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大災害の3日前~その2~

「ヘルメス、今日の試験の採点はどんな感じ?」 

 『テケリの廃街』攻略後、アキバに戻り一息ついた処で義盛は今回の入団試験試験官を務めたヘルメスに新人の様子を尋ねる。

「ん〜・・・、まぁ大将が求めるようなプレイヤーは半分、あとは可もなく不可も無くが3人、お引き取り下さいが3人って処かな?最近私が試験官やった分では豊作じゃないかなぁ〜。」

 気のなさげな気だるい返答をするヘルメス。


「お引き取り下さいの3人って私達が増援に行った時に既に神殿送りになってた<武闘家>と<盗剣士>と<妖術師>のお兄さん方?」

 最初に増援として参戦していたサツキが『不合格』の烙印を押されたであろうと推測する3人のメイン職を挙げたが返って来た返答は違うモノだった。


「あ〜・・・、その3人は大将が求める方だねぇ〜。崩れた前線を立て直す為に必死こいてヘイト稼いでくれたからねぇ〜、寧ろサツキと朝ちゃん着た時に死にかけてた<守護戦士>と<武士>と<森呪遣い>がお引き取り下さいなんだよねぇ・・・。」


 何かげんなりしたように言葉を返し黙り込む。その様子から大まかにではあるが初戦の状況を察したのかその場に居たメンバーも沈黙する。


「「「・・・・。」」」

「・・・zzz」

「・・・もしかして、ヘルメスさん寝落ちしました?」


 ヘルメスのアバターから寝息を聞き取り、周囲に問い掛けるように朝右衛門が呟く。

「最近、リアルが忙しいようですし確実に寝落ちですねコレ。」

 サツキが労るように云う、その言葉を聞きながら溜め息混じりに淋しそうな声を義盛が発する。

「・・・リアルが忙しいか・・・ヘルメスも引退するのかなぁ。」

リアルを優先して引退した先輩を思い出す。リアルの事情を優先する事は決して悪い事ではないのだが、今まで苦楽を共にした仲間が去るのはさびしい。


「う〜ん、それは多分ないと思いますよ?ヨシくん。」

 サツキが軽く否定する。それに追従するように朝右衛門が言葉を続ける。


「本当に其れはないと思いますよ〜ヨシ先輩、ただでさえうちのギルドは女性プレイヤー少ないのに更に減ったら、<逆西風の旅団>になっちゃいますよ。」


 『西風の旅団』新興ではあるが<D.D.D><ホネスティ><シルバーソード><黒剣騎士団>と並ぶアキバ5大戦闘ギルドの1つであるが構成メンバーの9割が女性プレイヤーという<黒剣騎士団>とは対極のギルドである。

「「何を今更、既にそうだから!」」

義盛とサツキのツッコミが同時に入る。

「あははは・・・そうでしたね。」


渇いた笑い声を漏らす朝右衛門。其処に間髪入れずに義盛が畳み掛けるようにまくし立てる。


「大体、黒剣の古参メンバーとダンジョンなんかで遭遇したら大抵のプレイヤーはモンスターと間違えるよ?ゴブリン将軍も真っ青なレイドモンスターだよアイツ等!そんなのが大挙しているギルドに入る物好きな女性プレイヤーなんて限られてるって!」

「・・・ヨシ先輩、それは言い過ぎなんじゃ・・・」


寄りにも寄って散々な言い草である。しかし、ギルドマスターの“黒剣”のアイザックを始め古参メンバーのアバターは一様に黒尽くめで厳つい装備の為、『モンスター』っぽいと云えば確かにそうだ。義盛の言い草に苦笑しつつサツキが云う。

「ですね。でもまぁ『変人窟』辺りではそれなりにアイザックさん達は人気者みたいですよ?『古書店ひよこ堂』の比翼子さんがアイザックさんの薄い本をお作りになって夏と冬の祭典で販売してるとかなんとか・・・」

「「マジですか・・・」」


腐女子にはそれなりに需要があるらしい・・・。


ひとしきり雑談に華を咲かせていると朝右衛門から義盛とサツキに質問が飛ぶ。

「そうだ、ヨシ先輩やサツキさん達の入団試験って、どんな感じだったんですか?やっぱり大規模戦闘コンテンツにいきなり放り込まれたとか?」



一瞬、2人が沈黙する。

「私の時は最悪だった・・・。」

「私の時はテストと云うのかしら・・・。」



別室で義盛達が雑談を繰り広げられる中、資材倉庫で1人資材整理をするレザリック・・・完全に約束を忘れ去られている・・・合掌

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