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大災害の3日前

2014年5月9日少し加筆。

黒剣騎士団資材倉庫


「何なんですかね!全く!拡張パックが実装されるの3日後ですよ!」

青年然とした低めの声のアバターが吐き捨てるようにぼやく。 

「ははは…うちのギルマスはお祭や遠足が待ち遠しくて前日からハシャぐタイプだからねぇ」

先程からせわしなく画面上を動く渋い声のアバターから苦笑混じりの返事が返ってくる。

「…レザリックさん、祭前日どころの騒ぎじゃないですよ!3日も前から詳細も出ていない大規模戦闘レイドコンテンツの準備しろって…アホですか?あの人は!」


僧兵姿のアバターが地団駄を踏むようなエモーショナルをする。

「義盛くん仮にも相手はギルマスなんですからアホ呼ばわりはどうかと思うよ…」

レザリックは苦笑混じりにそう答える。

「ギルマスだろうが、何だろうがアホはアホです!」

義盛は忌々しげに更に言葉を続ける。

「百歩譲って用意周到と云うことにしましょう。だけどその大規模戦闘の準備に2人しか割かないってムチャクチャですよ!ログインしてる連中は何してるんですか!」

レザリックはポーションの在庫を確認しながら返事を返す。

「ギルマスと主だったメンバーは今回の拡張パックで新たにゾーンの追加が有りそうな場所の散策、ヘルメスさんは新人の入団テスト。サツキさんは義盛くんも知っての通りです。」


その返事にバツが悪いというかなんというか何ともいえない声色で

「サツキお嬢と朝ちゃんはシンジュク御苑の森に狩りですよね・・・えぇ、元々私もそちらに同行する予定でしたから・・・」


義盛の今日の予定はサツキ、朝右衛門とシンジュク御苑にて狩りの予定だったのだが、2人と合流前にギルド・ホールに立ち寄ったところ、そこでは黒剣騎士団資材倉庫管理人レザリックが1人黙々と資材のチェックしており、流石にそれを見かねて予定をキャンセルしレザリックの手伝いしていたのだ。

「すまないね。せっかくの予定をキャンセルさせた上に雑事の手伝いまでさせて…。」


本当に済まなさそうに謝罪するレザリック。

「あ~レザリックさん気にしないで下さい。私が勝手に手伝ってるだけですから…しっかし、八郎姐さんやウッドストックさんいたら、こういう雑事は楽…」


『チリリリ~ン♪』


義盛の会話を遮るように『念話』が入る。

「あっ!ヘルメス?試験の進行具合はどう?」

『念話』の相手は本日、新人(と云ってもレベル90の冒険者だが)の入団試験の試験官を務めるヘルメスからだ。

「…それがちょっと不味い具合でさ…メインタンク任せた<守護戦士>の兄ちゃんがテンパって前線崩壊して油断してると壊滅しそうなんよ。テヘッv」

説明された状況は最悪だが、更に最悪なのはなんの危機感も感じさせないヘルメスの口調である。

「ヘルメス…あんた、ハーフレイド連れて何処を試験会場にしたのさ?」

義盛は呆れつつ試験の場所を聞いてみた。

「レイド初心者ばかりだからモンスターのレベル帯の低い『テケリの廃街』選んだんだけど、何人かモンスターの数に圧倒されてもうぐだぐださね♪」

緊張感の欠片もない口調の状況説明だが事態が緊急を要しているのは分かる。

「『テケリの廃街』って中国サーバーだよね?『妖精の輪』は何処からそこに移動出来る?何人増援だしたら攻略出来そう?私達がそっちに到着するまで持ちこたえられる?」


矢継ぎ早に状況確認をしつつ別窓で攻略サイトなどを確認する義盛。

「『妖精の輪』はシンジュク御苑の森付近のヤツ使えば今ならまだこっちに飛べる筈だよ?増援はヨッシー込みで3、4人居れば状況はひっくり返せる。持ち堪えられるかは…頑張ってみるわ♪」


何処までも緊張感のない口調で会話を進めるヘルメス。義盛はメニュー画面で持ち物などの確認をして素早くシンジュク御苑に居るであろうサツキに念話を送り簡単な状況説明をして増援を頼み、レザリックにも事の顛末を説明する。


「…なので、入団試験組で不都合が発生したようで早急に増援に向かいます。後でヘルメス達にも資材の在庫確認手伝わせますから、レザリックさんにも同行をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?」

きびきびとした口調でレザリックに同行を求める。

「状況は分かりました。いそぎましょう。」


あっさりと了承し戦闘の身仕度を始めるレザリック。


その様子を見て『流石は黒剣騎士団最後の常識人』と心の中で呟き急ぎ救援に向かう。


(しかし、入団した頃はあんなにオドオドしていたのに・・・成長したと云うべきか、『朱に交われば赤くなる』と云うべきか・・・『あの人』 の影響を一番受けてるからか・・・。)


テキパキと動く義盛を見て感慨深くなる<黒剣騎士団>1の苦労人レザリックであった。



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