閑話休題
本題に入る前の閑話休題です。今回話しが短め。
2014年5月9日加筆修正
『ΩΩΩΩ<ナンダッテェ~!!!』『_| ̄|○ウソダドンドコドーン』『 ……_ノ乙(、ン、)_ 』etc.
珍しく<黒剣騎士団>ギルドホールにテキストチャットが飛び交う。緊急召集で主だったメンバーを集めたは良いが『本題』よりも『実は義盛の中の人が女子高生』という衝撃の!?事実に一堂が騒然となった結果がこの状態なのである。
「お前ら!いい加減にしろ!義盛がじょ・・・」
一堂を窘める為に声を荒げたアイザックのボイスチャットは途中で途切れる。
『義盛が女子高生だろうが関係ないだろう!話が進まねーw』
・・・どうもアイザックにも衝撃的だったらしくテキストチャットに切り替わった。
『誰よ?本題に入る前に義盛の話題を振ったの?話が進まないじゃない。(怒)』
何だかんだ云いつつやはりテキストチャットに移行してる八郎も『まとも』にボイスチャットが出来る状態ではないらしい。ワザワザ怒りを表現する為に語尾に(怒)を使う辺り、何処まで本気で怒っているのやら・・・。
「ん~?わんこが言い触らしたけん、こん様たい。あんまそげな対応しょったらヨシがいぢけて泣くばい?」
唯一、ショック?!から立ち直ったエンクルマが義盛に気を使ったのだが・・・時既に遅し、義盛の中の人はボイスチャットのマイクを切ってPCの前で泣きじゃくっていた。
「ど~せ、私ゃ声が男声ですよ・・・悪ぅ~ございましたね!畜生・・・。」
…少し彼女の過去に触れよう義盛が<エルダー・テイル>を始めた当初、彼女は女<神祇官>だった。キャラの名前も今の義盛では無く別の名前だった。しかし、『声質』がやたら低く男性に間違えられる事が多々、否!ナンパ目的のネカマと間違えられる事が多過ぎて泣く泣く最初のアカウントは削除して新たに男<神祇官>義盛を作ったという経緯があった。と、云ってもロールプレイで男性を演じていた訳でもないので今度は話し方から『オネェ系』のロールプレイヤーだと思われていた。
「<黒剣騎士団>見るのと聴くとじゃ大違いだねぇ~♪エリート主義の排他的ギルドかと思ってたけどぉ、賑やかな良いところみたいだねぇ♪」
「そうですねぇ、ヨシくんから入団前に聞かされたイメージや攻略サイトの伝聞とは大違いですわね…」
世の中、総じて外聞と内部に相違があるのは何処も同じなのだが、実際目の当たりにすると苦笑しかない。サツキもヘルメスも目の前の喧騒が鎮まるまで傍観を決め込む腹積もりだ。
『お二人さん、ごめんね~!ちょっとこの『祭り』が終わるまで『本題』に入れそうにないわ…。で?!わんこ!お前は名前を『明後日のわんこ』にでも改名してこい!お前の所為で話が進まないじゃない!』
『俺の所為ですか?俺が悪いんですか?!』
不毛なボイスチャットはこのあと、唯一無言を通していたレザリックの一喝で終止符を打つまで続くのであった…。




