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CROWN  作者: 緒俐
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第十九話:海宝中学

 翌日、テストの結果が学院の中央ホールに張り出され、それを見に来た生徒達で賑わう中、学年トップを当たり前のように取っている蓮の表情は至って普通だった。

 しかし、生まれた時からの付き合いである涼は相変わらずな親友に感心し慣れているらしく、口をついて出て来る言葉はもはや代わり映えのしないものだ。


「お前ってどういう頭してんだよ……」

「予習と復習を毎日やってるだけだ。だが、俺が教えたにも関わらず何であいつらはギリギリ赤点なんだろうな……」


 補習を受けずに済んだと、補習者リストの前で大喜びしている雅樹と昴に蓮は虚しさを覚えた。


 数学を教えた真理と涼はそれなりの結果を出して中間より若干上の成績だったというのに、あのバカコンビは何故か涼達よりも懇切丁寧な指導をしても赤点ギリギリだったのである。


 しかし、当の本人達は赤点を免れて風雅や真央に殺されないということで大喜びだ。


「杏ちゃん! お蔭様で赤点回避っスよ!」

「俺も社会で四十点越えしたんだぜ!」

「良かったですね! これで部活に打ち込めますね!」


 どこに褒められる要素があるんだと、蓮はバカコンビを弓矢で貫いてやろうかと思ったが、さすがにホールではまずいだろうと涼は止めた。


 そして、そんな蓮の気持ちも分かるのか、陸は至って無表情ながらも連帯責任を免れたため内心ホッとしながらも悪態をついた。


「とりあえず、バ香川君と駄犬がクリアしてくれて助かりました」

「んだと!?」

「ひどいっス、陸ちゃん!!」

「もう教えるのやめましょうか?」

「すみませんでしたっ!!」


 二人して同時に頭を下げるのに杏はクスクス笑った。本当にこの三人は羨ましいぐらい仲が良い。

 しかし、蓮曰く「主に首輪を付けられた駄犬二匹」という評価が一番正しいらしいが……


「きゃあああ!! 風雅様ぁ!!」


 ピンクのオーラに黄色い声。どこぞのアイドルかと思いきや恐れ多くも風雅様が階段から降りてきた。けっして修平や駿を従えてるわけでもないが、どの位置に立っても風雅が際立って見えるのは何故だろうか……


「また全教科満点の学年トップよ!」

「本当! もう素敵過ぎてクラクラしちゃうわ!」

「いや〜ん! 今、こちらを見られたわ」

「きゃあああ! 羨ましい〜〜!!」


 まずそれはない、と毎回その声を聞く度に修平は思うが、それが女の子なんだよ、とニッコリ笑って答えるのが駿だ。

 おそらく風雅がそういったものに反応するとすれば杏のみだろう。


 そんな光景に他の女子と正反対の反応を見せるのが真理と藍だ。


「さすが風雅様って感じだよね……」

「うん、だけど私はあの子達に謝りたくなってきた……」


 小学生の頃もかなり騒がれる美少年だったが、中学生になったら彼が通る道を誰も妨害しなくなるという事態に彼女達はもう絶対逆らえないと思った。

 元々、風雅様の命令は絶対という合言葉が身に染みついているのだけど……


 だが、当の本人は興味がないのか全く気にした様子もなく、杏を婚約者にまでしてしまったということを彼女達は知らない……


 すると風雅様親衛隊とでも評すれば良いのか、ファンクラブ代表格の女子が取り巻きを引き連れて風雅の前に立ち頭を垂れる。


「風雅様、この度も全教科満点、おめでとうございます」

「おめでとうございます!!」

「ああ、ありがとう」


 そう答えた瞬間、ファンクラブは一斉に黄色い声を上げた。風雅の微笑も彼女達にとっては最高のプレゼントらしい。

 しかし、普段はそこまで愛想良くしない風雅がそうする理由が、駿のバレンタインデー対策の一環であるチョコレートの横流しらしい。


 そんな思惑が見て取れるのか、蓮と涼は呆気にとられながらもポツリと呟いた。


「涼、ああいうのが人間じゃないんだよ……」

「確かに。にしても風雅隊長ってあんなにモテたんだな。杏はどう思って……」


 といった瞬間、烈拳の速さで風雅は杏の元に立っていた。しかし、周りに雅樹達がいた性か、風雅が魔法格闘技部の主将として杏のもとにやって来たと思われてはいるようで嫉みの視線はあっても言葉はない。


「杏、学年三位とはさすがだな。しかも蓮と五点差だ」

「はい、皆さんと楽しくお勉強が出来たおかげです。それに風雅様からも御指導戴きありがとうございます」


 ペコリと頭を下げる様子はとても微笑ましい。それに風雅は微笑を浮かべて杏を抱きしめようとしたところ、真理と藍が両サイドからガッチリとその腕を掴み小声で阻止した。


「風雅隊長っ! ここ学校だから抱きしめちゃダメ!」

「そうよ! あのファンクラブが杏に嫌がらせしたらどうするのよ!」

「絞めるに決まってるだろう。杏に手を出す奴は何人足りとも許さない」

「ですよね……」


 真理はそれ以上何も続けられなかった。相手は風雅様で、女子だろうが何だろうが基本、彼は昔から容赦したことがない。

 なんせ、親しい部類に入る自分達でさえ昔から何度絞められて来たことか……


「風雅、そろそろ行かねぇと遅れるぞ」

「あっ! 修平先輩と駿先輩!」

「こんにちは」


 唯一、杏だけが丁寧に頭を下げるという状況に修平は溜息を一つ吐き出した。


「お前達な……、いくら同じ家に暮らしていても杉原を見習って挨拶ぐらいしろよ……」

「他の先輩にはしてるよ?」

「そうっスね。三年生の先輩達はスゲー優しいし」

「お前等ホントに良い根性してるよな」


 一応、副主将だというのに全くと言っていいほど自分に対しては礼を払ってもらえないと彼は思うが、細かい部分に関しては半分諦めているところはある。

 少なくとも、部活の時にはきちんと先輩としてある程度敬ってくれてるのは分かるからだ。


 そんな苦労症の副主将の順位はいかほどかと昴は二年生の成績を見れば、二位に真央、三位に修平、四位に駿と続いていた。しかも全員、十点圏内で争っているのだから恐れ入る。


「修平先輩、ちゃっかり学年三位だったんですね」

「ああ、駿の奴が凡ミスしたからな」


 少々不本意だけどな、といった顔に駿は苦笑した。


「何したんスか?」

「うん、数学でマイナス付け忘れたんだ。最後まで解いてたんだけど回答欄に入れ忘れてね」

「しかもそれが応用だから俺との順位がひっくり返った」


 それがなければ……、と勉強のライバルとしては少々やり切れないところはあるらしい。

 しかし、それでも学年トップクラスで争っているのだから昴は羨ましいと思う。


「なるほど。それでも先輩達って本当に頭良いんスね」

「お前が普段から勉強しねぇからだろうが。言っとくが、中間でしくじったら中学選抜には出れねぇからな。ちょうど追試の真っ最中だから」

「マジすか!? 陸ちゃ〜〜〜ん!!」


 それだけは嫌だと昴は陸に飛び付いていけば、彼は雅樹から蹴り飛ばされ、陸からは冷ややかな視線と言葉の針を刺される。

 どうやら中間は自分の勉強だけでは済みそうにないと、面倒見のいい副主将は思うのだった。


 そんな賑やかな中、華やかな笑顔で階段から真央が駆け降りてきた。その手には勉強道具以外にプリントが一枚握られている。


「あっ、皆いたいた!」

「真央」


 その瞬間、杏を除く中一組は横一列に整列し、一糸乱れぬ動作で深々と真央に頭を下げた。


「こんにちは!!」

「チッス!!」

「あら、良い挨拶ね」

「当然ですっ!!!」


 命が懸かってるから……、と中一組が心の中で大量の涙を流しているのが痛いほど修平と駿には理解出来た。

 ただし、風雅は理解しているが今週のメニューはよりきついものを考案しているのだけれど……


「で、どうした?」

「うん、今日のお昼は魔法棟のテラスに集合ね! ゴールデンウイーク後のジュニア合宿の案内が来たから」


 つまり中学選抜に出場する学校が揃う合宿ということで全員の表情が変わった。特に風雅は主将ということもあってか、ライバル達の動向が気になるらしい。


「真央、海宝のメンバーは全員来るか?」

「うん、さっき美咲から連絡もらったわ。祥一先輩をはじめ、ジュニア選抜を目指すメンバーは全員参加するって」

「そうか」


 風雅の口角が上がる。魔法格闘技のライバル校で、いずれは所属する部隊は違えど仲間といえる海宝のメンバー。そんな彼等と切磋琢磨し合えることが面白くないわけがない。


 しかし、全く面識のない昴にとってはそんなに面白いメンバーなのかと疑問が浮かぶばかりだ。


「修平先輩、美咲さんと祥一さんって……」

「美咲は真央の親友。んで海宝の選手兼監督だ。言っとくがかなり強いぞ」


 あのメンバーをまとめてるだけで敬意を払えるけどな……、と修平は思う。なんせ、魔法学院と変わらないほど騒がしいメンバーが集まっていると評価している訳で……


 そしてもう一人。海宝でもっとも強い少年の名前には中一組も引き締まった顔に変わった。


「祥一さんは木崎以外は知ってるな」

「ん? そんな有名人なんスか?」


 やはり初心者。昴はもっともな質問を投げかける。しかし、魔法格闘技を始めたならそれなりに勉強してもらいたいものだと修平は思うが……


「海宝中学主将で今現在、中三で一番の猛者だ」

「じゃあ、風雅隊長より弱いんスか?」

「いや互角。だが、あの人はフィールド外に出てギリギリ治療出来る魔法をコントロールして使って来るからな」

「優しいんスね」

「ああ、確かにその点だけはそうだが、それだけ魔力をコントロール出来るってことだ。それに勝つための執念は風雅と変わらないぞ」


 特に去年の全国大会で負けたとあっては、その練習量も半端ではないだろう。それもきちんとした監督がいて、監督の役割を果たせる選手までいるとなれば祥一もさらなる進化を遂げているに違いない。


 ただ、こちらも負けてやるつもりは毛頭ないと張り合うのがライバル足る由縁な訳だが。


 それから大時計が授業開始五分前を指して予鈴が鳴り響く。部活も大切だが勉強もきちんとするのが魔法格闘技部の鉄則だ。


「やべっ、お前達も遅れんなよ!」

「じゃあ、お昼にね」

「居眠りしちゃダメよ!」

「杏、またな」


 移動教室だからと、中二組は一瞬のうちにその場から消えた。さすがは魔法格闘技部ということか、移動の時でさえそのスピードは半端ない。


 そして、すぐ傍の教室で次の授業だった性か、中一組は特に急ぐこともなく歩いて移動するが、涼を見た杏は小さく首を傾げた。口元を抑えて小刻みに震えているのだから。


「……どうしたんですか、涼君」

「ああ、海宝が来るのかってさ。すげぇニヤける……!」


 またあいつらと戦える、それが楽しみで仕様が無いのだと涼は笑いを堪えきれなかった。

 しかし、去年の試合を知っている杏は遠慮がちに尋ねた。


「涼君は海宝の後藤様とライバルだと風雅様から聞いてますが……」

「ああ、去年は俺だけそいつに負けたからな。だから今年は絶対勝つ!」


 ライバルと戦うことを心から強く望んでいるその顔がとても綺麗だと杏は思う。だからこそ、そんな環境にいる彼等に思うことがある。


「……羨ましいです」


 ポツリと杏がそう呟けば、それを聞いた雅樹がポンと頭に手を乗せてきた。


「何言ってんだ! 杏も戦うんだろ!」

「えっ?」

「海宝は精鋭なんだ。おまけに個人技だってその辺の奴らじゃ相手にもなんねぇ。だから杏のサポートが必要に決まってんじゃねぇか!」


 胸がざわついた。自分が必要だと真っ直ぐ伝えてくれる雅樹に戸惑う。

 今まで自分が必要だとそうはっきり言われたことがなかったというのに、ここに来てからは毎日のように欲しかった言葉が降り注がれる。


 しかし、それを普通にしたらいいのだと蓮は微笑を浮かべると、彼は彼らしいもっともな言葉で告げてくれた。


「まぁ、このバカ二人に物事を理解させるのは俺だけじゃ無理だからな。杏がいないと本気で困る」

「確かにそうですね」

「んだと!?」

「陸ちゃんもヒドイっスよ!!」


 そして始まるくだらない応酬。しかし、そのくだらなさがキラキラと杏には輝いて見える。だからこそ、杏はこの上なく幸せだと可愛らしく笑うのだった。



 それから午前中の授業が終わり昼休憩。魔法棟のテラスで昼食をとりながらとはいえども、バカ二人に分かりやすい説明をしなければならないため、屋上に運び込まれた白板の前に真央は立ち説明を始めた。


「じゃあ、プリント受け取ったわね。中学選抜前のジュニア合宿はゴールデンウイーク後の土日、一泊二日で行われるわ。一応聞いとくけど、怖くて参加したくない子はいる?」

「いません!!」

「うん、良い返事ね」


 真央はニッコリ笑った。これぐらい元気がなければ屋上から蹴落としてやるところだ。

 だが、彼女はあくまでも監督。当然、合宿での不満は若干あるらしく憂いを帯びた溜息をホゥと吐き出した。


「まぁ、今回は私が直接指導する訳じゃないから練習メニューが若干軽いものになりそうだけど……」


 あれを合宿バージョンでやったら風雅でも死にかけたんだけどな……、と修平と駿は意識を何度も飛ばしかけた去年を思い出す。というより、海宝以外は間違いなく死ぬ!


「でも、海宝に遅れをとるんじゃないわよ。特に冴島涼君、君は個人の部に出るって時点でかなりの注目を浴びるからね」

「うっ……!」


 涼の食事の手が止まった。今まで団体戦が中心だった性か、個人戦ほど大きなプレッシャーを感じることはなかったのだ。


 だが「あの冴島淳士と慎司の弟」というプレッシャーを常に背負ってきたからこそ、涼が努力してきたことを真央は知っている。

 だからこそ彼女はきっぱりと言い切った。


「でも、この一週間で君はそれなりに走れるようになってるわ。今年は海宝の後藤君を返り討ちにしてらっしゃい!」

「……!! 当たり前だっ!!」


 何かに立ち向かう人は見ていて羨ましいと杏は思う。特に涼はかなり努力を積み重ねているからだろう。


 しかし、他の男子に視線が長い間留まることを風雅は許すはずもなく、杏に食事を催促して食べさせてもらう。

 毎度の事ながら杏は恥ずかしいと思うが、周りは被害に遭うと分かるため誰も突っ込めない。


 そんな光景にどうにかならないものかと思いながらも、修平は配られたプリントに目を通していくと海宝、龍光といつもどおりのメンバーの他に見慣れない学校名が目に付いた。


「駿、三条学園って聞いたことあるか?」

「ううん、聞いたことないな。優秀な子でも入学したのかな?」

「いや、金を積んだからだ。あそこは三条グループが経営してるからな、そこのお嬢さんが魔法格闘技を始めるなら環境のいい合宿も特別に参加させると先方も認めざるを得ないかったらしい」


 風雅の説明に駿は納得した。世の中には金で解決出来る問題もあるということだ。それも一つの合宿参加なら容易いことらしい。


 だが三条学園と聞いた瞬間、杏と昴の表情が変わった。特に昴は一気にやる気すら無くすほどふて腐れた。


「……真央監督、俺と杏ちゃんは行かないっス」

「えっ?」

「ジュニア合宿には行かないと言ったんスよ」

「……駄犬、お前は」

「嫌ったら嫌なんスよ!!」


 本気で拒否するその強い口調と視線に杏は俯いた。間違いなく自分の性だと分かる。昴はいつもそうやって自分を守ってくれたから……


 そして、昴がここまで突っぱねるといえば……、と真央は杏に視線を向けて納得いった。しかし、それに気付いたのは当然彼女だけではなく風雅もだ。


「三条学園、確かお前達の出身校だったな」

「そうっス。だからあいつらに杏ちゃんを会わせたくないんスよ!」


 だから行かないと昴は腕を組んでプイっと視線を逸らした。ここだけは譲れないと彼は本気だ。


 だが、昴が自分の性で合宿に行かないことを杏が望むわけがないと思うのか、風雅にしては珍しく実力公使に移さず説得することにした。


「昴、心配するな。杏を一人にすることはない」

「そうね、まず私が選手じゃないから一緒にいるし」


 それに直接指導をしないならば、当然マネージャー業を手伝うことになる。つまり杏を一人にすることはそうないという訳だ。


 しかし、それでも昴は不満だった。真央が監督をしている以上、その隙を突いて杏に接触して来る奴らだっているかもしれないと考えたのだ。


「でも、真央監督だって他校の監督といろいろ話があるんじゃ……!」

「ええ、もちろんあるわよ。でもね、海宝には素敵なマネージャーがいるからね」

「マネージャーと言っても……!」

「弱くなんてありませんよ、僕の妹は」

「……へっ?」


 昴は目を丸くして何とも間の抜けた声を返してくれたが、他のメンバーは納得しているらしい。直接面識のない真央達でもその強さを知っているようだ。

 しかし、それは海が選手としてではなく、敵に回すと厄介だということで……


 とりあえずこれ以上は面倒だから説明しておくか、と風雅は口を開いた。


「海宝のマネージャーは陸の双子の妹だ。それに海宝のメンバーに杏を守れと言ったらあのメンバーはな……」


 どよーんとした空気は本当に流れるらしい。それは杏以外の全員が食事の手を止めるレベルだ。


 中一組も全員と面識がある訳ではないが、小学生の頃に何度か対戦したメンバーはいて、さらに知りたくもない性格も知っている訳で……


「あのメンバーがどうしたんスか?」


 全員をここまで追い込むメンバーというのもかなり珍しいと昴は興味を持った。なんせ、全てを従えそうな風雅でさえ溜息を吐き出すレベルだからだ。


 とりあえず納得と安心はしてもらいたいので、真央はあのメンバーについて説明しておくことにした。


「簡潔に主要メンバーを説明しとくわね。まず三年生は沙里先輩と仲が良いから、杏ちゃんの事を頼んだらノリノリでいじめっ子撃退を楽しむメンバーの集まりよ」

「変人、腹黒、ヤンキートリオだからな」


 風雅の付け加えた一言で、どれも厄介そうなメンバーだと一瞬で思わされた。どれも三条学園のメンバーが嫌いそうな性格ばかりだ。


 だが、海宝のメンバーは三年生もだがその下も一癖二癖が可愛らしく思えるメンバーの集まりだった。


「次に二年生。選手兼監督の私の親友、朝に少し話した美咲は何が起こっても良いように万全の策を強いて来るわ。おそらく杏ちゃんの携帯に悪口も送ってこれないし、ラインでのやりとりなんてやった日にはコンピュータウイルスぐらい仕込むわね」


 最悪の場合、携帯の機能そのものを壊して、魔法格闘技でも容赦なく精神まで砕くだろうけど……、とは付け加えなかった。

 普段は自分より甘くても、イジメに対しては誰よりも容赦なく制裁を加えるのだ、鈴宮美咲という少女は。


 だが、彼女をより性質の悪い存在に変えるメンバーが中二に集まっている。それをよく知っているのが修平だ。


「しかもそれに従う二年生はエレガントヤンキーに頭脳派だが熱血バカ、さらには呪い専門の実力派の巫女までいる」

「エレガントって……」

「まんまの意味だ。エレガントな容姿で人がいいヤンキーだ。まぁ、次期主将候補だな」


 一体どんな奴らなんだよ……、というのは昴以外でも思うこと。とにかく濃いメンバーが海宝には集結しているということだけは確かだ。

 なんせ、海宝に進学した中一組はもう手の付けられようもないメンバーで揃っているのだから……


「一年生は言わなくても涼達がよく知っている。まぁ、マネージャーをのぞいて全員本物のバカだ。特に頭脳に関して後藤は雅樹と大差ない」

「うわぁ……」

「昴っ! テメェも変わんねぇだろうが!!」

「雅ちゃんより上っスよ!!」


 どんぐりの背くらべというのは正にこのことだというのが全員の感想。なんせ特進クラスのビリ争いはよっぽどのことでもない限り二人でしか出来ないからだ。


 そんな二人の応酬を放置して、陸は自分の妹について坦々と説明し始めた。


「僕の妹は海っていいます。性格も似てると言われますけど、海の方が優しいと思いますから安心して下さい」

『いや、海も容赦ないけど!?』


 特に雅樹は昔からちびっ子だとからかった性でどれだけ苦無の餌食になったか分からない。マネージャーでも、苦無の腕前は陸と変わらないぐらい早く投げて来るのだから……


「それといざ襲われたとしても、海も魔法格闘技経験者ですから安心して守られて下さいね。それにマネージャーですから回復魔法も得意分野なので」

「あと料理も上手なんだよ! 二人のハチミツレモンとかあったら練習凄く頑張れちゃうかも!」


 陸と藍の笑顔に大丈夫だと思えて来る。それに陸と同じような女の子が優しくない訳がないと、海に早く会ってみたいとも思う。


 もちろん、三条学園のメンバーに会うのは勇気がいることだ。またあの悪夢にうなされる日々が続くのかもしれない。

 しかし、これだけ強い光を放つ仲間達がいれば、どんなひどい目に遭っても頑張れるんじゃないかとさえ思うのだ。


 ただ、その気持ちを風雅に見透かされていたのか、彼はポンと杏の頭に手を置いて優しく撫でてくれた。


「杏、お前が頑張ることは俺達のサポートでイジメに耐えることじゃない。何かされたり苦しくなったら全て俺達に吐き出すんだ」

「風雅様……」

「というよりお前達、分かってるだろうな」


 ビシッと空気が引き締まった。間違いなく風雅様モードに入っているため、誰もが逆らうことを許されるはずかない。

 いや、それ以上に全員の気持ちは既に一つだ。


「今まで杏に手を出された分も含めて三条学園の連中にやることは一つだけだ。当然、練習試合に負けることなど論外」


 当然だと全員が様々な反応を見せる。先程まで合宿には行かないと駄々をコネていた昴でさえこの空気に便乗してしまってる。


 そして、風雅は全員に命令を下した。


「魔法学院の総力を上げて三条を叩き潰せ!」

「オウッ!!!!」


 青空の下で全員の声が響き渡る。それは何があっても杏を守るとの誓いだ。


 そして、全員が一丸となるこの瞬間は何度見ても気持ちいいものだと真央は思う。育成するのも良いが、こういった瞬間に立ち会えるのも監督としての利点だ。


 しかし、ここでのコメントがやはり真央が真央である所以だ。


「うん、これは練習倍にしても音を上げなくなりそうね」


 それはさすがに無理なのでは……、と杏は内心呟くが彼等がしばらくの間、必死に食らいついて練習したことは言うまでもない。



 海に近い中学がある。その中学は情報科の勉強に力を入れており、さらに文化系の部活も毎年全国大会に出場する名門校だった。


 しかし、それ以上に有名なのが魔法総合学科という魔法格闘技専門の学科が開設されていることだ。

 それは将来、魔法議院に入りたい若者達の育成を目的としており、彼等は必ず魔法格闘技部に入ることが条件とされている。

 ただし、一部例外としてパソコン部と科学部に入るものはいるのが……


 そんな魔法格闘技に力を入れた、海宝中学魔法格闘技部では魔法学院にも負けないような練習が行われていた。

 唯一、魔法学院と違うことはメニューを組んでいるのがきちんとした監督ということで、選手兼監督の鈴宮美咲を怒らせない限り無事でいられるということだ。


 そして、その海宝中学のマネージャーを務める陸の双子の妹、小原海は机の上に置いてあるパソコンのメールを開くと、そこには魔法学院からのメールが届いていた。


「美咲先輩、魔法学院からメールです」


 陸と同じで感情の起伏が激しくない性か、その表情と声は落ち着いたもの。しかも顔も似ているので髪を短くすれば間違われる可能性もある。

 おそらく、これを陸本人が聞けば「身長は若干こちらが高いのだから気付いて下さい」と返してくれるだろう。


 そして、休憩中も床に座って何かしらノートに書き込んでいた選手兼監督の鈴宮美咲は立ち上がると、パソコンの画面を覗き込んでメールを読んだ。


 そこに書いてあったのは親友からの挨拶文と杏のこと。さらに近況報告とあっては表情が輝かない訳がない。


「なるほどね。海ちゃん、美味しいハチミツレモンが賭かってるからあのバカ達に杏ちゃんを守るように言っといてね。守れなかったら真央と共同で地獄のメニューを作るからって」

「はい、分かりました」


 これは死んでも守らなければならないと海でさえ思った。さすがにスタメンが練習で殺されるのはまずい!!


 海はまだ真央には直接会ったことはないのだが、美咲の組む基礎練習で毎年退部者が続出するというレベルにプラスαを加えられると聞いただけで、とんでもない監督だと分かる。

 それに陸から送られて来るメールは「今日もあの世に片足を踏み入れました……」というものなのだから……


 そして、杏の対策は万全を期すことを決めた美咲はさらに魔法学院の参加者を見ていくと、一人だけ欠けていることに気付いた。


「あれ、アホ山君だっけ? 彼はジュニア合宿には来ないのかしら」

「はい、まだアメリカで調整してると思います」

「そう、後藤君達が残念がりそうね。去年の試合、冴島涼君を倒した後にやられたんでしょう?」


 それに海は眉尻を下げた。去年の小学生クラブチームの全国大会で海宝の一年生を倒したのは「アホ山」と称される少年だ。

 そんな彼がアメリカにいる理由は「起きたらそこがアメリカだった」と通常有り得ない答えが返されたのだが……


 しかし、まだ戻ってきてないということはアメリカで余程、彼を指導している師匠に気に入られたという訳なのだろう。元々、人を引き付ける魅力を持っている訳でもあるのだし。

 そんな幼なじみを思いながら、海はふと体育館の時計を見ればあの変人がまだ外から戻って来てないことに気付いた。


「それより主将はどうしたんですか? また屋上で宇宙人と交信してるんですか?」

「宇宙人……」


 それはどうなのかと思うが、ある意味間違いではないので否定は出来ない。ただ、交信してるのが宇宙人じゃないだけだ。


「全く、誰か呼びに行かないとあの人は行動出来ないんでしょうか」

「いや、それは海ちゃんのことが好きだから待ってるだけじゃ……」

「出会った時から迷惑です。ですがあれでも主将なんで呼んできます」

「うん、本当ご苦労様……」


 手間をかけてゴメンね……、と駆け出して行った海の後ろ姿を見送りながら、美咲はまたセクハラにあわないことだけを祈った。

 なんせ、海が入学して来た日にいきなり胸を鷲掴みにする暴挙に出たのだから、あの変人は……



 海が屋上に上がると、まず目にしたのはコンクリートの床に置かれた空き缶一つ。ということは……、と昇降口の屋根の上に飛び上がれば目を閉じて座禅を組んでいる少年が一人。海宝中学主将、成瀬祥一だ。


 こうしていればただの綺麗な変人なのに……、と海は思う。しかし、そろそろ個人練習から戻ってもらわなければ困るため、海は彼に声をかけた。


「主将、また交信ですか」

「うん、出来たら海と毎日交信」

「着拒していいですか」


 これに付き合っていては時間の無駄だと海はバッサリ切った。


 基本、変人と評価されているこの少年は昔から全く変わっていないのだ。なんせ、初めて海と出会った時の言葉が「こんにちは、僕のお嫁さん」だったのだから……


 そして、祥一は自分の隣に座るようにポンポンと床を叩いた。


「まぁ、ここ座ってよ」

「セクハラです」

「それは後からしかしないから、今はマネージャーとして座って欲しいな」


 後からやる、というのは完全にスルーすることにして海はちょこんと祥一の隣に座った。ふざけているのは間違いないが、考えているところは考えているのが祥一の利点だ。


 そして、海が座ったのに満足したのか、祥一はニッコリ笑って彼女の頭を撫でてやる。


「うんうん、いい子いい子」

「いいですから一刻も早くやって下さい」


 これ以上無駄な時間を割くわけにはいかないと海はバッサリ切り捨てた。自分の仕事は祥一のお守りだけではないのだから。


 そんなつれない海の態度すら可愛いと祥一は思っている訳だが、彼とて主将の自覚はあるため立ち上がると、ジャージの上着を脱いでそれを海に羽織らせた。


「少し寒くなるかもしれないからこれ羽織ってて」

「……ありがとうございます」


 ここで彼ジャーといったスキルを発動してくるのを破り捨てたりしない理由は一つだけ。少し寒くなるというのが事実だからだ。


「じゃあ、いくよ」


 ヒヤリとした空気が伝わって来る。前回、海が目にした時より明らかにその冷気は魔力を帯びており、それを証拠に床がパチパチと凍り始める。


 そして、キラキラとした氷の粒子が祥一の拳に集まり始めると、彼は勢いよく拳を少し離れた空き缶目掛けて繰り出した!


「はあっ!!」


 まさに一瞬、空き缶は形を崩すことなく凍り、その辺り一体も薄い氷に覆われる。沈みかけた陽の光を浴びてそれは綺麗に乱反射して海は目を細めた。


 ただ、あくまでも魔法格闘技という視点から祥一は見ているため、凍った空き缶を拾い上げて若干不満そうな表情を浮かべた。


「良く凍ったなぁ。一応、加減したんだけどさすがに全身凍らせたら仮死状態が起こるから、動けない程度に改良するか最後の手段として使わないといけないかな」


 パチンと指を鳴らせばその氷は一瞬のうちに消える。ただし、冷気だけはまだ完全に消えずそれも祥一にとっては不満な点となった。

 魔法といえども、やろうと思えば温度も残らず消してしまうことも出来るのだから。


 そして、祥一はこの時ばかりはふざけないのか、主将としてマネージャーに意見を求めた。


「海、どう思う?」

「……風雅隊長を追い込むのに使って下さい。さすがにこのレベルを試合一分前に出されたら打ち砕けませんし」

「うん、じゃあそうしよう。だけど当日生理中の女の子がいたらお腹冷やしてまずいから、そのあたりは海が調べっ!!」


 鉄拳が祥一の顔面に直撃した。一瞬しか真面目な顔で自分に向き合わないのかと、海にしては珍しいほどその表情は怒りに満ちている。

 というより、そんなプライベートまで情報収集して祥一に差し出したくはない!


 しかし、顔面が凹むというギャグ顔になるところまで殴れた性か、海はすぐに無表情と冷静な声に戻した。


「セクハラもほどほどにして下さい」

「いや、これは重要なことだよ。海だっていつかは俺の子供を産むんだから」

「産みませんのでご心配なく。大体、主将はモテるでしょう?」


 海の言ってることは事実で、この少年は昔から年齢問わずでよくモテる。低学年だった頃、藍や真理が「変人だけど女子に優しくてカッコイイ」とそれなりに褒めていたぐらいだ。


 そんな評価を受けているにも関わらず、祥一は何とか元の美少年の顔に戻すと、またニッコリ笑って海を口説いた。


「だけど海が良いんだ。何てったってクラブで初めて会ったときから俺は海に恋してるからね」

「その時からおかしかったですよね、人間として」

「そうかな、小学生の時から勘は良い方だったから海が俺のお嫁さんになる確率は高いと思うよ」


 確かに勘は良いがその自信はどこから出て来るのだろうか。少なくとも、一度たりとも自分は祥一を受け入れた記憶はない。寧ろ、今まで風雅達のライバルとして彼を研究したことしかないのだ。


 とりあえず、これ以上の問答は体育館に戻ってからにしようと、海は借りていたジャージを祥一に差し出した。


「さっ、宇宙人との交信が済んだら早く部活に戻って下さい。魔法学院がジュニア合宿に来ると連絡がありましたから、間違いなく全員気合い入ってますし」


 魔法学院と聞けばユルユルだった顔が引き締まる。間違いなく彼の脳裏に過ぎったのは風雅だ。


「そっか、楽しみだね」


 こういう顔をいつもしていればいいのに……、と海は思う。魔法格闘技が好きで、風雅に今年こそは勝つといった顔。それだけは祥一がどれだけ変人でも認めざるを得ない唯一の利点。


 だが、このあとがいつも残念な方向に進むのだ。


「海、俺が勝ったらキスしてくれる?」

「しません」

「じゃあ、デート」

「嫌です」

「……一緒に寝て」

「永眠ならすぐにさせられますが?」


 氷より冷たい視線が祥一を貫く。いっそのこと自分の氷で永眠してもらいたいとさえ思うが、あまりにもガッカリといった顔に彼女は溜息を吐き出した。

 祥一がこのまま体育館に戻って、自分の性でやる気がないと駄々をコネるのが目に見えているためだ。さすがに主将がそれでは困る。


「……お弁当なら作ります」

「えっ?」

「魔法学院に勝てば次の試合で作ってあげますから、絶対に勝って下さい」


 キュンとした。絶対に勝ってくれと海に言われたらこんなに嬉しいものなのかと思う。その衝動に突き動かされて、祥一は言葉にならない喜びを彼女に抱き着いて表した。


「海のツンデレ可愛い〜〜!!!」

「痛いですから今すぐ消えて下さい」


 弁当一つでここまでなるとは思わなかったと海も予想外だったが、それだけ喜んでくれるならお祝いの時は料理の腕を振るってあげようと思う。

 間違いなく普段の食べっぷりから重箱を用意しなければならないので、嫌でも力が入ってしまうのだけれど。


 そして、そろそろ本気で離してもらおうと、海はガツンと一発鉄拳をお見舞いした後、もう一つ重要な件を話しておくことにした。


「それとお願いがあるんですけど」

「何?」


 ヒリヒリしていた頭を摩っていたが、祥一はそれに目を丸くした。海が自分に改まってお願いをすることなど滅多にないからだ。


「沙里さんの妹の杉原杏さんは知ってますよね?」

「うん、ハチミツレモンを差し入れてくれたことがあるから」

「それで彼女を虐めていた三条学園のメンバーがジュニア合宿に来るので……」


 そこまで言って祥一は立ち止まった。何か立ち止まるようなことがあったのだろうかと海は首を傾げて彼の顔を覗き込んだ。


「主将?」

「任せといて。杏ちゃんを虐めてる奴を凍らせるぐらい問題ないから」

「杏ちゃん?」

「そうだよ。沙里先輩の壊滅的なハチミツレモンから救ってくれた天使を虐める奴なんて、先輩のハチミツレモンでも食べて倒れたらいいんだ!」

「……何だか他の先輩もそれで動きそうですね」

「ハチミツレモンは大切なんだよ!」


 そのためなら三条ぐらいぶっ飛ばしてやると、祥一は試合時のように気合いが入った。


 一体、海宝のメンバーはどれだけハチミツレモンにこだわってるんだろう、と海は不思議に思うのだが、やがて見ることになる海宝女子の料理レベルに泣きたくなる気持ちを彼女は理解することになる……




お待たせしました☆

相変わらず多忙な緒俐です(笑)

24時間ってホントに短いなと思う訳ですが……


さて、今回は海宝中学の主要キャラクター三人が出演。

陸の双子の妹、小原海ちゃんはとても優秀なマネージャーなので、早く杏ちゃんに会わせたいなと。


そして海宝中学主将、成瀬祥一。

彼はもう変人というより変態かもしれません(笑)

でも見た目でカバーされてるんですね。

あっ、実力は風雅がライバルというぐらいですから強いですよ。


では、今回も小話をどうぞ☆



〜中一組最強は??〜


昴「真理ちゃん、藍ちゃん、中一組で一番強いのは誰なんスか?」


藍「もちろん涼だよぉ〜! 烈拳は通常、中学生じゃ使えないんし、それに涼は凄く優しいしかっこいいし!」


真理「確かに強いけどね……、だけど蓮の方が強くない? 烈拳捉えてるし、弓道の達人だし」


藍「蓮は私より弱くて良いの! それならまだ雅きんの方が強いもん!」


昴「確かに雅ちゃんは強いっスね! パワーアタッカーとして部のエースになりそうだし」


真理「でもあいつ、お化け系統ダメだし私の一撃で大人しくなるわよ?」


藍「う〜ん、だったらりっくんかな。あの高速苦無を投げる姿って普段とのギャップがあるからかっこいいよね!」


昴「そうっスよ! 陸ちゃんが一番かっこいいっス!」


陸「昴君、気持ち悪いこと言わないで下さい」


昴「だあっ!」


藍「りっくん!」


陸「それに中一組で一番強いのは決まってるでしょう?」


真理「えっ?」


陸「風雅隊長を惚れさせた挙句、真央監督達を味方に付け、慎司さん達も超溺愛の妹扱いしている杏さんに誰が勝てるんですか」


昴・藍・真理「「「ですよねーー」」」




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