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俺達には土曜日しかない。

サブタイトルの元ネタを誰が判るのだろう・・・。


老舗MMORPG<エルダー・テイル>10番目の拡張パック<夢幻の心臓>が実装された年、日本サーバーのとある戦闘ギルドが世界的に脚光を浴びる。大規模戦闘コンテンツ『ラダマンテュスの王座』を世界最速で制覇、幻想級武器《苦鳴を紡ぐもの“ソード・オブ・ペインブラック”》を入手しその黒き剣に因みギルド名を改名したギルド。後にアキバ5大戦闘ギルドに名を連ねるそのギルドの名は<黒剣騎士団>


 なんだかんだとドタバタな日々の続いた後のある日のお話。


 新人歓迎会も兼ねてのオフ会も一段落、<夢幻の心臓>で実装された大規模戦闘コンテンツもあらかた様々なギルドに攻略され新規クエストも大方発見され尽くし各々がギルドホールに屯したり、狩りに出たり、アイテムの補充をしたりとまったりした土曜の夜、不意に総団長“黒剣”のアイザックが“黒剣の残念職3人組”のその1義盛に唐突に質問する。


「なぁ義盛、たまにお前のマイクが拾ってる単車の排気音おと、ありゃカワサキのマッパかケッチだろ?誰か身内に単車乗りでもいんのか?」


「・・・団長よく判りますね・・・えぇ、お兄ちゃんが現役・・・引退してからバイクにハマって750SS MACH Ⅲに乗ってますよ。」


「H2かよ?渋いなぁ、排気音からしてマフラーはノーマルだろ?」


「私はあんまり詳しくないんですけど、確かまだカスタムまでお金が回らないって云ってたからノーマルだと思いますよ?」


 バイクが判らない人間には全くもって理解不能な会話が開始され、バイク好きのみがその会話に参加しだした、最初に参加したのが意外な事に八郎である。


「何?何?バイク?私も乗ってたなぁ~カタナ・・・彼氏が危ないから乗るなって云うから降りたけど、また乗りたいなぁ・・・。」


 八郎が昔を懐かしみつつ惚気発言をさらりと吐く。


「八姐もバイク乗ってたの?意外・・・しかもカタナ・・・。」


「何がカタナだ、どうせGSX250SS辺りだろ?さり気に惚気てリア充アピールとか、どんだけあざといんだお前は・・・。」


 意外がる義盛と惚気に毒づくアイザック、毒なぞお構い無しに話を続ける八郎。


「残念!2000年ファイナルエディション1100SYよ!なんとかゲットしたさね!それよりアイザック、アンタはどうなのよ?どうせ400のゼファー辺りとか珍走仕様で乗り回してた口でしょ?三段シートだとか竹やりマフラー??」



「残念だったな!俺が乗ってたのはカワサキ・Z1000MKIIだ!大体誰が珍走だこの野郎!」


「あらやだ、意外・・・ゲーム廃人大工の癖にカワサキとか。それと私は野郎じゃなくてピッチピチの『永遠の26歳』女性ですぅ~!」


 だんだん会話の雲行きが怪しくなってきたところで、新手の登場である。


「なんね?単車の話ね?儂も混ぜちゃってん。」


「ばいくカ?ばいくナラ、ワテクシも五月蝿イヨ?」


 エンクルマとヴィシャスもバイク談義に参戦、話に付いて行けないメンバーはぞろぞろとその場を退散していく、そんな事はお構い無しに話はヒートアップしていく。


「儂が美容専門学校がっこ行きよった時はSR400ば乗りよったばってん。ヤマハの空冷はやっぱ良かよ。」


「莫迦野郎!おとこは黙ってスズキの1択だ!仮面ライダーの昔からバイクはスズキだ!それ以外は認めん!因みに俺の愛車は藤岡弘、さんと同じ世界最速GSX1300Rハヤブサだ!」


 普段音声変換ソフトで会話するヴィシャスが地声に切り替えている・・・本気と書いて『マジ』と読むような勢いで本気だ。


「あ~私もヴィシャスに同意!やっぱりバイクはスズキよ。」


「あ~ん??漢なら黙ってカワサキだろうが!昔から漢のバイクはカワサキって相場が決まってるだよ!隼が最速?ZX-12Rに加速性能で負けてるだろ?何時までもスズキが最速と思うなよ!なぁ義盛?」


「え~っと私、そんなにバイク詳しくないんですけど・・・やっぱりホンダでしょ?CB400SBとかいいじゃないですか・・・。」


 だんだん、バイクの話から好きなメーカーの話に発展し、話は険悪ムードと化して来た・・・。バイク談義には参加せずに大人しく聞きに回っていたメンバーに緊張が走るが、その険悪ムードを打開する一言が飛び出す。


「<D.D.D>のクラスティさん辺りとかぁカッコイイバイク乗ってそうですよねぇ~『カブ』とかぁ~『パッソル』とか♪」


 バイクは『スーパーカブ』と『パッソル』しか知らないヘルメスの一言でその場の空気が一変、大爆笑の渦と化す・・・。


「ちょ・・・リアルの本人知らないけど、想像しちゃったじゃん・・・!」


「ぷっ・・・能面眼鏡がカ・・・カブとか・・・」


「ちょ・・・マジで・・・か・・・勘弁しろよ・・・」


「パッソル・・・ぷぷ・・・っちょ・・・おま・・・」


「ヘルメスちゃん・・・カ・・・カブがか・・・カッコ良かね・・・ぷぷ・・・」


「・・・だ、誰か・・・絵心のあるヤツ・・・イラストに起こせ・・・ぶぶぶひゃ・・・・」



後日この話がギルド内に広がり、以降暫く<黒剣騎士団>のギルメンは<D.D.D>のギルドタグを見る度に笑いを堪えるのに必死になったとかならなかったとか・・・。





「ん~?私、変な事云ったかなぁ??」


アイザックの中の人がバイク好きそうだなぁ~なんて思いつつ書いてました。マントを靡かせでカブで疾走するクラスティさんを想像して腹筋が・・・。

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