淫裸女万子のテレビ出演
クイズ番組に出場です
あたしは、万子と一緒に体育会系のクイズ番組に出ていた。
解答権を手に入れる体力勝負は、接戦なのだが、クイズ自体の正解率に大きな違いがあった。
「レッドデータアニマルとは、どんな動物?」
出題と同時に各チームが駆け出す。
「何で歩いてるの?」
あたしの問い掛けに万子が鎖骨を指でつつく。
「病み上がりだから、ハードな運動は、避けているの」
「あたしも退院したばっかりだけど走ってるよ!」
万子は、スタッフの方を見て呟く。
「これ以上点差をひろげても反感買うだけだよ……」
「だからといって、手を抜くなんて出来ない」
あたしが反論している間にアスリートOBチームが解答権を得た。
「体が赤い動物!」
不正解のブザーがなり続く男性格闘チームも不正解で甲子園出場チームが解答権を得た。
「赤道上の動物の分布!」
「体が赤いよりましだけど……」
万子が呆れる中、不正解のブザーが再び鳴り、万子がゆっくりしていたあたし達の解答。
「絶滅の危険がある動物」
万子の解答に正解のチャイムが鳴る。
解答者達は、驚いているが、観客やスタッフは、半ば呆れ顔だった。
司会の芸能人が笑顔をひきつらせながら言う。
「またもや女子格闘チームのポイントです。点差は、圧倒的ですね。ここでいったんCMです」
そのとたん、プロデューサーが来る。
「あのさー、もう少し空気を読んでよ。この点差で逆転なんてチャンスなんてやったらクレームが来ちゃうよ」
「真面目にやって何が悪いんですか!」
あたしが睨むとプロデューサーが苛立つ。
「そっちの大会だって八百長の一つや二つやってるんだろ? じゃなきゃこんなガキ勉が準優勝出来るわけ無い!」
こいつは、言っては、ならない事を言いやがった。
あたしが拳を握り締めた時、セットに大穴が空く。
「すいません、ちょっと転んじゃいました」
万子が作り笑顔で謝罪する。
スタッフが凍りつく中、万子が提案する。
「最後の問題は、綱引きで負けたチームの得点が勝ったチームにうつり、相手を選択できる形に変更したらどうですか? これだったら逆転にも盛り上がりが生まれますよ」
冷や汗をかいたプロデューサーが頷く。
「いい提案だね、それで行こう……」
席に戻る途中万子が囁く。
「連勝して番組潰そう」
あたしが強く頷く。
CMあけ、万子が提案した形で最終問題が始まる。
各チームに一回づつチャンスが与えられる。
最初は、最下位のアスリートOBチーム。
対戦相手は、当然あたし達。
「現役引退したからって女子高生には、負けないよ」
勝つ気満々の様子で綱を握る。
「今年の干支は、何でしょうか? 綱を引いてください」
開始の合図と共に力いっぱいひくアスリートOBチームだったが、あたし達が引っ張らなかった為、バランスを崩す。
そこを引っ張り、あっけなく勝利する。
「未よ」
あたしが形式的に解答し、チャイムが鳴る。
次は、学生だから少しは、ましだったがおてつきが多かった甲子園出場チーム。
「絶対に勝つぞ!」
「「「おう!」」」
応援席からも声が上がる。
「高校野球は、何回まで?」
綱引きが始まる。
息がぴったりあった引きでなかなか強敵だったが、万子が上下左右に綱を揺さぶると腰が浮き、力が抜ける。
そこを一気に引いて勝つ。
「九回まで」
あたしの答えで負けが決まった甲子園出場チームは、男泣きをする。
そしてクイズとは、関係ないコーナーでポイントをとった男性格闘チームが出てくる。
「ここまでお膳立てご苦労。華麗に逆転劇を見せてやるぜ」
負けるとは、全く考えて無いみたいだ。
言うだけの事は、ありなかなか強かったが、万子が巧みに相手の呼吸を乱し粘ると力が抜ける。
その瞬間を狙って綱を引いて勝利を決めた。
スタッフを含め、全員がドン引きするが知った事じゃない。
番組の流れが完全に壊れた。
そして、男性格闘チームが切れた。
「小娘と思って手加減してればいい気になりやがって!」
殴り掛かって来る男性格闘チームに右腕一本で受け流す。
「馬鹿な……」
そうか、普通は、ここで驚くのか。
ここに来る前にジムで軽いスパーリングを頼まれて大の男の攻撃を体捌きのみでいなして居たから驚きなんてなかった。
そして男性格闘チームの二人が万子の位置から重なった時、万子が蹴り足で地面強く蹴り、両足が垂直になるまで上げた。
その状態から、軸足が強烈に踏み込まれ、前方に居た男性格闘チームの一人の胸ぐらに蹴り足が叩き込まれる。
次の瞬間、男性格闘チームの二人が吹き飛ぶ。
会場が愕然とする中、あたしが話し掛ける。
「それが足卦?」
万子が頷く。
「足で放つ発卦、発卦の性質上、強い踏み込みが必要だから足で行うのは、難しいんだけど、最初に蹴り足での踏み込みの反発力を軸足にかける事である程度の効果を出してるけど、まだ未完成。モーションが大き過ぎるし、撃ち込める方向もかなり制限されるよ」
あまりものインパクトに全て持っていった感じであった。
数日後のジム。
格闘雑誌の表紙を飾ったのは、万子の足卦だった。
拳一先輩がしみじみと言う。
「こんな技まで開発してるんだからな、入院の犠牲が有ったとしても良く勝てたな?」
あたしは、万子に寝技で抑え込まれた状態から怒鳴る。
「この状態で言わないで!」
結局、寝技から脱出出来ず、その日のスパーリングは、全敗だった。