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CROWN  作者: 緒俐
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第二十二話:苦悩の始まり

 魔法格闘技部の朝は早い。午前六時から約二時間半、ホームルームが始まるまで続けられるのは基礎練。主に身体を起こすのが目的だ。

 しかし、基礎練といえどもジュニア選抜メンバーで強力な監督が二人もいたら当然カオスと化す訳だ……



 女子四人のために与えられた更衣室は贅沢なほど広い。来年は桜も入学して来るし、魔法学院の高等部や海宝のメンバーと合同合宿もあるからという理由でロッカーは二十近くある。

 しかし、客人のためということで普段からこの部屋を使う四人は一つずつを使うのみできちんと整理整頓されていた。


 そんな更衣室で、女子中一組のメンバーは今日から始まる地獄の練習メニューに心が砕かれそうになっているのだ……


「今日から真央監督とボスのメニューかぁ……」

「そうね……、絶対容赦ないわよね……」


 藍と真理は考えただけでゾッとした。昨日の夜の自主練はあの風雅がトレーニングルームで倒れるところまで追いやられたのだ。無事に部活が終わるとは思えない。


 そんな二人の屍を毎日のように見てきている杏は何とかやる気を出してもらおうと、唯一と言ってもいい利点で二人を励ますことにした。


「ですが真央監督がより個人指導をしやすくなるとおっしゃっていましたし」

「つまり死亡率が高くなると……」


 よりダメージを与えてしまったらしく杏は戸惑う。マネージャーとして選手にやる気を出してもらうのも仕事だというのに、それが逆効果となってしまうと痛い。


 しかし、ここに修平あたりがいたら「どんな奴でもこればかりは無理だから気にするな」とフォローしてくれるだろう。


「だけど基本は真央監督のメニューにするみたい。ボスはあくまでも真央監督でさえ手に負えない技を指導するみたいだから」

「あっ、涼の回転乱打かな」


 あれは真央でも教えるのは難しい、と風雅が言っていたのを杏は思い出す。


 なんせ回転乱打という技は高校生でも使える者が限られてるという烈拳の奥義に当たる技だ。それをいくら才能があるといっても中学生で使うのは無謀に近い。


「だけどあんな高速体術、淳士さんなら出来るだろうけど涼には……」

「出来るわよっ! 烈拳だって使えたんだから!!」

「はいはい、藍が泣かないの」


 小狐化して泣く藍の頭を真理は軽く撫でてやった。涼のことになると自分のことのように思うのが藍だ。それも小さい頃から恋心と呼ぶに相応しい懐き方をしている所為だろうが。


 そこへ指令室から戻ってきた真央が中の騒ぎを聞いていたのか、ドアを開けて話に入ってきた。


「そうね、出来るようになってもらわないと困るけど今のところ半分も成功の可能性がないのよ」

「やっぱり厳しいの〜!?」


 滝のように涙を流す小狐を真央は軽くいなして、その原因を話し始めた。


「まぁね。とはいっても、既に形だけは出来上がってるのよ。烈拳を小原君の制限有りで使える点から考えてもスピードは全く問題ないわ。ただ一番の問題は身体への負担よ」


 それだけで分かった気がした。涼は中一男子の平均身長ぐらいだが、スピードアタッカーとして鍛えているため体重が増加しにくい体質だ。

 つまり、その問題点から考えられる結論は一つだけ。


「回転乱打は烈拳に回転も加わる訳だから当然遠心力が働いてしまう。しかも魔力を解放するから身体の負担も半端なくなる。結果、技は空中分解してしまうってわけ」

「だけど淳士さんは中学時代には使えてたって……」

「それは魔力で補えてたから。淳士さんは体格には恵まれてなかったらしいけど、それを補う魔力があったから回転乱打は可能だったのよ」


 真央の言うとおり、回転乱打も魔力がかなり高い場合は身体に掛かる負担を減らすことが出来る技だ。

 ただし、淳士の場合は遠心力を魔力で引っ張って相殺し、さらに利用出来る遠心力は打撃に変えるという無茶苦茶ぶりをやっていたのだが……


「でもね、涼君だって充分可能性はあるわよ。あの子は努力家だからね」


 その言葉に三人はホッコリした。こうして選手を信じてくれる監督はとても有り難い。だからこそ、さらに練習にも身が入るはずなのだが……



 しかし、その一時間後、水庭に思いっきり溜息を吐かれているのだった。


「ったく、だらしねぇな」


 全員が朝から屍になっている。やらせたことはとにかくダッシュ、しかも平坦だけでは気が滅入るだろうからと坂も組み込んでやろうと気を遣ったらしいが、それがさらに精神を削ったらしい……


「真央、ウオーミングアップはよく出来てるが本メニューにこいつらは弱い。さらに基礎練を徹底させろ」

「分かったわ。特に修平と木崎君は倍決定ね」

「分かってるじゃねぇか」


 ちゃんと普段から指導していることが確認出来、水庭はニヤリと笑った。指導法一つで選手が大きく伸びるのは事実だ。


 しかし、何故修平と自分だけは特に基礎練が倍にされるのか昴には分からなかった。それこそ基礎ならスピードアタッカーの風雅や涼に必要だと言われそうなものだが……


「あの……、何で俺と修平先輩はそこまで基礎が徹底なんスか……」

「何だ真央、言ってねぇのか?」

「ええ、今週末の合宿で決めようと思ってたから。だけどパパの意見と同じだから木崎君でも分かるように説明してあげて」


 今後必要だからと真央の気持ちも分かるため、水庭は出来る限りバカでも理解出来るように順序よく説明することにした。


「昴、このチームにはテクニックアタッカーが修平しかいないだろう」

「えっと、技拳使いのことっスよね。ん? 駿先輩とか蓮ちゃんや藍ちゃんは違うんスか?」


 そこからなのかと水庭は思った。せめて攻撃補助の分類が分からないレベルだと思っていた自分が甘かったらしい。

 ただ、オールラウンダーである駿については微妙な分類ではあると自分に言い聞かせて水庭は答えた。


「確かに駿はオールラウンダーだから技拳もやれるがな。だが、駿を大きく分類すれば柔拳専門。つまりソフトアタッカーだ」

「じゃあ、蓮ちゃんや藍ちゃんは?」

「確かに弓と銃だが投げたり撃ったりするものだけは部類分けされる。

 それをガンアタッカー、またはスナイパーとなる訳だ。ついでに陸は攻撃補助で部類分け出来ねぇからイレギュラーとなるがな」


 攻撃補助という分類が無いため、そういった特殊系統はイレギュラーとなるらしい。

 だが中二組から言わせれば、昴は相変わらず体育とはいえ授業をきちんと聞いてないという判断材料になる訳だが……


「因みに医療戦闘官はヒーリングガードと呼ばれるがお前には向いてないからな、そこで代えが効かないテクニックアタッカーにお前を仕上げることにした」

「だったら武器の練習しないと」

「だから一番基礎練を積まねぇといけねぇんだよ。修平がどれだけマットやらされてるか知ってるだろう?」

「あっ」


 そういえばそうだと思った。修平はトンファーを使うテクニックアタッカーだというのに、自分が入部してから練習で一回もトンファーを持ったことがない。


 それどころか常にマットだダッシュだと、とにかく基礎を徹底されている。本人いわく「肩が動かねぇとやられるから」ということらしいが、それがテクニックアタッカーの宿命だったらしい。


「武器っていうものはそれなりの型があるだろう。当たればデカイがその型ゆえに高等部のメンバーは間違いなく一瞬の隙を突いて来るぞ。だからそれに対抗しうる身体を作らねぇといけねぇんだよ」


 技術を完璧にしたければそれだけ基礎をしっかり付けておかなければ崩れてしまう、それがテクニックアタッカーの一番重要な練習内容だ。

 武器を扱うということは、扱いこなして初めて武器となると言っても過言ではないのだから。


 そんな説明が終わると、時間は予鈴が鳴る五分前になった。片付けをして着替えて教室までダッシュする時間になれば、朝練はそこで終了しなければならない。


 いつもならここで真央が一言発するが、しばらくは水庭の役目になった。監督といえども真央も来週末まで指導法を盗む側に回りたいらしく、まとめも水庭に頼んだのだ。

 そして彼が発する言葉はあくまでも一般的だが、刺激するものでもあった。


「全員授業中は寝るなよ。あと風雅、指令室も貸してもらうぞ。高等部の練習メニューを作らねぇと淳士がやり過ぎるからな」

「そんなに淳士さんは練習するんですか?」


 風雅の問いに全員が反応した。ライバルというにはほど遠いが、淳士がどれだけ練習しているかは気になるもの。

 おまけにCROWNの任務でかなりの経験値も積んでいるとなれば、どれだけ自分達との差があるかも分かることだ。


 そんな全員の視線に水庭は内心で良い顔だと笑いながらも、表情は全く崩さず簡潔に答えてやった。


「まぁな。あいつはあれで魔法覇者でうちの主将だからな。練習量どころか食事量も群を抜いてる。

 ああ、食事量まであいつに張り合うな。いくら何でもあいつと同等に食う奴があと数人出て来るとCROWNの経費がまずくなる」

「あれは無理だろ……」


 淳士と食事をしたことがあるメンバーは全員青くなった。なんせ寸胴のカレーを平らげるだけではなく、さらに副菜も寸胴分平らげ、デザートも付けるという猛者なのだ。

 食べ方が綺麗なだけマシだろうが、食欲魔神と同じ量を平らげる人物など見たくない。


「あとケアも夏音が専属だからな。練習だけが立派でもあの強さには追い付けるもんじゃねぇよ」


 杏は自分に言われていることだと思った。高等部には夏音だけではなく、慎司や和人といった優秀な医療戦闘官がいるのだ。それに追い付けるのは今、自分しかいないとなれば責任は重大だ。


「杏、かといって全部お前がケアを背負うんじゃない。まずは風雅のケアを徹底しろ」

「はい」

「それと涼はアイシングを怠るな。だが杏にやらせたらダッシュ五倍だ」

「ひどい差別ですよね……」


 風雅には優秀なマネージャー、自分は自分でケアをするというのは少々寂しい気がした。しかし、全員分のケアとなると真央が手伝ったとしても厳しいものではあるのだけれど。


 そんな寂しい涼の心境など露知らず、水庭はマイペースに告げてくれた。


「さて、俺は遅刻者の取締に行くからお前達は遅れずに教室に行けよ」

「えっ? 何でパパが?」

「学院側に頼まれたからだ。一応、教職は持ってるしな」

『似合わねぇ……!!』


 全員が同じ意見だが誰も口には出せない。通常、魔法議院の戦闘指揮官となるならそれなりのエリート養成コースを経てなるもので、教育学部出身は水庭のみである。


 しかし、彼は魔法学院の教育学部をぶっちぎりの首席で卒業する頭脳があったことと、自分の師匠である冴島家の父親が戦闘指揮官をやれと命じたために今現在、CROWNを率いているのだ。


「まっ、勉強ぐらいなら帰って見てやる。高等部のガキ共は超が付くほど優秀か壊滅的なバカか、淳士みたいな出鱈目な学力かだからな。普通なんて一人しかいねぇよ」

「学力が出鱈目?」


 何だそれは、というのは全員の意見だが、水庭は聞かない方がいいと深い溜息を吐くだけだった。ちなみにそれを知っている弟の涼は痛いほどその気持ちが分かる。


 どちらかといえば淳士は優秀だ。夏音の作るデザートがかかった時は、夏音を抜いて学年一位になったこともある頭脳の持ち主なのだから。

 にもかかわらず、赤点を取ったこともあるという出鱈目っぷりを発揮しているらしいが……


「まっ、その辺は夏の合宿で分かる。とにかく遅れるなよ」


 そう水庭が締め括り、一行の朝練は終わったのだった。



 ショートホームルームが終わって一時間目は体育。中一組は先程まで屍と化していたにも関わらず、競技が違う所為かもしれないが全員元気だ。


 そして、更衣室に移動するからと杏は体操服を取ろうと教室に備え付けてあるロッカーを開けると絶句した。いや、呼吸が止まった。

 彼女のロッカーに入っていたのは切り刻まれてボロボロにされたジャージと体操服と靴、そして暴言の数々が書かれた紙だった。


 また始まるのだ。あの逃げ場のない毎日が……


「どうしたの? 杏」


 真理の声にビクッと反応したが、気付かれてはならないと杏はもっともな言い訳をした。


「すみません、体操服を忘れたみたいです……」


 その一言だけで真理は察した。今すぐにでもロッカーを開けてやりたいが、周りの反応を伺うにはこちらも平静を保つしかない。


 腸が煮え繰り返るのを通り越してはいるが、真理は奇跡的に声だけはいつもと変わらず返答した。


「珍しいわね。じゃあ、私の貸してあげるわ」

「でも真理ちゃんのが」

「大丈夫。体操服もジャージも替えの一つや二つあるし、指令室に行けば予備もあるから」

「はい、靴もいるでしょ? 私とサイズ一緒で良かったね!」


 さすがは藍だと思った。こちらは冷静さが欠けそうだというのに彼女は全くそう見えない。とはいえ、犯人を見付けたら撃ち殺すといった鋭利過ぎる目をしているのだけれど……


 そんな二人の優しさに杏の心は温度を取り戻していく。あの頃と違うのは助けてくれる人がいるということ。そして、絶対守ると約束してくれた人がいて……


「ありがとうございます……」


 その言葉だけで充分なのだ。ありがとうの一言だけで自分達はこれでもかと言うほど動けてしまう自信がある。

 真理と藍はパアッと明るい表情を浮かべて杏の両腕を取った。


「どういたしまして!」

「ほら、行きましょ!」


 後は頼んだわよ、と二人は蓮達に視線で訴えかけ、更衣室へと向かうのだった。


 そして、その視線を受け取った蓮に涼も事態に気付いていたらしく声をかけた。


「蓮……」

「ああ、やられたみたいだな。とりあえず情報収集だ。おそらく絡んでいるのは……」

「ちょい待て」


 いきなり話に割り込んできたのは同じクラスの男子達。どちらかと言えばいつもふざけている面々だが、この時ばかりは全員が真剣だった。


 蓮は最悪の場合、自分達の敵にもなるかもしれないと考えたが、それは今後も含めて大きく裏切られることになった。


「杉原さん、いや、うちの天使に何があったのか話せ!」

「そうだ! 杏ちゃんに何かあるんなら俺達だって力になりたいよな!」


 口々に言う男子達に蓮達は目を丸くした。昴にとってはいつから杏ちゃん呼びをしてるんだとそっちの方が問題らしいが……


 だが、そう思ったのは当然昴だけではないらしい。蓮の脳裏にはあの風雅様が過ぎる。


「……お前ら、風雅隊長に殺されるぞ」

「それがなんだ!! 恋は自由なんだぞ!!」

「そうだ! ジュニア選抜メンバーのマネージャーをお前達だけで独占するな!!」

「それと杏ちゃんの料理も美味かったが、それ以上にあの笑顔で胸がいっぱいだ!!」

「あっ、言っとくが調理実習だからって風雅様には説明しとけよ!」

「命は惜しいんだな……」

「当たり前だ!!!」


 「死ぬより恐いわ!!」と本気で滝のような涙を流しながら言うクラスメイト達の気持ちは痛いほど分かる。自分達でさえ束になっても敵わないのたから尚更だ。


 とりあえず杏のロッカーを開けてみるか、と雅樹は人のプライバシーも気にせず開ければ、そこには一瞬にして彼の魔力を上昇させる光景が広がっていた。

 陸の制御がなければ窓ガラスぐらい割れていたほどの上昇だったが、すぐに涼が腕を掴んでくれたおかげで彼は爆発を抑える。


 しかし、昴は怒りでプルプルと震えた後、心当たりでもあるのか教室から飛び出そうとしたところで陸に止められた。


「陸ちゃっ!!」

「昴君、落ち着いて下さい。君がすぐにどうこう出来るものではありません。ついでにこのクラスのメンバーはアリバイ有りで全員白です。少しは頼ったらいかがですか」

「もう情報来てんの!?」

「僕達の先輩は飾りじゃないでしょう?」


 あの四人が揃っていて勝てない敵などこの学院にいる方が奇跡だと言えば、昴は少々落ち着きを取り戻した。つい先日、先輩達を頼れと言われたばかりだ。それほど彼等の力は大きい。


 それを聞いた男子達はスゲーと今更ながら魔法格闘技部の情報力に感嘆の声を上げた。そして、やはり彼等も将来はCROWNに憧れているのか口々に言うのだ。


「東條! 情報収集は俺達も手伝うからな!」

「そうそう! だから杏ちゃんを」

「それとすみませんが、風雅隊長から皆さんにメールです」


 今度は一気に静まり返った。風雅のメールと陸は言ったのだが、風雅の命令と聞こえるのは何故だろう。

 しかし、陸は相変わらずの無表情で淡々と続ける。


「パシリになるのは構わないが杏の盾になること以外で近付いた場合、犯人より先に消えるのはお前達だと思え、とのことです」


 サーッと血の気が引いた。杏が婚約者だという噂は聞いていたが、どうやらデマどころか確定事項だと全員が納得した。

 杏に好意を寄せた瞬間に消されると、魔法格闘技部の先輩達が言っていたことは嘘ではないと思った。


 折角の協力者なのに……、と蓮は思うが、もはや同情しか出来ない顔をしてその場を締め括った。


「悪いが協力というよりパシリだ……」

「は、はい……」


 この瞬間、中一の特進クラス男子が全員、風雅の下僕へと認定されたのだった……



 一時間目の体育は外でバレーボールということで準備体操が終わった後、試合をするからと分担でコートを作り始める。

 その中でセンターラインを先に引き終えた杏はクラスメイトの女子に声をかけられた。


「杉原さん、こっちでネット張っとくから、杉原さんは体育倉庫からボール持って来てくれる?」

「はい、かしこました」


 そう丁寧に返して、杏は小走りに体育倉庫へ向かった。


 魔法学院の体育倉庫はだだっ広く、とにかくボールやらカラーコーンやらと綺麗に収められているが種類が半端ない。

 なのでバレーボール一つ探すのにそれなりの時間が掛かる訳だ。


「バレーボール……」


 どこだろうかと倉庫の奥まで入って行きボールのネームプレートを目で追っていくと、ようやくバレーボールを発見した。

 とりあえず一籠分持っていけば足りるだろうと杏が手を掛けた瞬間、バタンと倉庫の扉が閉められた!


「えっ……!?」


 振り返れば六人の不良男子がニヤニヤとした表情でこちらに近寄って来た。手にはナイフ、ビデオ、携帯と来ればもう何をされるのか嫌でも分かる……!


「杏ちゃんはっけ〜ん!」

「うわぁ〜、さすがジュニア選抜のマネージャー様だわ。スッゴく可愛いねぇ」

「痛いのは初めだけだからね〜」

「お前もう犯る気かよ!!」


 まずいと頭の中で警鐘が鳴り響く。こういった類の不良生徒は深く関われば関わるほどこちらのペースを乱して来るもので、自分で切り抜けられる強さならガツンと一発噛ませと先日、中一組がアドバイスをしてくれた。


 もちろん、杏がピンチなら念波を使って風雅達に知らせろとも言われているが、その直後にそれをさせない一言が杏を怯ませた。


「とりあえず大人しくしてくれるかな? してくれないとジュニア選抜のメンバーがひどい目に遭っちゃうよ?」

「っつ……!!」

「ついこの前まで虐められてた杏ちゃんならこの意味は分かるよね?」


 それだけはダメだ。もし彼等に何かがあったらと思うと、杏は反撃することが出来ない。相手はおそらく三条、ここで自分が我慢しなければさらなる嫌がらせが皆を襲うに違いない。


 しかし、杏が抵抗しないと分かれば、彼等はさらに調子に乗った会話を繰り広げた。


「とりあえず服脱がして写真撮ってさ、俺達でマワした後にどっかに売り飛ばさねぇ?」

「俺、人身売買の組織知ってる! 未成年っていろんな意味で高く売れるって!」

「ギャハハハハッ!! 杏ちゃんなら数千万いっちゃうかも!?」


 ゲラゲラと不良達は笑い飛ばすと、そのうちの一人が杏にナイフを突き付け、さらに二人が杏の両腕を取って拘束した。


「杏ちゃん、いっぱい泣いて良いからね? ああ、気が狂って笑っても良いかも?」

「お前どっちだよ!」

「別にやることは一緒だ。さて、ジャージは切り裂こっかな。ゆっくりいくからちゃんと撮影しろよ」

「分かってるって」


 血の気が引いたと思ったら心が弾けた。それはずっと我慢して来た言葉だというのに、あの温かさを知ってしまった杏にはもう堪えることは不可能だった。


「嫌ですっ……!!」

「だから拒否権はねぇって」

「……風雅様っ!!」


 そう叫んだ瞬間、体育倉庫の扉が激しい音を立てて吹き飛んだ! さらにその直後、杏の腕を掴んで拘束していた二人が一気に横へ吹き飛び、杏の体はフワリと抱き抱えられてそこから離された。


 そして、杏を抱き抱えてくれた者こそ誰よりも彼女が待ち望んだ人。


「すまない、遅くなった」


 その一言で救われた気がした。堪えていた涙は静かに頬を伝う。


 だが、その場に来たのは風雅だけではなかった。彼女を守ると言ってくれた全員が駆け付けてくれたのだ。ただ、そこまで集まるのかと修平は一つ溜息を吐き出した。


「……全く、全員授業をサボるとかいくら何でもまずいだろうが、中一組」

「サボってないもん。私達は体育だから体育倉庫に来てもおかしくないし」

「そういう修平先輩なんてチョーク持ったままなんだからもっとまずいんじゃない?」

「突っ込むな、江森」

「それだけ慌ててたんだよ」

「駿っ! テメェだってシャーペン持ったままじゃねぇか!」


 修平は真っ赤になって叫んだ! 事実、修平は問題を解いてる最中、杏の念波が届いた瞬間に窓から飛び降りてここまで来たのだ。それだけ冷静でいられなかったというわけである。


 しかし、修平はまだ良い方だった。中一組男子と言えば、蓮を除く四人が今にも怒りが爆発しそうな魔力を身に纏って風雅の指示を待っていた。


「風雅隊長、とりあえずあいつら殴っていいか?」

「つか、烈拳叩き込む」

「陸ちゃん、突っ込んで良いスか?」

「ええ、もちろん援護しますよ」


 命令を出した瞬間に止まらなくなると蓮は思った。

 なんせ、いつもは冷静で無表情といった陸でさえ制限を掛けるどころか既に効率よく全員の魔力を補助しているぐらいだ。下手をすればリミッターを外してくれる。


 さすがに体育倉庫を大破させるどころか、近くの校舎にまで危害を及ぼすわけにはいかないと思ったのか、蓮はこの状況を止めることが出来る真央に任せることにした。


「真央監督」

「ええ、東條君は抑えてるから偉いわね」

「今だけですよ。こいつらがいなかったら一番最初に射抜いてます」

「それでもいい子」


 その直後、中一組男子にゲンコツが落とされた。頭から煙が出ているあたり半分八つ当たりに感じられたが、当然誰もが口答え出来ない。いや、したらゲンコツだけでは済まされない。


 しかし、それでも真央は笑顔を顔に貼付けていつもと変わらない声で中一組男子を止めた。


「待ちなさい、すぐ突っ込むのは良くないわ」

「痛い……」

「ひどいっス……」


 パタリという音を立てて四人は沈んだ。あくまでも杏を助けに来たはずなのに何故味方にやられてるのだろうと四人は思うが、相手が真央なのだから誰も逆らえない。


 しかし、真央が自分達に突っ込むなと言った理由を不良達は分かっていたらしくヘラヘラと笑った。


「さすがは真央監督だよなぁ? ここで暴力沙汰を起こせば間違いなく部活動停止処分だもんなぁ?」

「黙れ、カス共」

「ひっ……!!」


 その一言で不良達は一気に青くなった。勘違いしてはいけない。風雅の次にキレているのは間違いなく真央だったからである。なんせ、彼等は魔法格闘技部を支えるマネージャーに手を出したからだ。


 そして彼女は一行の前に進み出ると、それは監督の威圧感と怒れる魔力を発動した。


「とりあえずこいつらは私が始末するわ。部員に危害を加える奴らを殺るのが私の仕事だもの」


 バチバチとプラズマが走るほどの魔力に一行は息を飲んだ。その魔力は風雅には劣るものの修平や駿より上だ。殺気という点に関しては風雅を上回るかもしれない。


「言っとくけど、只で済ませないから」

「ハッ、女が!!」


 突っ込んで来ると同時に真央も突っ込み、相手の攻撃をヒラリとかわして後頭部に手当をお見舞いしようとしたが、それが当たる前に止めた人物がいた。


「真央、お前もやるな。しばらくは俺が監督なんだからな」

「パパっ!!」


 いつの間に入り込んだのかも分からなかった。まさに刹那の時間で、それを風雅でさえ捉えることが出来なかった。

 おそらくタネは時空間を移動する魔法なのだろうが、それを感じさせないほど水庭は戦闘官としての実力が高いということだ。


 しかし、真央は止められた事に対してかなり不満だったらしく、彼女にしては珍しくムキになって反論した。


「だってあいつら!!」

「ああ、言わなくて良い。それに親がいる時ぐらいガキらしく頼れ」


 その一言で魔力を収めさせるのはやはり父親だからなのか、それとも冷静になれなかった自分を見つめ直せと気付いたからなのか、真央は水庭の命令に従った。


 そして、魔力を収めた真央の頭をポンと叩けば、彼女は子供扱いされてると思いしかめっつらを浮かべる。しかし、聞き分けは非常に良かった。


「……分かったわ。ほら、あとはパパに任せて全員出なさい。修平と駿は中一組を引きずって来て」

「シバいたのはお前だよな……」


 修平はそう文句を言いつつも、駄犬担当になっているのか昴の足首を持って引きずり、陸を肩に担いだ。そして駿は可哀相だとは思うものの、雅樹と涼の足首を持ち引きずって外へ出ていった。


 ただ、風雅と真央は水庭の意図することに気付いたのか外に出る前に中を一瞥したが、デカイ背中が心配するなと物語っていたためその場から離れた。



 それから全員が出た後、水庭は強力な結界を瞬時に体育倉庫に張った。その顔はまさにCROWNの戦闘指揮官といったもので、とても中学生の指導をする様には思えなかった。


 事実、ここからの領域はCROWNの仕事だったからだ。


「さて、若作りをした上にうちの制服を着て侵入するとは良い度胸だな、BLOOD」


 全てお見通しだと水庭が言えば、不良達は中学生に似つかわしくない笑みを浮かべると、一気に化けの皮を剥いで大人の姿を表した。

 黒ずく目の出で立ちと死神の鎌をクロスさせたマークを付けた魔法議院の一組織、つまり彼等はBLOODの一員だという証拠だった。


 そして大人の姿になった所為か、口調は砕けたものではなく、声色も低くなったリーダー格の男が自分より上の役職である水庭に賛辞を述べた。


「さすが水庭上官、噂通りの御彗眼ですね」


 通常は見破られるものではないが、それを見破ってしまうのが水庭だった。おそらく、これからの事態も軽く予測出来ているのだろうとリーダー格の男は思う。つまり長居は無用ということだ。


 そして水庭は正体を明かさない倒れている二人を見て眉を顰めた。魔力の残り香から判断して誰が何をしたのかすぐに理解し、仕方ない奴だと一つ溜息を吐き出す。


「二人戦闘不能か。風雅の奴、無意識に月眼を発動させやがったな」

「そのようで。中学生であの強さとは素晴らしいですね。将来が実に有望ですよ」


 そう言われ水庭は心の中で舌打ちした。やはり風雅、BLOODから見ても欲しがられる人材らしい。

 ただし、将来はCROWNの戦闘部隊長にするつもりなので当然くれてやるつもりはないのだけれど。


「で、杏を狙うように指示してんのはお前達のボスか?」

「それもありますが、あなたの上の命令でもあります。先日の夏音様の件、余程上層部を怒らせたみたいですね」

「ハッ、自業自得だろうが。夏音に手を出すってことはCROWNとEAGLEを敵に回すどころか、魔法覇者を二人もブチキレさせるってことだろうがよ」


 水庭は鼻で笑った。それだけ竜泉寺夏音という存在は魔法界にとって大きいものだ。

 ただ、CROWNやEAGLEは仲間として動いているのだが、淳士ともう一人の魔法覇者は別の意味でブチ切れたため、それはカオスと化した訳で……


 特に淳士に関してはその暴れっぷりが激し過ぎたため、魔法議院の上層部は淳士と夏音が恋仲なのではないかと捉え、策を講じてきたのはつい先日からだ。


「上も冴島淳士には困ったものだと嘆いてますよ。大人しく冴島家の当主としてこちらが求めるままの婚姻をしていただければ、丸く収まる事態も多いのですが」

「ああ、それは天地がひっくり返っても無理だ。あいつは夏音レベルじゃなければ靡かないしな、その辺のお嬢じゃ相手にされねぇだろうよ」


 美味いデザートを作れるレベルだけどな……、とはさすがに水庭も言えなかった。


 淳士と夏音の関係は幼なじみであり、同じCROWNの部隊長であり、ペットに食という愛情を注ぐ飼い主と言った方が正しい。

 端から見れば恋仲だが、付き合ってるなどと水庭どころか情報部隊長の桐沢ですら聞いたことがない。


 それでも慎司いわく、出来れば桐沢さんのためにも兄さんの嫁になってくれたら桐沢さんのストレスが半分以上減る、とのこと。


「つまり冴島淳士は竜泉寺夏音を渡さないと?」

「当たり前だ。というより、うちのガキ共を好きに出来ると思うな。あとあの変態達にも夏音に触れれば、今度は怪我だけじゃ済まさねぇと言っとけ」


 ピクリとリーダー格の蟀谷が動く。水庭のいう変態に心酔しているわけではないが、その変態を守れずに損害を受けたことを指摘されてるとなれば話は別だ。

 何よりBLOODが弱いと言われることこそ、自分達の主をバカにされているのと同じという訳で……


「本気でBLOODどころか上層部を敵に回すということで?」

「お前らもCROWNを敵に回すんだな?」


 一呼吸もおかない切り返しに恐怖を感じた。やはりCROWNの戦闘指揮官、最強の部隊を指揮する威圧感は半端ではなかった。戦えば自分達がやられると悟った戦闘官達は逃げることを前提に仕掛けることにした。


 しかし、ここで水庭は一気に威圧感を緩めた。来なくていいと言っておいたのだが、どうも彼の部下は自分を前線に出すつもりがないらしい。


「お前らは心配性だな。まぁ、高等部のガキ共はきちんと授業を受けてるから良しとするか」

「桐沢部隊長は始末書関連の所為で出られないみたいですよ、ボス」

「ああ、東吾なら優秀だから構わん」

「なっ……!」


 その直後、出て来たのはCROWNに所属する戦闘官達。淳士達と同じ高等部のメンバーはいないが、それでも充分過ぎるほどの迫力と威圧感を醸し出していた。


 そして、水庭は特に作戦もなくニヤリと笑みを浮かべて命じた。


「まっ、俺はこいつらが来たら本職に戻らせてもらう。という訳でお前達、こいつらは杏に手を出したんだ。きっちり落し前を付けろ」

「ラジャー、ボス」


 その直後、体育倉庫内は一瞬だけ光って静けさを取り戻したという。



 CROWN本部情報室には何故か情報データより始末書と請求書が多い。しかも毎回その処理に負われているのが、CROWN一の苦労人である情報部隊長の桐沢東吾である。


 今日も高校に行かなければならないのだが、彼は水庭に任された仕事を片付けるため授業を受ける暇さえなかった。

 とはいえ、部活には出ることと高校は卒業出来るように配慮してくれる大人達がいるため、彼は出席日数ギリギリで進級している訳である。


 そんな苦労人の東吾の元へ、彼の後輩に当たる大宮和人はいかにも研修医といった白衣姿でコーヒーを二つ持って入って来た。


「桐沢さ〜ん! 生きてますかぁ?」


 いきなり入って来た陽気な声は徹夜続きの頭に若干響くものの、コーヒーがあるなら文句はないらしく東吾はその点に関しては咎めなかった。


 だが時計を見れば、彼がこの時間にここにいることは褒められたことではない。


「お前、授業どうしたんだよ……」

「今日の午前はこっちで待機。急患が入らなければ午後から出ますよ」

「あんまサボんなよ。お前もレギュラーなんだからな、試合に出れなくなるバカはやるな」

「もちろんっすよ。高二の先輩方を見れば……」


 和人はそれ以上続けなかった。東吾いわく「超絶バカトリオ」と名付けられた高二メンバーは毎回赤点やら補習やらは当たり前で、合宿の初日は必ず宿題を練習メニューにさせるという事態を引き起こす問題児だ。


 和人はそれを高校入学前に見ているため、そうならないようにしようと心掛けている。とはいえ、医療戦闘官という役職に付いている和人も学年トップクラスの成績ではあるのだけれど。


「それより和人、三条百合香についてだが見てみろ」

「三条ってBLOODだったすかね……」


 コーヒーを東吾に手渡して和人は画面を覗き込むと、そこには中一にしては端正な顔立ちをした美少女と彼女がやった所業の数々が書き込まれていた。


 ただし、特に重要と書かれているのが杏を虐めたことだと赤字どころかフォントまで大きくされ、東吾専用リンクには「杏に喜んでもらう兄としての詳細マニュアル」が張られている。


 しかし、杏に関しては東吾も「杏ちゃんマジ天使!!」を慎司でも認めているため、いつもなら突っ込むところでも突っ込まなかった。


「うわぁ、こいつが杏ちゃんを虐めた奴か。美少女なわりにはひどいっすね」

「ああ。だが、問題は中一と思えない所業の数々だな。いくつかの魔法議院の組織を屈服させて人身売買してるぞ、これ」


 CROWNに比べたら大したことはないといえど、いくつもの組織となれば話は別だ。少なくとも淳士が魔力をフル解放して戦った以上の組織がやられていることになる。


 ただ、全ては百合香がやったことではなく、彼女の執事も絡んでいるには違いないのだろうが。


「まぁ、俺達がやらないといけないことは人身売買の組織壊滅だ。淳士に連絡して部隊編成。あと医療部隊からも数人出してくれ」

「桐沢さんは出るんです?」

「ああ。たまには前線に出ないと体が鈍る」

「部活だけは毎日出てますよね……」


 おまけに副主将なのに……、と和人は心の中で突っ込んだ。


 そして、この任務こそが後に中等部のメンバーにも深く関わることになると、まだ誰も知らなかった……



お待たせしました☆


今回はCROWN情報部隊長、桐沢東吾が登場。

彼は淳士や夏音の幼なじみで常に苦労を背負ってるという宿命でして……

自分は平凡だと思っていても、二人と付き合ってるうちにかなり人間が出来てしまったという人間です(笑)


そして杏ちゃんへは三条の魔の手が……

トラウマを乗り越え、さらに風雅様からの猛烈なアプローチも……

うん、乗り越えられないかも……


では、小話をどうぞ☆



〜桐沢東吾の苦悩〜


和人「桐沢さん、何見てるんス……」


慎司「まぁ、桐沢さんも男ですから女の体の一つや二つ」


東吾「違うわっ!! お前らがこの前潰しに行ったストリップ劇場の被害者達だ!! ボスが始末書やら報告書をあげねぇから俺がやるハメに……!! てか、ここは18禁だろうが!! なんでお前達が行ってるんだよ!! 余計始末書が増えただろうが!!」


和人「いや、人が足りないって淳士さんが……」


慎司「それに兄さんもまだ18じゃ……」


東吾「淳士はさらに性質悪ィわ!! あいつはストリップ劇場だけに止まらずなんで近隣のショーパブやらキャバクラまで被害出してんだ!? おまけに女性の名刺が何十枚も請求書に付いて送られてきて邪魔だってんだ!!」


和人「淳士さんモテるからなぁ〜!」


慎司「ああ。俺は早く姉さんが出来るなら助かるけどな」


東吾「学生結婚までさせんな!! てか、淳士が他の女とくっついたら夏音が……、ん? 夏音からメール??」


和人「ちょうど良いタイミングっすね。この際、面白そうなんで淳士さんへの気持ちも聞いて下さい」


東吾「んなもの聞かなくても……、おい、すぐに夏音を連れ戻せ……」


和人「はっ?」


東吾「あと淳士を止めろ……」


慎司「はい? なんで兄さん?」


東吾「うちの医療部隊長が淳士におやつを作れないなら実家に帰らせてもらうって何だ!! 淳士もそれをどう受け取ったのか知らんが現場で破壊の限りを尽くしさせんな!! てか、あいつらはどう見ても主人と淳士っていうペットだろうが!!」


慎司「人間の括りには入れないんですね」


東吾「あんな出鱈目を人間に入れんな!! てかこれ以上俺の仕事を増やすな!! 分かったらさっさと部隊編成して行けっ!!」


和人・慎司「「ラジャー!」」


東吾「……ったく、俺はなんであいつらの幼なじみなんだよ……」


〜そして外にて〜


和人「慎ちゃん」


慎司「何だ?」


和人「桐沢さんってすごいよな」


慎司「……俺は気の毒でならないな」




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