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2015,12,21弧状列島ヤマトの旅その3

引き続き、特別出演して頂いております。ヤマネ様申し訳ありません。

本拠地ホームタウンススキノ トランスポートゲート前


 そこで待ち受けていた相手は予想通り、自称“黒剣のゴミ処理係”<召喚術師>ヴィシャス、通称“シド”しかし彼が率いている<スノウフェル死ね死ね団>メンバーは、八郎とヘルメスも見知った<黒剣騎士団>の<暗殺者>槍豹、通称“ヤー坊”と<森呪遣い>シン=リン組合、通称“しんちゃん”の2名のみ、人数だけは予想外なほど拍子抜けな数だ。


「ねぇ~ヴィシャスぅ~!あんた何時からそんなに人望無くなったのよ?それとも、この馬鹿騒ぎに乗じてなんか企んでる?」


「・・・流石お嬢、察しがいいな。お前さんの云う通り人望が無くなった訳じゃなく・・・後者だ・・・。可愛いお嬢さん方のオイタに付き合ってもいいんだがな・・・、それを良しとしないヤツも居る訳だ・・・。」


 お馴染みの音声合成ソフトを使った電子音声ではなく地声、こういう時のヴィシャスは真面目な話?をする時などが大半だ。(<黒剣騎士団>のギルメンでも、ゲームプレイ中にヴィシャスの地声を聞いた事のあるメンバーは少ない。)

 連れて居る2人とヴィシャスが地声という事もあり、八郎には大体の見当が付いた。


「ヤー坊、しんちゃん、あんたらまだ、シンジュクの件、根に持ってんの?アレはそもそも<黒剣騎士団うち>が悪いんじゃん・・・。」


「・・・ボスや、シドやん達にも散々云われたよ、でも俺らは納得がいかねーんだよ、姉御!」


 八郎の云うシンジュクの件とはシンジュク駅ビル廃墟の単体レイドモンスター<レッサーベヒモス>討伐を<黒剣騎士団>が<D.D.D><ホネスティ>などを相手に横槍を入れて闇狩りした件を指す。

 この事件、最終的に<D.D.D>の櫛八玉とその友人、八枝による意趣返しで<黒剣騎士団>、<中規模戦闘フルレイド>4パーティが壊滅、総団長アイザックと“突貫黒巫女”櫛八玉がタイマン勝負で引き分けた事により<黒剣騎士団>のエルダーテイル共通掲示板への謝罪文の掲載および、同ギルドの3ヶ月間の単体レイド討伐自粛という条件で決着がついた。


 しかし、未だにこの幕引きに納得の行っていないのが櫛八玉と八枝に壊滅された時のメンバーだった槍豹とシン=リン組合の2人である。彼らにとっては単体レイドとは云え<大規模戦闘レイド>は初陣で、その初陣に泥を塗られた事を根に持っている。


「・・・しつこい男は女にモテんぞ、青少年・・・、で?ヴィシャス、どさくさ紛れにこの2人のリベンジ手助けしてやる算段?」


「まぁ、端的に云えばそうだな。コイツらを納得させて、且つ<黒剣騎士団うち>と<D.D.D>が全面衝突しない最善手を打つなら今日、現在いましかねーだろう。」


「流石は最年長、普段からそれくらい気配りしてくれりゃあ、レザリックが毎回、頭抱える事も無いのにね。」


「・・・レザが頭抱えるような厄介事を常に持ってくるのはどこのお嬢だ?」





本拠地ホームタウンシブヤ トランスポートゲート前 


 櫛八玉をTOPに据える<スノウフェル死ね死ね団><D.D.D>組の前に現れたのは<スノウフェル死ね死ね団>のギルドタグを付けた3人組だった。


「・・・?えぇ~っと義盛ちゃんの連絡だと、こっちに来るのは八郎姐達の筈ですが?何故に貴方がここにいらっしゃる?ヴィシャス・・・さん?でしたっけ??」


 イマイチ状況が飲み込めず質問する櫛八玉。


「高名な“突貫黒巫女”のお嬢さんに名前を覚えて貰ってるとは、恐悦至極・・・まぁ、覚えるも何もステータス観れば名前くれー判るか。」


 さも愉しげに語り掛けるヴィシャスはそのまま、用件を切り出す。


「<黒剣騎士団うち>のお嬢さん方が<D.D.D(そちら)>を巻き込んで馬鹿騒ぎやって申し訳ない・・・。巻き込まれ序でに俺の我が儘を1つ聞いて貰いたいんだが・・・。」


「何?この人?いきなり現れて、我が儘を聞けとか・・・あ~アンタ<黒剣>の何時も変な声で話してるヤツじゃん!なんで私らがアンタの我が儘聞かなきゃならないのよ?」


 会話に割って入り悪態を吐く八枝、いきなり現れて初対面の人間に『我が儘を聞いてくれ』なんて云われれば、大抵の人間は同じ対応をするだろう、そんな悪態も何処吹く風で話を続けるヴィシャス。


「まぁ、お嬢さんそう怒りなさんな・・・、<黒剣騎士団うち>の馬鹿共で未だに“シンジュクの一件”根に持ってる阿呆が居てな、お嬢さん方と改めて勝負しねーと納得が出来ねーと抜かしやがる。あんまり五月蝿いんで難儀してたんだが、これもなんかの縁だ、そいつらの相手してやってくれねーか?」


 淡々と話を続けるヴィシャスの言葉を高山三佐が遮る。


「シンジュクの件は終わった事です。そもそも<黒剣騎士団そちら>に最初の非が在る案件ではないですか。」



「高山女史の言うとおり元凶は<黒剣騎士団うち>の大工カーペンターなんだが・・・。ところで、今回の馬鹿騒ぎ・・・<D.D.D(そちら)>の御大将クラスティさんはご存知なのかい??」


(((ギクウッ!!!)))


 櫛八玉、八枝、高山三佐の中の人たちはPC前で凍りつく・・・、念話で話し合っているのだろうか、暫く沈黙が続き櫛八玉が重々しく口を開く。


「・・・判りました・・・ヴィシャスさんの我儘に付き合います・・・ので・・・この件はクラスティくんにはご内密に・・・。」


「ご協力感謝する。」




(((・・・ところで大工カーペンターって誰??)))









本拠地ホームタウンアキバ トランスポートゲート前 



 義盛達<スノウフェル死ね死ね団>アキバ残留組3人の前には怨敵、“リア充”伊庭八郎とヘルメスの2人のアバターが立っている。ヴィシャスからの連絡ではシブヤに向かった筈の2人が目の前に居る・・・一瞬、思考が混乱するがヴィシャスが八郎達に付いたと悟る。


「・・・シド兄ィは八姐と付き合い永いってのを忘れてたな・・・。」


「義盛ィ~ヴィシャス恨んじゃ駄目だよ?アイツはアイツで色々大変なんだから・・・?で?どうする?表出て白黒付ける?それともごめんなさいする??」


 八郎が義盛達に謝罪するという選択肢は最初はなっから無いらしい、あくまでも自分は『被害者』という立場での物言いだ・・・。

 しかし、八郎のそういうところは周知の義盛とサツキは怒りもしない、この場で一番落ち着きがないのは自分がこの事態を作り上げた張本人だと思い込んでテンパっている朝右衛門である。


「ぼ・・・僕が悪いんです!!ヨシ先輩たちは悪くありません!!だから・・・」


 一旦口篭り、次に口に出す言葉を必死で考える朝右衛門、彼女からすれば八郎とヘルメスの怒りを、そして罰を受けるのは自分だと思い込んでいる。(実際問題として八郎達は怒ってはいないのだが・・・)そんな朝右衛門の気持ちはお構い無しに次の言葉を促す八郎。


「だから?どうするの?お嬢ちゃん??」


「だから!僕と勝負してください!!伊庭八さん!!」


「・・・う~ん・・・なんで今までの流れからこういう流れになるのかしら・・・。」


 全くもってサツキの云う通り、今までの流れから何故、そうなるのか?そもそも、最初の作戦では各 本拠地ホームタウントランスポートゲート前に、この作戦の片棒を担いでくれるプレイヤーを配置し、八郎達に雪玉を投げつけるを繰り返し、八郎が根負けして『ごめんなさい』をするかログアウトすればこちらの勝ち。もし八郎が逆上してPKに及んだ場合は義盛とサツキないし<黒剣騎士団>で対応する作戦だったのだが・・・。

 何故かおかしな展開に、(まぁ元々即興の作戦で回りのプレイヤーに萎縮してテンパっていた朝右衛門には正確に伝わってなかった所為。)これ以上のツッコミは敢えてしない方が良さそうな空気でもあるので、取り敢えず後は八郎の出方次第という事になる。


「勝負ね~…って事はPVP?私ゃ構わないけど、義盛とさっちゃん、あとヘルメスちゃんはそれで問題ない?どっちが勝っても恨みっこなし。それでOK?」


「「「構いません!」」」


3人の意見を聞いて、一呼吸置き八郎が口を開く。


「じゃ、場所移しますか!」







シンジュク駅ビル廃墟


 スノウフェル初日ということもあり大半のプレイヤーはエッゾ帝国もしくはオオウ地方に行ってしまいシブヤやアキバ近郊のゾーンは軒並み閑散ととしている。むしろシンジュク駅ビル廃墟ゾーンは全くプレイヤーが居ない、櫛八玉達<D.D.D>とヴィシャス達<黒剣騎士団>双方ににとって好都合だ。


「ありがたい事に他のプレイヤーも居ねー・・・、取りあえず2対2どっちが勝とうが負けようが恨みっこなし、勝敗は他言無用、俺と高山女史が見届け人って事で文句無ぇーな!ヤー坊!しんの字!」


「「おう!」」


 返事と共に戦闘態勢を取る、<暗殺者>の槍豹と<森呪遣い>シン=リン組合。


「まさか、またここで<黒剣騎士団>とやり合うなんてねぇ・・・」


「まぁ、恨みっこなしの他言無用だしいいじゃないのクシ?」


 気合十分な<黒剣騎士団>の2人に対し、やる気の欠ける櫛八玉と八枝・・・、そこに高山三佐の戦闘開始の合図が響く。


「それでは!戦闘開始!!」






ロカの施療院


アキバの街からさほど遠くないゾーン、やはりこの時期、ここにもプレイヤーは居ない、八郎はサブ職<剣狂>のスキルを発動させ、手近に居る低レベルの小型モンスターを数匹無造作に倒し、ワザと自身のHPを数百ばかり削る。


「2とは云えレベル差在るから、ハンデね。もう少し削った方が良いかい?」


 完全に『舐めプ』だ、八郎にはさほど悪気は無いだろうが、朝右衛門・・・否、其処に居合わせたメンバーからすれば明らかに『舐めプ』だ。


「・・・、ヨシ先輩や突貫さんに聞かされてますし、攻略サイトなんかで武勇伝は知ってますが、伊庭八さん・・・僕の事、舐め過ぎじゃないですか?」


「ん~?舐められてると思うなら実力で見返してごらんよ?“千変卍華”の朝右衛門ちゃん。」


 この台詞が戦闘開始の合図となる、朝右衛門は懐から戦輪チャクラムを取り出し<デッドリーダンス>を仕掛ける、相手の主力武器メインウェポンは背中の大太刀か大弓だと思い込んでいた八郎は虚を突かれ、初撃から4連撃までは直撃を喰らうが<後の先>からの<居合いの構え>で反撃に転じてなんとか5撃目以降は食い止める。


(ヤバい…舐め過ぎてた・・・、この上手い・・・本気出さないと負ける・・・。)


  最近リアルで良い事が在って浮かれ気味の八郎は完全に相手の実力を見誤っていた、若干のブランクと少しのレベル差は在るものの朝右衛門は上手かった、完全に背中に携帯している武器はブラフで主力武器は戦輪チャクラムだった・・・慌てて間合いを取る八郎にクナイによる<アトルフィブレイク>が襲ってくる、なんとか回避したのもつかの間、<ガストステップ>で間合いを一気に詰められる。被弾覚悟で<電光石火>からの<瞬閃><火車の太刀>の連携で朝右衛門のHPを削り、改めて間合いを取る。

 サブ職<剣狂>のスキルで攻撃力は底上げされているものの、それでもまだ決定打には至らず、更に<飯綱斬り>で間合いを稼ぎ相手の出方を探ろうとした瞬間、いつの間にか朝右衛門の武器は戦輪チャクラムから背中の大太刀に変わり<エクスターミネイション>が完全に八郎の首を捕えたかに見えたが<切り返し>で相殺。

 息も吐かせぬ一進一退の攻防。


「やるね、朝右衛門ちゃん!お姉さん、君を舐めてたゴメン!!まさか、戦輪チャクラムもハッタリとは吃驚だよ・・・。」


「素直に褒められてるって受け取っていいんですか?伊庭八さん?」


「もちろん!!ここまでやり辛い相手は初めてね・・・。」


 HP残量、MP残量は八郎の方が若干優位、防御力も優位、しかし相手は全12職中1、2を争うDDダメージディーラーの<暗殺者>である上に攻撃がトリッキーで掴み処が無い。


(流石に余裕こいてられないねぇ・・・最初に自分でHP数百削ったのが悔やまれる・・・素直にごめんなさいするのは私の方か??)


 PCの前、咥えた煙草は既に灰となっている・・・八郎が考えあぐね特技<朱雀の構え>を発動、朝右衛門がそれに呼応したように<ガストステップ>を発動、それらが発動と同時、否その前に<のろまなカタツムリのバラッド><ナイトメアスフィア>が八郎、朝右衛門に投射され<アストラルバインド>で2人の動きを封じる。


「「なっ!!!」」


 急な移動阻害で身動きが出来ず、絶句する。


「はい!お2人ともそこまでです!大体、雪合戦の延長でPVP・・・PK?にまで発展させてどうするんですか?」


「・・・大体、八姐が素直に『ごめんなさい』云ってたらここまで大事にならなかったのに・・・。」


「・・・だと思った♪って私も加害者っていうより被害者?」


 朝右衛門の八つ当たりに便乗して最近、事ある毎にリア充アピールをする八郎に少しばかりお灸を据えようという趣旨だった筈が本末転倒になった為、サツキの行動阻害呪文とヘルメスの行動阻害呪歌で動きを止めた、ヘルメスの行動阻害呪歌はサツキ達には想定外だったが、サツキの行動阻害が間に合わなかった場合は義盛が割って入るか障壁を張るつもりだったようだ。

 この後、八郎に義盛とサツキによる大説教大会(非リアの恨み節)が小一時間ほど行われ、朝右衛門に対しても多少のお小言がプレゼントされる。(逆ギレ防止にきっちり障壁を張り、行動阻害呪文継続のまま)ただしリア充アピールをしてはいないのでヘルメスは免除された。


「・・・ごめんなさい・・・。」


「・・・すみませんでした・・・。」


 八郎は不承不承、朝右衛門はしょぼくれて、ごめんなさいをする。





シンジュク駅ビル廃墟



「やっぱり、腐っても<黒剣騎士団>のメンバー楽には勝たせてくれなかったね。」


「な~に云ってるの楽勝だったじゃん。」


2人の異なる感想が返ってくる、こちらはきっちりと勝敗が着いた様だ。


「お嬢さん方、ご協力感謝する、正面からぶつかって負けたんだ、これであいつらも納得するだろうさ。」


 槍豹、シン=リン組合の2人は善戦空しく敗れた、多分シブヤの大神殿でしょぼくれていることだろう。ヴィシャスはもう一度、<D.D.D>の3人に礼を述べ双方他言無用を再確認し2人を回収する為その場を去った。


「なんで、私らスノウフェル初日にこんな事やってんの・・・。」


「云っちゃだめ!それを云っちゃだめ!」


「まぁまぁ、楽しかったから良いじゃないですか、それよりサツキさんとの約束は有効ですよね?クシ先輩?ヤエ先輩?」


「「山ちゃんェ・・・」」







こうして2015,12,21スノウフェル初日は色んな人を巻き込み、特にミナミには甚大な被害を及ぼし後々まで語り草になる話を誕生させ幕を閉じる。





ーキャラクター 紹介ー

朝右衛門=Y LV88 メイン職<暗殺者(アサシン)>サブ職<追跡者>人間ヒューマン/女性

リアル中2にして重度の厨二病患者で僕っ娘。某不老不死の人斬り漫画の影響で<暗殺者(アサシン)>は多彩な武器を使いこなせてなんぼという考えに至った困ったちゃん、その為ダザネックの魔法鞄の中身は8割5分が武器。(大抵の武器は使いこなすが両手剣以外は並か並以下)“千変卍華”の二つ名を自称するも全く浸透せず、“器用貧乏”、“歩く武器庫”などと揶揄される事もしばしば、防具に関しては回避率や素早さ見た目に重きを置いているので紙装甲も甚だしい。

 ノリと勢いだけで突っ走るタイプだが目上に対しては礼儀正しい。“黒剣の残念職3人組”の舎弟のような存在。


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