報が必要だった。

「16だと記憶している」

「そっかじゃあ年下か。 よろろしくミズキちゃん・・

 むっ、と顔を膨らませて、

「気安く呼ぶな!」

「ほぶぉぉ!?」

 顔面にリンゴをぶち込まれたアオイは数分の間立つことが出来なかった。


「ねえミズキ、この家ってこの部屋だけなの?」

「遂に呼び捨てか、まあいい。 いや裏にキッチンと風呂場があることを確認した」

「ふーんじゃあ設備が整っているんだね。 見せてもらってもいい?」

「ああ古いがな」

 家の裏に回りキッチンとシャワールームの設備を確認した。だがアオイは疑問に思ったことがあった。確かミズキは「古い」と言っていたがここにあるものは今の時代では最新式でしかもお高い代物である。これを古いということは彼女はどこかのお嬢様ということである。それならばあの淡白な性格も辻褄が合う。

 家の中に戻るとミズキは寝ていた。おそらくアオイを三日間ぶっ通しで看病してくれていたのだろう。すやすやと心地よい寝息を立てているその寝顔はどこかヨーコに似ていた。

「早く帰らないと・・・・・・」

 そっとミズキの頬に触れた時、

「行かないで・・・・・・・」

 そうミズキがつぶやいた。寝言ではあるがその言葉はアオイを引き留めているようだった。

「大丈夫、オレが帰るときは君も一緒だ」

 時計を見るともう10時を回っていた。

「俺も寝よう。 帰る方法を探すのはまた明日だ」

 アオイはミズキにタオルをかけてあげ、自分はソファで横になることにした。

 何時間か経ちアオイの目に薄く青白い光が差し込んできた。アオイは薄く目を開き時計を見たまだ五時半だった。いやいつもなら起きていた。いつもの癖で起きてしまった。ヨーコに起こされてはいるが実際のところアオイは自分で起きている。ヨーコの呼びかけとほぼ同時に起きているだけである。

 ベッドを見るとミズキの姿はなかった。アオイは家のドアを開け海に出た。まだ陽は出ていない。

 ミズキは一人砂浜に立っていた。その後ろ姿は少しさびしそうな、そんな気を帯びていた。

「どうしたんだい? こんな早くおきて」

 ミズキはそっとつぶやいた。

「来る・・・・・・」

「え? 何が来るって?」

 初めて会った時から少し不思議な雰囲気の少女だったがその瞬間、出会ったときと同じような風と漣が起こった。

「私を狙っている人達」

 刹那、地平線上から光が見えた。否、太陽ではない。その光は1から5に増えた。

「あれって確かリヴェイア軍のCAH(コンバット・アサルト・ヒューマノイド)!?」

 戦闘用人型攻撃兵器CAH、リヴェイアが開発したとされる新兵器。セントラルでは他のコロニーが自衛用に開発しているとも聞いたことがある。元は工業用のロボティクス・アーマーから発展した物。アオイも操練科で実機訓練をしたことがある。リヴェイアは汎用機の開発に成功しその領地を一気に拡大させたのだ。

「だからってなんでキミが!?」

 ただの少女を軍が狙うなど考えられない。やはりどこかのお嬢様だったのか。

「くそ、逃げよう!」

 アオイはミズキの手を引き森の奥へと逃げようとする。が、逆方向に引っ張られバランスを崩した。

「ちょっと!? どこ行くのさ!」「こっち・・・・・・」

 ミズキはアオイの手を引き家の方向へと向かう。CAHはみるみる迫ってきていた。家の隣、鬱蒼と生い茂る蔦をかぎ分けた先に一つの穴があった。

「降りて」「はいぃぃ!?」

 アオイの返事を聞く間もなくミズキはアオイを突き落とし自分は梯子を滑り降りた。

「おわッ!とぉっ」

 何とか空中で姿勢を制御して足から着地した。どれくらい地下に降りたのだろうか。ざっと5、6mってところか。

「ここは・・・・・・?」

 梯子がある部分のみ光が漏れていてあとは真っ暗だった。カシャンと音がして暗黒に包まれていた空間は「白」に包まれた。光が急に入ってきたのでアオイは目をとっさに閉じた。数秒後アオイが目を開けるとそこには20メートルほどの蒼色の巨人が横たわっていた。

「!? CAH? でもなんか違うような・・・・・・」

「これは私が寝ていたモノよ」

「寝ていた? どういう・・・・・・?」

 ミズキは巨人を見上げて行った。

「私が覚醒したのはつい二週間前よ」

「覚醒? 二週間前? 何を言っている!?」

 アオイはそのワードを必死に頭の中でつなげようとしていた。やがて一つの答えにたどり着く。最新の家電が「古い」、250年前に8割が海の底へと日本、その日本に住む16歳の少女。導き出される結論は、

冷凍睡眠コールドスリープ・・・・・・!?」

 とあるSFモノで見たことがある。肉体を保持したまま未来に行ける一方通行のタイムマシン、成長を緩やかにし老化を防ぐマシンなど呼び方や用途は多岐にわたる。アレは長時間、重力下で冷凍保存し続けると凍った細胞が擦れて細胞が壊死する場合もある。それにこの時代の技術ではそれを作成すること自体が困難である。

 だが先ほど述べたとおり「一方通行のタイムマシン」ならば話は通る。それを作成できる時代があったのだから。

「ミズキ、君の生年月日は・・・・・・?」

 アオイは自分のその仮説を立証すべき一つの質問をミズキに問いかけた。

「私は現在16歳だと記憶していると言ったはずだ。 生まれは2040年1月1日」

「やっぱりか・・・・・・」

 これですべてつながった。彼女が今の最新鋭家電を古いと言ったことも。それにリヴェイアがこの娘を狙うわけ、それはおそらく、

失われた技術ロスト・テクノロジーか」

 こんな普通の女の子でも西暦時代の人間だと分かればおそらく扱いは変わるはずだ。過去の技術を出すだけ出されてその後はどうなるかわからない。だからアオイは一つの決心を決めた。

「何をすればいい?」

「え?」

 ふいにアオイに問われ少し戸惑っていた。

「君がオレをここに連れてきたのには訳があるだろ? だから何をすればいいか聞いてるんだ」

 ミズキはアオイが本気の目をしていることに気が付いた。

「・・・・・・これに乗って」

 見上げるは蒼きCAH。指差すはそのコックピット。

「貴方のそれが必要なの」

 そしてアオイのポケットを指差した。アオイはそれをポケットから取り出す。砂浜で拾ったペンダント。

「これがいるのか?」

「そう、私はまだ死にたくないの。 だからそれを私に渡して」

「君がこれを操縦する気か?」

 ミズキは小さな声で「そうよ」と言った。アオイは彼女が恐怖していることを知っていた。おそらく誰かを失うのが極端に苦手なのだろう。だからアオイではなく自分がこれを動かすと言っている。だが女の子にそんなことをさせるアオイではない。

「いや、オレが乗る。 これはオレが拾ったんだ。 それに君が戦う必要なんてない」

「でも・・・・・・!」

 アオイはミズキの肩にポンっと手を置いて、「大丈夫」と一言言ってコックピットに入った。コックピットの中はかなり広かった。ミズキがここで冷凍睡眠していたということはこのコックピットにその機能があるんだろう。

「よし・・・・・・!?」

 上からどっすっと何か落ちてきた。

「ちょ!? ミズキ!?」「私も乗る」

 そういってアオイの座るシートの脇へと掴まった。

「・・・・・・ちゃんと掴まってろよ。 ところでこいつどうやったら動くんだ?」

「知らない。 私は名前と日常生活の仕方と生年月日以外覚えていない。 これについても起動にはそのペンダントがいるぐらいしか知らない」

 来ました。ここでいきなり衝撃事実。

「おい、じゃあどうすんだよ!」

「そこにあててみたら?」

 ミズキが指差す場所にはセンサーのようなものがあった。アオイはそこにペンダントをかざす。するとコックピットハッチが自動でしまり各コンソールにも光が灯りはじめた。そしてメインコンソールパネルの中央に文字が表示された。超高深度海洋探索用人型兵器と表示された下に小さくex-Yと表示された。

「? ex-Y? これの番号か何かか?」

「知らない。 この機体の名前すらも」

「そっか、でも名前がわからないのは不便だな・・・・・・」

 そこでアオイはこの機体に名前を付けることにした。

「ex、イーエックス、Y、ワイ? ガンマ? あ!」

 その時いい名前が思いついた。昔、古い本を読んでいるときに見つけた。それは、

「イクシロン。 ex-Y、イクシロンだ!」

「イクシロン、いい名前・・・・・・」

 アオイはふうっと息を吐き出した。操縦桿を強く握りしめ少女を守るために少年は叫ぶ。

「行くぞ。 みんなのところに帰るために、この子を守るために。 だから行くぞ! イクシロン!」

 それに呼応するように蒼き双眼の巨人はその双眼を煌めかせ立ち上がる―――――――。

はじめましての方は初めまして、いつも見てくれているという方はこんにちは。どうもころろでございます。この小説は「海洋SFロボット青春群像戦記」だと思って書いております。

元々は某ロボット雑誌のデザイン募集に出そうとしていた一機でそこからストーリーを膨らませたのがこの「イクシロン」です。そんな感じでよろしくお願いします。


次回予告


起動するイクシロン、リヴェイア軍少尉カナト・ルベルが見る戦場とは?

次回、蒼き飛翔のイクシロン

「蒼きツバサ」

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