茜色の夕情
子どものころ童話を書いた
確か夕焼け空の表紙を作ったんだ
あったかい空に風船と小鳥のシルエット
やわらかくてやさしくてたのしいお話
(でも現実は?)
つらくていたくてかなしい毎日
いったいどこに吐き出してたんだろうか
あのくるしみ
わからない
記憶がごそっと抜けてしまったから
皆さん言っていました
好きな言葉は「友情」です
いいえ
好きな言葉は「薄情」でしょう
気付いたら偏屈な人間になってた
友情の真似事はしてみたけど
違った
美しくなかった
やめた
(要するに面倒だったんだ?)
ほしあんずが好きだ
かたくて干からびてお砂糖がついてないやつ
噛みしめると夕情の味がする