【懲りずにやるよ!】俺達には土曜日しかない【改訂版:弐】2017/04/15
ログホラDBに掲載された情報を元に懲りずに改訂版を書いてみました。
誰得?自分以外の何処に需要があるのかはさっぱりわかりません(苦笑)
老舗MMORPG<エルダー・テイル>10番目の拡張パック<夢幻の心臓>が実装された年、日本サーバーのとある戦闘ギルドが世界的に脚光を浴びる。大規模戦闘コンテンツ『ラダマンテュスの王座』を世界最速で制覇、幻想級武器《苦鳴を紡ぐもの“ソード・オブ・ペインブラック”》を入手しその黒き剣に因みギルド名を改名したギルド。後にアキバ5大戦闘ギルドに名を連ねるそのギルドの名は<黒剣騎士団>
ふ
なんだかんだとドタバタな日々の続いた後のある日のお話。
新人歓迎会も兼ねてのオフ会も一段落、<夢幻の心臓>で実装された大規模戦闘コンテンツもあらかた様々なギルドに攻略され新規クエストも大方発見され尽くし各々がギルドホールに屯したり、狩りに出たり、アイテムの補充をしたりとまったりした土曜の夜、不意に総団長“黒剣”のアイザックが“黒剣の残念職3人組”のその1義盛に唐突に質問する。
「なぁ義盛、たまにお前のマイクが拾ってる単車の排気音、ありゃ2スト・・・それもカワサキのマッパかケッチだろ?誰か身内に単車乗りでもいんのか?」
「・・・団長よく判りますね・・・えぇ、お兄ちゃんが現役・・・引退してからバイクにハマって750SS MACH Ⅲに乗ってますよ。」
「H2かよ?渋いなぁ、排気音からしてマフラーはノーマルだろ?」
「私はあんまり詳しくないんですけど、確かまだカスタムまでお金が回らないって云ってたからノーマルだと思いますよ?」
バイクが判らない人間には全くもって理解不能な会話が開始され、バイク好きのみがその会話に参加しだした、最初に参加したのが意外な事に八郎である。
「何?何?バイク?私も乗ってたなぁ~カタナ・・・彼氏が危ないから乗るなって云うから降りたけど、また乗りたいなぁ・・・。」
八郎が昔を懐かしみつつ惚気発言をさらりと吐く。
「八姐もバイク乗ってたの?意外・・・しかもカタナ・・・。」
「何がカタナだ、どうせGSX250SS辺りだろ?さり気に惚気てリア充アピールとか、どんだけあざといんだお前は・・・。」
意外がる義盛と惚気に毒づくアイザック、毒なぞお構い無しに話を続ける八郎。
「残念!2000年ファイナルエディション1100SYよ!なんとかゲットしたさね!それよりアイザック、アンタは・・・Γだっけ?ガンマ・・・。」
「なんだよ?俺がΓ乗ってたらなんか問題でもあんのか?」
「いやぁ~、だってアンタのイメージじゃないもん。どっちかってーとカワサキならゼファーとかZRX 辺り?スズキならニューインパルス?ヤマハならXJR ?ホンダならスーフォワ?」
「・・・そのラインナップに悪意を感じるのは俺だけか?おい・・・。」
怒りを表現するエモーションまで使って八郎に遺憾の意を表明するアイザックだが、これまたエモーションで『何のことやら~♪』的な対応をし相手にもしない八郎。
そんな険悪ムードなどお構い無しに特攻をかける残念を絵に書いたような厨二病罹患者。
「はぁ~い!!質問!質問でぇ~す!!」
千変卍華の二つ名を自称し義盛を先輩と慕う<暗殺者>朝右衛門が空気を読まずに質問する。
「ナニ?朝ちゃん?」
「なんでぇ?朝右衛門?」
「・・・どうしたの?朝ちゃん?」
中型自動二輪の免許も取得出来る年齢に達しているわけでもなく、普段からバイクの“バ”の字も単車の“た”の字も話題にしない口を開けば自身のエルダーテイルでの知名度向上か、イマドキヲタク女子的話題しか口にしない朝右衛門が唐突に“質問”してくるのだから義盛でなくとも怪訝になる。
そして期待?通り…朝右衛門らしい質問が発せられる。
「さっきから“カワサキのゼーハー”?“ヤマハの駄目なJR ”?とか、“スズキさんの入院パラダイス”?“ホンダのスープラ”?“カターナ”とか“グンマ”とか…、あとアルファベットや数字の羅列?とてもバイクから縁遠い話してません?皆さん?」
「「「なっ!?」」」
朝右衛門の空耳アワーに絶句するが一呼吸置いて義盛が口を開く。
「・・・朝ちゃん?解らないなら解らないで問題は無いんだけど、その空耳はちょっと…。」
「・・・カタナだけ異人みたいな発音はどうなの朝ちゃん?ホンダのスープラってスープラは自動車でメーカーはトヨタよ?」
「グンマ?朝右衛門・・・お前、耳鼻科に通院するかヘッドフォン新調するかした方がいいぞ?」
「なっ?!」
予想外の冷ややかなリアクションに今度は朝右衛門が絶句し、一呼吸置いて異議を申したてる。
「なんですか!3人で楽しそうに話てるから混ぜて欲しかったのに!何ですか?バイク乗りは一見さんお断りの敷居がベルリンの壁の如く高い高い意識高い系の集まりですか?何ですか!3人して!イタイケな中学生をいい歳した大人がイヂメて楽しいですかチクショーめファッキュー!」
だんだん会話の雲行きが怪しくなってきた・・・既に忘れている読者諸兄に注意書きすると、この当時の義盛はまだ高校生なので“大人”とは云い切れないのだか中学生の朝右衛門からすると高校生の義盛も大人のカテゴリーに入ってしまうのである。
そうこうしていると新手のバイカー達の登場である。
「なんね?単車の話ね?儂も混ぜちゃってん。」
「ばいくカ?ばいくナラ、ワテクシも五月蝿イヨ?」
エンクルマとヴィシャスもバイク談義に参戦、それ以前の経緯を聞いた上でガン無視の上、自身のバイク自慢を始める。
「儂が美容専門学校行きよった時はSR400ば乗りよったばってん。ヤマハの空冷はやっぱ良かよ。」
「莫迦野郎!漢は黙ってスズキの1択だ!仮面ライダーの昔からバイクはスズキだ!それ以外は認めん!因みに俺の愛車は藤岡弘、さんと同じ世界最速GSX1300Rハヤブサだ!」
普段音声変換ソフトで会話するヴィシャスが地声に切り替えている・・・本気と書いて『マジ』と読むような勢いで本気だ。
「・・・また訳の解らないアルファベットと数字の羅列・・・。」
エンクルマ、ヴィシャスの愛車自慢で更なる混乱に陥る朝右衛門。
狼狽を露骨に現すエモーションを使い且つリアルに混乱してるであろう朝右衛門を察して助け船を出す義盛。
「み・・・皆さん落ち着いて!せっかく朝ちゃんがバイクに興味示してるんですから、こう・・・マニアックな愛車自慢止めて優しく初心者に接しません?」
「よ・・・義先輩!」
「ったく、でどれくらい単車の知識なり情報なりがあるか解らねーと、俺達だって説明のしようがねーぞ?」
「あ~そら確かに大将が云うごつ、朝ちゃんがどんだけ解るかが解らん事には説明ちゃしづらかね。」
「それならさ、私がギルド掲示板に画像何枚かupしていくからそれ見せてどれだけ解るか測るってのはどう? 」
「それでいんでねぇの?」
各々、ギルド掲示板を開き八郎の書き込みと画像を待つ。
~数分後~
『はいはぁ~い♪おまちどうさまっ!では1枚目はこれ!朝ちゃん以外は取敢えず正解が解っても答えちゃ駄目だぞぅ!八郎おねーさんと君たちとの約束だぞ?』
「うぜぇ・・・。」
「まぁまぁ、団長抑えて・・・。」
茶目っ気たっぷりの八郎の書き込みに毒吐くアイザックを宥める義盛。
「あ~こりゃ楽勝やろ?」
「だな。」
画像を見たエンクルマ達の反応は一様に“楽勝”“簡単”という感じなのだが…。
「これなら僕だって解ります!骨々の“原チャリ”!」
「・・・確かに“原チャリ”だけど…。骨々って・・・。」
「「「「「・・・。」」」」」
『正解はHONDA ZOOMER。では第2問、これはな~んだ?』
平静を装いつつ2枚目の画像を投稿する八郎。
「おっきな原チャリ!!」
「「「「「・・・。」」」」」
『正解はSUZUKI SKYWAVE。』
「おい!グラマジェじゃねぇのかよ?!」
アイザックの突っ込みが入るがその突っ込みにヴィシャスが更に突っ込みを入れる。
「大工・・・、お前、ビクスクは全部“グラマジェ”だと思ってるクチか?朝坊に偉そうな口きける立場じゃねぇな。」
「ちっ悪かったな!ビクスクなんてみんな同じだろ?」
「まぁまぁ、大将もヴィーやんも落ち着きない、人間誰だっちゃ得意不得意はあろうもん。」
ヴィシャスの突っ込みに怒りを露にするアイザックを宥めるエンクルマ。
そんなエンクルマの気遣いを粉砕するかの如く茶々を入れる八郎。
「あんたのΓもそこらのレーレプをガンマだと思いこんでんじゃないの?」
「あん?てめぇだって本当にファイナルエディション1100SYかよ?こ○亀よろしくスクラッチのフルレストアじゃねーのか?」
アイザックの声に先ほどまでとは違う怒気が篭る、それほど自身のガンマに愛着がある事が伺い知れるのだが、八郎と同じ土俵に立った時点で同じ穴の狢・・・、目くそ鼻くそを笑うのレベルである。
「ちょっ・・・落ち着きぃちゃ!大将待ちない!今のんは姐やんが悪か!一々、そげんこつばっかり云うけん要らん喧嘩ばっかするっちゃろ!」
「「外野は引っ込んでろ!」」
仲裁に入ったエンクルマを一喝したアイザック、八郎は、アバターの装備をその場で自身が持ちうる限り“最強”の装備に替えると臨戦体制をとる。
「あ~、エンクやめとけ・・・、一辺、戦闘らせとけ、人間大事にしてるモン扱き下ろされりゃ誰だって頭に血が昇らぁ・・・。」
呆れ気味にエンクルマを制止するヴィシャス、これにより“朝右衛門の為の優しい?バイク講座?”は前段階で頓挫。
後日、義盛がオフでヲタクな朝右衛門が多少バイクの車種を覚える為の取っ掛かりを作るべくかなり偏りのある漫画とごく一般的なバイク情報誌などを貸し与えたのだが・・・。
後日、義盛が貸した漫画、数タイトルが朝右衛門のツボにハマり、朝右衛門を中心に一部のギルメンに波及し一大ムーブメントが起こした。
「おめぇら!クエストで<D.D.D>や<ハウリング>とカチ合っても一歩も退くんじゃねぇぞ!」
「「「「おう!」」」」
「ぼっじゃない!・・・俺達、死んでも狂乱麗舞!出発!!」
「「「「<黒剣騎士団>だ!!当たると痛ぇぞ!!」」」」
「・・・義盛、お前朝右衛門にナニ貸したんだ・・・?」
「・・・お兄ちゃんの部屋から適当に・・・やっぱり無難に『ば○おん!!』辺りを勧めるべきでした??」
~別に要らない用語説明~
・カワサキ・750SS MACH Ⅲ:1972年に川崎重工業が製造販売していた2ストローク空冷3気筒エンジンを持つオンロードタイプ 通称H2 ※マッハⅣと呼ばれる事も。
特撮作品『人造人間キカイダー』にてキカイダー、ハカイダーの作中で使用したバイクは MACH シリーズの排気量違いだったりする。
・スズキ・GSX1100SYカタナ2000年ファイナルエディション:1981年からスズキが販売した空冷4ストローク4気筒エンジンのオンロードタイプ。日本刀をモチーフにした独特なデザインでホンダ・ドリームCB750FOUR・カワサキ・Z1などと並ぶススキの誇る名車。2000年ファイナルエディションは1100台しか生産されていない。
『ばく○ん!!』鈴乃木凜の愛車が排気量違いのGSX400Sカタナ(多分、今だとココが一番有名だろうと思います。)
・スズキ・GSX1300Rハヤブサ:1999年からスズキが販売した4ストローク水冷4気筒エンジンのレーサーレプリカ。最高速度312km/hを誇る世界最速マシーン、2001年以降のモデルはスピードリミッター装備とスピードメーターの目盛自粛で自主規制されている。
作中でシドが語った通り仮面ライダー1号本郷猛を演じていた藤岡弘、氏の愛車でもある。
・ヤマハ・SR400:1978年からヤマハ発動機が製造・販売している4ストローク空冷単気筒エンジンを搭載するオートバイ。カフェレーサーやダートトラッカー風のカスタムなどのベース車として用いられている。
『疾風伝説 特攻○拓』を読んだ事がある人なら天羽セロニアス時貞の愛機として有名?
★
・カワサキ・ZEPHYR
・カワサキ・ZRX
・スズキ・GSX400( IMPULSE400) ※1990年代に発売されたものの俗称ニューインパルス
・ヤマハ・XJR※通称ペケジェイアール
・ホンダ・CB400SUPER FOUR※通称スーフォア
色々と端折るが上記5車種は90年代後半~2000年代初頭の珍走団が好んでベース車両にしていた・・・。(CB400SF以外の4車種の400ccクラスは現在絶版)
・ホンダ ZOOMER:2001年から本田技研工業より発売されているスクーター
・スズキ SKYWAVE:1998年からスズキが製造しているスクータータイプのオートバイでスズキ初のビックスクーター。
・ヤマハ グランドマジェスティ:2004年にヤマハ発動機が発売した250cc400ccのビックスクーター通称グラマジェ ビクスクの代表格。
☆スズキ・ガンマ:今回の改訂版を書く切欠となったバイク。ログホラDBにて荒城隆史氏の愛車として『ガンマ』と明記されているが、1983年から1987年まで製造販売された250ccクラス、後のレーサーレプリカブームの火付け役であるRG250ガンマ。(初代ガンマ)
1988年にフルモデルチェンジしたRGV250ガンマ。
1985年発売RG400ガンマ RG500ガンマ。
などがある50cc~200ccまでの排気量の車種も存在する。
地味に初期型などは約30年前の代物でモノによっては現行車の新車と同価格、発売時の定価の倍以上で取引されている代物だったりする。(程度や人気の度合いで10万円台の物もあるが、如何せん絶版車の為、維持費は馬鹿にならない。)
おまけ
~オフ会という名のツーリングにて~
団員A「こんなアンティークよく乗ってますよね団長。」
アイザック「オジキからの、貰いもんだよ。ガキの頃から粘ったらくれたんだよ。」
一同沈黙…。
団員B「…オジキって、ヤッパリ団長の職業って893か…。」(ヒソヒソ)
団員C「建設系はなんだかんだで繋がってるって言うしな…。」(ヒソヒソ)
アイザック「オーイ聞こえてるぞ!…盃事の関係じゃねぇよ!血縁関係の叔父貴だ!手前ら俺を何だと思ってやがる。」
一同「反社会的勢力の若手幹部!!」
アイザック「…。」
オチは無い。
某女史との黒剣与太話から派生したネタで御座います。その節はありがとう御座いました。




