表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶対攻撃力1  作者: 桜毛利 瑠璃
第一章
5/35

5.能力閲覧

 有り体に言えば、探すことなく食べられる野菜を手に入れることは出来た。見た目も味も食感も元の世界と変わらないが、これを純粋な野菜だと認めることが出来ればなんだが。


 なんせ、俺の手の中にはダイコンがあるからだ。これは、元の世界から一緒に転送された物ではなく。突然手のひらに現れた物なのである。


 さすがは異世界。ご都合主義でなんでもありなんだと思い、リンゴやバナナを出そうとしたが、出てこなかった。だが、キャベツやレタス、ダイコンは出てきた。


 これは、あれかな。もしかしたら野菜限定の魔法かと思い。元の世界では、カテゴリー的に何故か野菜に分別されているイチゴを思い描いたが、出てこなかった。


 でも、食べられる物が自由に入手出来る状況であると言うことは、飢えずに生きていけると言うことだ。


 生で食べる根野菜は、みずみずしく歯応え十分だ。おかげで、ひとまず腹一杯にはなった。


 このことにより、ご都合主義とは言え、万能では無いことはわかったので、今後は地道に出せるものと出せないものを、調べていこうと考えている。


 ここで、純粋な野菜かと言う疑問に繋がるのだが、この野菜が出てくる現象は、【食料生産(野菜)】スキルのおかげだった事がわかった。


 その説明文を読んでみると。<魔力を変換して、野菜を得ることが出来る。但し、実や種に変換することは出来ない>となっていた。


 元の世界の植物も、地面から何かしらの栄養を吸収して育つ事を考えれば、異世界なんだから魔力を吸収して育っても、たぶん問題ないだろう。認めよう、これは野菜だと。


 そう言えば、何気にスキルの話をしたけど。これは天神の使いが【観察日記】と言う魔法らしき呪文を使って俺の能力を調べていた事を覚えていたから、俺も使えるんじゃないかと思って実験してみたんだ。


 でも【観察日記】自体は唱えても、残念な事に何も起こらなかった。でも、【適当転送】とか【爆発発破】とか【座標指定】とか、そんな漢字四文字が発動条件らしい事なんて、悩むのもバカらしいくらい明らかだったので、それこそ適当に唱えてみたら、あっさり当たりを引いたんだ。やり方は簡単。自分自身を見ながら。


「【能力閲覧!】」


 これだけで見ることが出来たのだけど、巫女さんや天神の使いが言っていた様に弱いスキルだらけだった。それもその筈。普通、力を求める者なら、すぐに使える能力を欲するはずだ。それは最高の剣術だったり、最強の肉体だったり。そんなすぐに使えるスキルは、魑魅魍魎が取得して行ったのであろう。その中にはきっと【食料生産(実)】や【食料生産(肉)】とか有ったのだろう。力を求める魑魅魍魎は野菜の事は思わなかったのだろう。俺のスキルは、本当に残りカスだ。


 でも小さな夢だけは残されていた。なにしろ、俺が取得していたスキルのそのほとんどが【××の才能】とか【××術の才能】と言う、すぐに使える様にならないものだった。でも、才能さえあれば、鍛えれば扱えるようになるに違いない。


 魔法のある異世界に来たのだから、火や雷を放ってみたくなるじゃないか。なんせ××術に相当する内容は、火や闇や光とかの魔法が魔術としてならんでいたのだから。他にも武器を扱える剣術や槍術とかの武術の才能も並んでいる。なので才能があるのだから、いずれ使えるようになるはずだ。


 でも【××術の才能】の説明文を読んで、がっかりせざるを得なかった。<繰り返し××術を訓練することにより、××術を取得できる才能。※【絶対攻撃力1】スキルの効果により、与ダメージは1固定>


 そう、【絶対攻撃力1】スキルがある為に、戦う技術をどれだけ高めようが、与ダメージは1固定なのである。


 改めて、魔神が封印するしかない程、絶望的なスキルだと理解した。


 でも攻撃には意味がないが、火魔術を使えれば、野菜炒めが出来るし、水魔法も使えれば、野菜スープが出来るし、食生活を向上させる為にも、訓練はしていこうと考えている。


他に目を引くスキルは。


【疑似生産(小鳥)】

<擬似生物の小鳥を生産出来る。魔力を擬似的に固定した魔力生物。内包している魔力が尽きると霧散する。内包している魔力はダメージを受けると減少する。※【絶対攻撃力1】スキルの効果により、与ダメージは1固定>


行動障害(スタン)(極少)】

<攻撃を当てると、対象が怯む。スタン時間0.1秒程>


【疑似修繕】

<怪我をしてもすぐに修繕される。但し、魔力を擬似的に身体の修繕に充てているだけ。なので治癒する為には、自然治癒を待つか、別途治療が必要となる。修繕中は、最大魔力が修繕に充てている分減少する>


【自己修復(任意)】

<自然治癒に1月掛かる傷を受けても、すぐに治癒することが出来る。但し、修復に使用する媒体は術者本人となるため、修復に使用した分、術者は筋力等が無くなる。欠損修復も可能。※任意で対象を選ぶことも出来る>


【暗視Lv5(才能)】

<暗視の才能が訓練によりスキルとなった。レベルが上がれば見渡せる範囲が広がる>


 目を引くスキルと言ってもこんなものしかない。【疑似生産(小鳥)】は、肉が得られるかもと、期待した分がっかりだったし。【行動障害】は0.1秒でどうしろと。【疑似修繕】のおかげで、痛みが無くなり動けるようになったことは嬉しいが、怪我が治るまで怪我したままだし。極み付けは【自己修復】だ。自己犠牲で他人を治すなんて、そんな高尚なこと出来ないぞ。まぁ。自分自身を修復するには良いけど。これって究極の選択だと思う。


 時間を掛けて怪我を治すか、すぐ治して落ちた筋力をリハビリして戻すすかだ。でも現状を思うと【疑似修繕】がなければ、リハビリ一択だったよな。


 あと、【暗視の才能】が【暗視】スキルになったのは正直嬉しい。他の才能もスキルになり得ることが実証されたからだ。


 それにしても、普通なら得ようとなんて考えないスキルばかりなんだよな。こんなスキルばかりでどうやって、この洞窟だか地下道から脱出すればいいんだ。そもそも出口はあるんか?


 俺は暗視の有効範囲外に出口があることを祈ることしか出来なかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ