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CROWN  作者: 緒俐
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第十八話:慎司と和人

 翌日、冴島邸の室内庭園で昼飯まで縄跳びをやって来い、と真央から命じられた昴は、たまたまその場に通り掛かった修平を巻き込んでノルマを熟しはしたが……


「つまらないっス……」


 座り込んで溜息を吐き出す昴に、修平はブチッと額に青筋を立てた。


「お前な……、先輩を付き合わせといてザケんなっ!」

「ブブッ!」


 後ろから蹴られ、昴は前のめりなって地面に顔から突っ込んだが、理由が理由だったためにすぐ復活した。


「だって修平先輩は悔しくないんスか!? 杏ちゃんを風雅隊長に取られて!!」

「バカ野郎っ! んな訳あるか! 寧ろ命が脅かされるようなこと言うんじゃねェ! マジでシバくぞ!!」

「ガダっ!!」


 修平は容赦無く昴を蹴り飛ばした。なんせ杏に惚れるなんて事態は死んでもあってはならないと思うからだ。


 確かに杏はクラスの女子より可愛い、おまけに性格も良く昨日入れてもらったハーブティーも上等だった。

 だが、そこで止まっておかなければ部内の空気が乱れて困るどころではない。それは副主将としてすべきことではないのだ。


「修平先輩、八つ当たりしないで下さいっス!」

「だから俺は死にたくねぇんだよ! 死にたければ他の奴らを巻き込みやがれ!」

「他に誰がいるんスか!! 蓮ちゃんも涼ちゃんもダメなんスよ!?」

「香川と小原でも巻き込んどけ!! ボケっ!!」

「二人がライバルになるのも嫌なんス!!」


 どんな理屈なんだと思うが、本当に巻き込まれたくないと心底思う。

 そもそも、こっちは恋愛に関してはノーサンキューを貫いてきたぐらいだ。特に風雅に関することはかなり面倒なことにしかならないので、自分から関わるようなこともしたくない。


 そして、喚き散らしてようやく落ち着いた昴が今度は何やら思うことがあるらしく、彼は物思いに一つ溜息を吐き出した。


「はぁ……、だけど杏ちゃんは最近、冴島淳士の試合や記事を片っ端から見てるんスよね……」

「ん? そりゃ、ジュニア選抜で当たるから研究してんじゃねぇのか?」


 夜にはいくつもの試合記録を見ていると聞いているので、勉強熱心な杏なら淳士の研究をしていてもおかしくはない。

 それに烈拳を超えるスピードを繰り出す淳士を見切れるものはそういないのだし……


「でも、最初に当たるのは冴島慎司じゃないスか。だったら普通はそっちを研究するんじゃないんスか?」

「まぁ……、杉原にしては順番が違うな」


 既に慎司を研究済みということもない上に、次の練習試合の対戦相手である魔法学院高等部二軍も手を抜いていい相手ではない。

 もちろん、スピードアタッカーである涼のために研究しているのかもしれないが、それならば淳士の前に研究するべき選手がさらにいそうなものだが……


 しかし、昴の頭の中では絶対有り得ないだろう予想が飛び出してきた。


「まさか、冴島淳士に惚れたとか……!!」

「いや、憧れはしてもそれはないだろ」

「わかんないッスよ! 冴島淳士は風雅隊長より背が高いし強いし、冴島家は魔法界の名門だし、性格は絶対風雅隊長より優しいっス!」

「そりゃ、風雅は確かに鬼だけどよ……」


 それでも風雅が杏に対してかなり特別扱いしているのは一目瞭然だ。寧ろ、鬼の魔法格闘技部主将なのかと疑いたくなるほど緩んだ表情を見せる。

 それだけ風雅は杏に惚れ込んでおり、杏も淳士に憧れぐらいは抱いているのだろうが恋情と呼ぶのは違うと思う。


「それに魔法覇者なんて、魔法格闘技をやって無くても魅了されるって真央監督も言ってたぐらいっスよ!」

「いや、確かに真央の言うことも一理あるが、あいつの場合は明らかに身体と育成面でしか魅了されてないだろ……」


 寧ろあいつに恋愛感情があっただろうか……、と修平は疑いたくなることが多々ある。

 かといって、真央に尋ねれば初恋くらいはあるとあっさり答えてくれるのだろうけれど。


「ああ〜っ! 冴島淳士を好きになられたら絶対勝ち目なんてないっス!」

「いや、それ以前に淳士さんが杉原をどうやって好きになるか……」

「出会った瞬間に一目惚れして掻っ攫うタイプだって涼ちゃんが言ってたっスよ!!」


 否定出来ないあたり、冴島淳士という青年がいかに出鱈目と評されるのかがよく分かる。しかも涼の意見だとより信憑性が高い。


 もう本気で勝ち目がないっス〜、と嘆き続ける昴に呆れつつも修平は一つ溜息を吐き出して縁側に戻っていく。

 しかし、面倒見は良いらしく彼は多少、慰めてやることにした。


「おい駄犬」

「何スか!!」

「とにかくお前は基礎練やれ。風雅から杉原を奪いたいならあいつより強くならないとまず無理だろ」


 せめてそれくらいの目標ぐらいは持ってもらえたら良いだろうと修平は思うが、予想外だったのか、昴は目を丸くして大人しくなった。


「どうした?」

「いや、諦めろと言うかと……」

「ああ、普通はそうだが何かをやる気にして強くなるなら構わない。寧ろ杉原関係なら命懸けだしな」

「ヒドッ!」


 昴は涙目になった。しかも冗談に聞こえて本気なのだから尚更性質が悪い。


 しかし、恋愛感情でも強くなってくれる糧となるならと修平は思う。どんな理由であれ、自分が今やるべきことはこの初心者の面倒を見ることには変わりないのだから。


「でも、あいつを抜きたいと凡人の俺でも思うんだから、才能があるお前なら可能かもしれないな」


 それだけは全く可能性が皆無じゃないといった微笑を浮かべると、昴はパアッと表情を明るくして立ち上がった。

 どうやら思ってた以上に、この大型犬は素直で扱いやすいらしい。


「修平先輩! オレはやるっスよ!」

「そうか。んじゃ、次は雑巾ダッシュ往復二十な」

「なっ、ブッ!!」


 昴は勢いよく投げつけられた雑巾を顔面にくらうが、新品なだけマシだろうと、修平は全く悪びれた顔もせず自分もバケツに入れておいた雑巾を絞った。


「冴島家にお世話になってるんだからそれぐらいやれ。桜の飯も動いた後の方が旨いだろ」

「えっ? 桜ちゃんは名前呼び!?」


 昴は声を上げて驚いた。女子を名前で呼ぶなど真央ぐらいしか聞いたことがなかったが、必要があるならばと修平はもっともな理由を切り返した。


「冴島が二人いたら面倒だろう。さらに淳士さん達がいたら尚更な。というより、本人がそう呼べと言ったからそうしてるまでだ。ああ、中一組に関しては全員名字でしか呼ばねぇから」

「何故っスか!?」

「先輩と後輩のケジメだ。風雅はまぁ、主従関係をより明確にするために名前で呼んでいそうだが……」

「名字のままでお願いするっス!」


 これ以上虐げられるのは本気で勘弁だと喚きながらも、二人は雑巾ダッシュを始めるのだった。



 初めてのデートなら遊園地、という藍と真理の意見を珍しく採用した風雅は、あながち悪くはないという感想を抱いていた。


 本来なら自然豊かな公園なり映画館なりと落ち着いた場所を選びたいところだったが、杏にはしゃぐということを学んでもらうのも良いのではないかといった二人の意見も間違いではないらしい。


 事実、杏の笑顔はいつもの二割増しで輝いているのだから。


「うわぁ〜〜!! 風雅様、あの妖精さん凄く可愛いです!!」

「ああ、だけど杏の方が可愛いよ」


 笑顔でサラッと言われ杏は頬を赤く染めて俯く。


 ただでさえ今日はデートということもあっていつもより風雅を近く感じてしまうというのに、これ以上ドキドキさせられるようなことばかり言われては身がもたない。


 しかし、いきなり爆発させるのも面白くないと思うのか、風雅はからかい倒したい気持ちを抑えて話題を切り替えてやることにした。


「でも驚いたな。杏が絶叫マシーンに強いなんて」

「はい、一度乗ってみたかったので恐怖より楽しみの方が勝ったのかもしれません」

「そうか。じゃあ、今度は練習がてらあいつらも連れて来てやるか。確か修平や雅樹は絶叫系がアウトだったしな」


 ニヤリと悪い笑みを浮かべる風雅の脳裏には二人の嘆く姿が映る。

 ただ、それを聞いた杏は意外な弱点だとばかりに目を丸くした。特に雅樹は絶叫マシーンは大好きそうだからだ。


「お二人とも苦手なのはとても意外な気がしますが……」

「ああ、修平は乗れない訳じゃなくて弱いといった方が正確だな。一応、魔法格闘技をやってれば空中戦もあるから急降下とかは平気なんだが、回転とかで酔いやすいんだよ」

「あっ、だから修平先輩はマット運動が……」

「そういうことだ。三半器官を鍛えておかなければフラついたところでやられるからな」


 だから今度は遊園地で鍛えてやるか、という風雅に杏はフワッと笑みを浮かべた。

 本当に魔法格闘技のことになると、例え遊園地でも練習の一環になってしまうのだと思う。


 だだ、修平がこの場にいたら泣いて拒絶してくれるのだろうけれど……


「でも雅樹君は空中戦で酔いそうなイメージはないのですが……」


 どちらかといえば回転くらいは平気なタイプだと杏は思う。

 それにもし雅樹にそんな弱点があるなら、真央あたりが修平の倍はマット運動をやれと命じるだろうし……


 しかし、世の中には回らない絶叫系というものが存在する。遊園地にある絶叫するものはマシーンだけではないからだ。


「ホラーだ」

「えっ?」

「あいつはお化け屋敷とかはてんでダメでな。昔、あいつらと来たときに入ったら陸や蓮にしがみついてたレベルだ」

「つまり絶叫系というのは……」

「そっ、お化けだな」


 血は平気でもお化けはダメだという雅樹の弱点に、笑っては悪いと思いながらも杏はクスクス笑った。

 お化けなんてヘッチャラだといかにも言いそうな雅樹でも可愛いところがあるらしい。


 因みに相棒である陸はその真逆らしく、ホラーを見るとワクワクしてくるとのこと。


 そんなたわいもない会話をしながら歩いていると、風雅の視界にいかにもメルヘンチックなメリーゴーランドが飛び込んできた。

 当然、杏の視界にも飛び込んでいるらしく、彼女はウサギ化してキラキラとした目でそれを見つめており、そんな杏に風雅は微笑を浮かべた。空いているならすぐに乗れそうだ。


「じゃあ、次はメリーゴーランドでも乗ろうか」


 スッと手を引いて促すと、杏は意外なものでも見たかのように目を丸くした。


「どうした?」

「いえ、風雅様からメリーゴーランドに乗るとおっしゃっていただけるとは思わなくて……」

「不釣り合いだろう?」

「そんなことは……!」


 否定する杏に風雅は笑った。自分でさえメリーゴーランドとは縁遠い性格をしていると思うのだ。杏が不釣り合いだと思っても仕方がない。


「わりかし好きなんだよ。幼い頃に涼達と来て乗ったせいかもしれないが……」


 そこまで言って風雅は眉間にシワを寄せていく。世の中には思い出さない方が良いことは確かに存在するからだ。

 しかし、そんなことが分かるはずもなく、一体どうしたのだろうかと杏は首を傾げて風雅に問い掛けた。


「風雅様?」

「いや、ちょっと思い出したくないことを思い出してな……」

「涼君達がどうかされたのですか?」


 昨日、涼達と遊びに行って思ったが、賑やかには違いないが何か問題を起こしそうには感じられなかった。


 それに幼い頃から風雅も蓮もしっかりしていたというのだから、他の中一組が他人に迷惑をかけるようなことも考えられない。精々、誰かが迷子になったぐらいだとさえ思う。


「いや、寧ろあいつらも被害者だ。淳士さんがメリーゴーランドを絶叫マシーンに変えた所為だからな……」

「はい?」


 メリーゴーランドがどうやったら絶叫マシーンになるのかと杏は疑問符を飛ばした。

 いくら淳士といえど、幼い頃にメリーゴーランドを破壊出来る力があったとは思いたくないのだが……


 しかし、風雅が当時の淳士を評価するなら、メリーゴーランドを破壊しようと思えば出来たのではないかと思う。

 事実、下手をすれば億単位の弁償額が発生するところだったのだから……


「まぁ、淳士さんは昔から魔力が高かった上に絶叫マシーンが大好きだったからさ、メリーゴーランドを高速回転させた上に宙にも浮かせたんだよ……」


 その性でまだ三歳だった桜が怖くて大泣きし、四歳だった涼と蓮が慰め、七歳だった慎司が係員に頭を下げに行ったという過去がある。


「凄いですね……」

「まぁな。だが、それでも遊びに行ったということに関してはいい思い出だけどな」


 眉尻を下げて苦笑する風雅に、杏は穏やかな笑みを浮かべた。どちらかと言えば大変だった思い出も、あのメンバーなら笑えるほど楽しいものに変わることが羨ましくて……


「良いですね、そういうの……」

「ああ、否定はしないが」


 さて、どれに乗るかと杏の手を引いて風雅が選んだのは白馬。確かあの暴れん坊将軍こと淳士が乗ったのもこれだったな……、とは思うがそれを新たに塗り変える日がやって来た。


 風雅は杏の腰に手を回してヒョイと抱え上げ、ポンと地を一蹴りして白馬に飛び乗り自分の前に杏を座らせた。


「杏とこれから作る思い出には負けるかもしれないな」

「ふっ! 風雅様っ!!」

「ほら、メリーゴーランドとはいってもちゃんと座ってないと落ちるぞ?」


 落ちると言われては暴れるわけにはいかず、杏は大人しく小さくなって座った。本当にこんな密着した状態になるのはマッサージ以外では勘弁してほしいと思う。


 それからメルヘンな音楽とともにメリーゴーランドは回り出したが、杏は風雅のあまりの近さと客からの視線で茹蛸になった。

 しかし、白馬の王子様というよりは風雅様と言った方が正確だと雅樹あたりがツッコミを入れそうなほど、彼は活々としている訳だが……


「ほら、周りも見てみろ。親子連れも同じことしてるぞ?」

「……カッブルはいません」

「そうだな。じゃあ……」


 最近の中学生は何をやってるんだ、とでも堅い大人なら顔を真っ赤に染めて怒鳴るかもしれないが、白馬に乗った風雅が杏の側頭部に口づけを落とすのは映画のワンシーンにしか見えない。


 ただ、そのヒロインはとても演じられるような状況ではなくなったのは言うまでもないが……



 そして、今までの人生で最高のメリーゴーランドを堪能した風雅は止まるなり、すっかりカチカチになってしまった杏を抱えて白馬からストンと下りた。


「楽しかったな」

「……心臓が持ちません」


 どれだけいろんな人達の注目を浴びたのかと泣きたくなったが、風雅は寧ろ見せ付けるかのように振る舞っていたと思う。

 普通、沢山の人達の前でキスを落とすのは役者ぐらいじゃないかと言ってやりたいが、反論すれば今度は破裂させられることを学習しているので杏は言い返さなかった。


 ただし、杏には自覚がないが、俗に言う「美男美女カップル」では元々視線は集めてしまうものだと、蓮あたりがいればそう的確なコメントをしてくれるのだろうが。


「ほら、次は……」


 そこまで言って風雅は止まった。誰かに見られてるのはいつものことだが、これほど不愉快な視線は時々でしかない。

 狙いは自分だろうが、ターゲットを杏にされる前に片付けるべきだ。それこそ二度と再起出来ないように。


「風雅様?」


 いきなり黙り込んでしまった風雅に問い掛けると、彼は少しだけ穏やかに笑い掛けてくれたあと行動に移した。


「杏」

「きゃっ!」


 本日二度目のお姫様抱っこに杏は可愛らしい悲鳴を上げたが、今回風雅はからかわなかった。それどころか魔法格闘技の試合のように真剣な面持ちを見せる。


 それから何かを感じ取ったのか、彼は雑木林の方を鋭い視線で睨んだあと杏にキリッとした声で告げた。


「念のため防御魔法を纏っておいてくれ。少しばかり飛ばすから」

「……かしこまりました」


 きっと何かがあったのだと杏が納得したのも束の間、風雅の髪が魔力を上げてふわりと揺れたあと彼は一瞬のうちにメリーゴーランドの屋根に飛び乗り、それから先程睨んでいた雑木林と反対側の雑木林へと駆け出した。


 いざという時、多くの人を巻き込まないように極力人がいない場所に誘い込め、それがフィールド外で戦う時のルールだと先代部長の慎司が幼い時に教えてくれたから……



 それから数分もせず人気のない場所で、尚且つある程度拓けた場所に風雅は着地すると、彼の周りを六人程度の男達が囲んだ。

 全身黒づくめだが胸に金色の波模様が映えて見える辺り、どうやら彼等は魔法議院直属の二十の組織のどれかだと風雅は思った。


 ただし、少なくともCROWNやEAGLEではないことは一目瞭然だ。マークが二つのものではない上にこんなレベルの者を自分に差し向ける頭の悪い戦闘指揮官は存在しないからだ。


 しかし、その頭の悪い戦闘指揮官の下にいる部下達は月並みな質問をしてきた。


「一之瀬風雅だな?」

「そうだが無名の部隊が何の用だ?」


 風雅は間髪入れずに切り返した。幼い頃から何度もされた質問にうんざりしているからだ。

 寧ろ確認しなければ分からないなら、最初から狙ってもらいたくはないとさえ思う。


 しかし、今回の理由だけはいつもと違った。いかにもリーダー格といった魔力だけそれなりに高い男が答える。


「CROWNとEAGLE、その両部隊をおびき寄せる餌にお前ほど打ってつけな奴はいない。悪いが人質になってもらう」


 一之瀬グループ狙いではなく、どうやらあの二部隊に深い因縁を持っているバカがいるらしい。

 おそらく、先日夏音を救出するためにCROWNとEAGLEが叩きのめした組織の残党だろうと風雅は予測した。


 だが、世の中にはもっとも人質として有効でも人質にならない風雅様が存在するのだ。彼は吐き捨てるかのように男達に告げた。


「見くびられたものだな。まぁ、淳士さんや夏音姉さんに比べたらまだまだ未熟だが……」


 まさに刹那、風雅は敵の一人の腹部に拳打を叩き込み気絶させた。


「月眼を使うまでもない」

「なっ……!」


 その一言を発した瞬間、男は側頭部を蹴り飛ばされて木に激突した。


「速い……!」


 それは先日見た風雅の試合より断然に速かった。実戦という環境がそうさせているのかもしれないが、烈拳と呼ぶ以上にそのスピードは卓越している。

 おそらく、これが本来の風雅の基準なのだと杏は悟った。


 だが、風雅の烈拳に見とれている場合ではなかった。相手はあくまでもプロで全員が目の前に現れたのではなく木の上に数人、風雅を銃で狙っているものがいたのだ!


 それに気付いた杏はトリガーが引かれようとした瞬間、真っ青になって風雅の元に飛び出した!


「風雅様っ!」

「はい、ちょっと待った」

「えっ?」


 突然、陽気な声の男子高校生に肩を掴まれたが、その屈託ない笑顔に杏は瞬時に彼が敵ではないと悟った。寧ろ安心出来るといった方が正しい。


 そして、その瞬時に杏の前に現れたもう一人の男子高校生は風雅を撃とうとした敵を烈拳であっという間に沈め、さらに残りの敵も片付けてしまった。


 そんな芸当を鮮やかに熟してしまう、魔法格闘技部の先代部長は……


「……慎司さん、折角のデートなんですからこいつらぐらい早く片付けといて下さい」


 冴島慎司、涼の兄でCROWNの医療戦闘官が救援に来たのである。


 ただし、迷惑この上ないといった顔で風雅が抗議すれば、杏を巻き込んだことは悪いと思ったのか彼は軽く謝ってくれた。


「すまない、今回はボスが戦闘指揮官じゃない上に足手まといが多い部隊と組まされてたんだ。でも、風雅が狙われてるなら丁度いいと思ってな」

「つまり俺を囮にしたと……」

「良い経験になるだろ?」


 それについては風雅も言い返せない。やがては自分もCROWNに入るつもりで魔法学院に進学したのだ。経験が多いに越したことはない。


 そして風雅を軽く言いくるめた後、慎司は杏の前に歩み寄った。電話では何度か話したが、こうして直接会うのは初めてだ。


「慎司様……」

「久し振りだな、杏。巻き込んですまなかった。怪我はなかったか?」

「はい、お蔭様で助かりました」


 杏がきちんと礼をすれば、やはりいい子だと慎司は微笑を浮かべる。是非、これを杏の義姉である沙里にも見習ってほしいと心底思う。


 なんせ、見た目はそれなりに可愛らしくとも、杏みたいなおしとやかさとはほぼ無縁だ。女々しいよりは良いが、その辺の男より逞し過ぎるのもどうかというところ。

 嫁の貰い手がいるのだろうか……、と長年のライバルながら心配する訳で……


 そんなことを内心で思っていると、自称「慎ちゃんの大親友」と名乗る同じクラスで魔法格闘技部、さらにはCROWNでも同じ医療部隊に所属する大宮和人がやはり予測通り、杏を見て表情を輝かせた。


「慎ちゃん! この子が杏ちゃん!?」

「そうだからあんまり馴れ馴れしくするな」

「えっ? だああっ!?」


 突然風雅から蹴り飛ばされそうになったのを和人はギリギリかわした。しかし、魔力を帯びていた蹴りは微かに彼の髪を数本切りはしたのだが……


「コラッ! 先輩に向かって何すんだよ!」

「うるさい、黙れ」


 その一言で和人は言い返せなくなった。中学生だというのに、何故か自分が既に格下扱いされている。しかもこの先も変わるような気が全くしない。


「慎ちゃ〜〜〜ん!」

「ウザい、泣くな」

「うわっ!」


 慎司にまで足蹴にされた和人はヒドイと、どこから取り出したのか白いハンカチを噛み締めて涙を流した。


 それを見ていた杏はさすがに気の毒に思ったのか、和人を慰めようと彼に近寄ろうとしたが、風雅にホールドされ慎司にも行かないように促される。


「杏、ああいうのは関わらない方が賢明だ」

「ですが……」

「風雅の言うとおりだ。兄さんよりは常識人だが、どっちかといえば軽くてバカだからな」

「バカだったら医療戦闘官になれないからね!? てか、魔法学院って入るの難しいんだよ!?」


 軽そうに見えて勉強だけは出来るのかと風雅は思った。


 CROWNに所属するには、一部例外を除いて最低でも魔法学院の特進クラスに所属していることが絶対条件だ。しかもエスカレーターではなく、外部からとなればかなりの偏差値か中学時代の活動内容が重視される。

 つまり、和人はそれを突破してCROWNに入ったということになる。


 そして、いつまでもハンカチを噛み締めて泣きマネをしている和人に杏がうろたえているので、慎司は面倒だが彼を促した。


「和人、自己紹介」

「オウっ! 魔法学院高等部一年、CROWN医療部隊所属の大宮和人でっス! 来月の練習試合では宜しくな、杏ちゃん!」

「はい、宜しくお願いします」


 ペコリと杏が頭を下げれば、和人はあまりにも丁寧な対応に感涙する。ここに天使がいて、来月の練習試合でも会えるというのだから泣かない理由がない!


 だが、風雅と慎司の対応は呆れを通り越してそれは冷めたものだった。


「慎司さん、何で二軍選手がCROWNにいるんですか……」

「ああ、これでギリ一軍なんだ。医療戦闘官だからボスが例の如く大抜擢して引き抜いた」

「おいおい! これでも個人で全国ベストエイトだからな!? 魔法学院が異常なだけだからな!?」


 和人は必死になって突っ込んだが、昨年の全国大会の覇者達には無意味だった。

 しかし、CROWNのボスに見込まれる才能ならば、少しぐらいは記憶に残っても良いのではないかと杏は思ったらしく、それについて慎司は簡潔に説明した。


「沙里に毎回負かされてたらしい。まぁ、あいつに負けるのは仕方ないかもしれんが」


 自分だってあの一撃を真っ正面から受けたら無事じゃないしな……、と慎司にしては珍しく遠い目をした。あれは人の力だと思いたくない。


 それを見た杏は何だかとても申し訳ない気持ちになった。なんせ沙里は魔法格闘技となると、それはとんでもない拳を繰り出してくる訳で……


 そんな会話を繰り広げていると、数人の男達が彼等の前に現れた。その中でいかにも権力を傘に着ている、上着に魔法議院の腕章を付けた男が慎司達を怒鳴り付けた。


「お前達、何してる!」


 出た……、という慎司のうんざりした顔に同感だと和人も頷く。

 しかし、形式的な報告だけはしなければならないので和人は軽い口調で謝罪した。


「さーせん。上官の尻拭いに手間取りましたぁ」

「何だと!?」

「仕方ないでしょ? そっちがこいつら見失った所為で俺達の仕事が増えたんで」


 じゃなければ、こいつらが風雅達に目を付けることもなかった、と慎司は目線で風雅に告げる。それには風雅も納得したらしく、一つ溜息を吐き出した。


 しかし、失態を突かれた上官はその物言いに真っ赤になって和人を怒鳴り付けた。


「貴様っ!!」

「おお〜怖っ! 自分がこいつら取り逃がしたからって怒らないで下さいよ」

「うるさいっ! ガキが生意気な口を叩くな!」

「おっと!」


 本気で殴りに掛かってきた上官の拳を和人は一歩後ろに飛んだだけでかわした。わざわざ受けてやる必要もないと思うからだ。


「理不尽に未成年を殴らないで下さい。新聞沙汰になったらさすがにマズイっしょ? うちには桐沢さんがいるんスから」

「ぐっ……!」


 桐沢という名前に上官は言い返せなくなった。CROWNの情報部隊長はそれぐらいは簡単に片付けてしまう天才だ。ただ、CROWNで一番苦労しているが……


 しかし、このままCROWNにありのままを報告されては困る上に取り巻き達にも示しがつかないと思ったのか、上官は杏に目を付けた。


「そこの小娘! 貴様はこちらで記憶を消させてもらう!!」

「えっ……」

「部外者がこの件に立ち入るなと……!」


 空気が凍り付いた。喉元には慎司が苦無を突き付け、杏に伸ばされかけた手は和人に掴まれる。

 そのあまりの速さに上官の周りにいた部下達は反応すら出来なかった。


「上官、あんまりふざけた命令ばかりしてるとCROWNを敵に回すことになりますよ」

「そうそう。淳士さんやボスが気に入ってる子に手を出したとバレたら消されるかもなぁ?」


 声は至って普通。しかし、その威圧感は並大抵の戦闘官が放てるものではない! これがCROWNなんだと杏は思った……


 だが、杏に手を出して一番キレるのは当然風雅様である。彼は魔王すら霞む風格を醸し出して上官の肩に手を置くと、それは低い声で絶対的な命令を下した。


「くたばれ」

「がっ……!」


 やっぱやったか……、というのは慎司の感想。風雅のたった一言で上官は泡を吹いてその場に崩れ落ちた。


「上官っ!」

「貴様っ! 上官に何をした!」

「俺がくたばれと命じただろう。聞こえなかったのか?」

「うっ……」


 正に絶対的な王といった中学生に魔法議院に所属している戦闘官だというのに、彼等は威圧された。逆らえば今度は自分達が同じ目に遭わされる。


 ただ、その所業の正体に気付いた慎司は医療部隊に所属している所為か、感心しないと風雅に注意した。


「風雅……、月眼まで発動させるな」

「すみません。精神ぐらい病んでもらいたかったので」

「うわぁ、おっかねぇ〜! 敵には回したくねぇなぁ」


 まだ死にたくないし、と和人はカラカラと笑った。ただし、風雅の逆鱗に触れないかどうかはかなり微妙なラインだが……


 そんな緊張感のない中、取り巻き達の前に進み出た慎司は、最後の後始末ぐらいは自分達でやれと命じた。半分、面倒だからという理由も占めているが。


「お前達はさっさとこいつらを上に突き出せ」

「あっ、始末書はそっちで書けよ。さすがに一之瀬家が出て来ると面倒だろ?」

「くっ……!」


 それだけは避けておきたいと思うのか、彼等は何も言い返せず倒れていた者達を担ぐと捨て台詞だけは忘れない主義だったのかギロリと慎司達を睨みつけた。


「貴様ら、覚えてろよ!! CROWNを潰す手立てはいくらでもあると水庭に言っとけっ!!」


 そう吐き捨てると腐っても戦闘官なのか、彼等は倒れてるものを全員連れてその場から姿を消した。少なくとも手柄は自分達のものと報告するのだろう。

 しかし、慎司と和人は全く気にした様子はなかった。


「ボスがそのレベルで潰されるかってぇの」

「全くだな。まぁ、真央には甘いが」


 彼に弱点があるとすればその点だけだろう。頭脳戦や一般的な戦闘を挑んだとしても、彼より優れた者はそういるものではない。中途半端や強さでしかけても彼の部下達が片付けるだけだ。


 しかし、そこで杏に疑問が浮上した。真央とCROWNのボスにどのような関係があるのか全く検討がつかなかったのである。


「風雅様、真央監督とCROWNの戦闘指揮官はどのようなご関係が……」

「ああ、言ってなかったか。真央はCROWNの水庭戦闘指揮官の娘だ。ついでにEAGLEの結城戦闘指揮官の娘でもある」

「つまりCROWNとEAGLEの……」

「ボス同士の子供だ」

「凄いですね……!」


 そんなことがあるものなのかと杏は驚いた。しかし、少し考えてみればCROWNとEAGLEのメンバーを育てたのが真央の両親というなら、娘が育成面に関して興味を持ってもおかしくはないのだろう。


 それにCROWNとEAGLEが深い仲だという理由も、それだけの関わりがあれば当然だと杏は納得した。


「まぁ、結城……、陽菜上官は別姓を名乗ってるから二人が結婚してると知らない奴が多いしな」

「そりゃ二人ともまだ三十二なんだから分かんないって! 陽菜上官なんて未だに口説かれまくってるからな!」


 魔法議院随一の美女戦闘指揮官ともなれば行く手数多らしいが、彼女を口説こうとしつこく接してくる者は何故かひどい目に遭わされているという七不思議まであるのは、さすがの和人も言わなかった。


 おそらく八割型は陽菜が潰しているが、残りは彼の策略だろうし……


「んじゃ、そろそろ行きますか」

「そうだな。杏、本当に巻き込んで悪かったな」

「いえ、そんなことは……、あと……、お願いが……」

「よし、何でも兄さん達に言え」


 杏のお願いなら何でも聞いてやると慎司の顔は引き締まった。和人も巻き込まれているが、彼も叶える気は満々だ。

 そんな杏の願いが分かっているのか、風雅は遠慮せずに言えと穏やかに笑ってくれた。


「夏音様に……、いつかお会いして御礼を言いたいと伝えていただけますか?」


 意を決して告げた願いに慎司と和人は悶えた。何だその可愛さは、と今にも爆発しそうになったが風雅の殺気を感じたため、二人は何とかそれを堪えて了承した。


「ああ、伝えておく」

「でも淳士さんにも伝わるだろうなぁ」

「淳士様にもですか?」

「ああ、夏音姉さんと同じクラスだし、杏に会いたいって思ってるのは兄さんも同じだからな」


 だから来月の試合に出たいと駄々をこねたのは伏せておこうと、慎司と和人は同意見だった。

 いくら何でもCROWNと魔法格闘技部のイメージが憧れではなく呆れになってしまっては困る。いずれは分かることだが……


 しかし、自分にいつか会いたいと言ってくれた淳士に自然と笑みが零れた。


「私もいつかお会いしたいです……!」


 まだテレビ画面でしか見たことのない冴島淳士と近いうちに会える、自分だけが会ってみたいと思っていなかったことが嬉しかった。

 それは恋情ではなく、純粋なまでの憧れというものだろうか。


 そして慎司は風雅と一瞬だけ視線が絡んだあと、フワリと身体に魔力を纏った。今度直接会うのはフィールド内で……


「じゃあな」

「またね〜!」


 ヒラヒラと二人して手を振ったあと、一瞬のうちにその場から消えた。


 それから静寂が訪れたあと、杏はふわりと風雅に笑顔を向けた。


「お二人とも素敵な人でしたね」

「慎司さんはそうでも大宮和人は違うだろ。だが、俺とやり合えるレベルだってことは分かった。それに慎司さんはまた魔力が強くなってるし」


 だからもっと強くならなくてはCROWNに挑んでもすぐに弾き返されてしまう、そう続ける風雅の表情はまさに魔法格闘技部の主将だ。

 ならばマネージャーとして杏が今すべきことは一つだけ。


「風雅様、帰りませんか?」

「なっ!?」


 楽しくなかったのだろうか、と風雅は本気で焦った。それともどこか怪我をしていたのに気付かなかったのかと思ったが、杏はニッコリ笑って答えてくれた。


「風雅様がいま一番したいことが、私の一番したいことですから」


 だから帰りましょう、と笑う杏に風雅は目を丸くしたあと小さく笑った。改めて杏にさ敵わないなと思った。

 どうやら自主トレしたいという自分の気持ちを見抜いてくれたようである。


 そして風雅は杏の頬に触れると、顔を近付けて杏に口づけた。


「んんっ……!?」


 ポンっと一気に杏は沸騰した。忘れてはならなかったのだ。風雅はあくまでも風雅だということを。


 そして唇が離れると、それはしてやったりと風雅は悪戯な笑みを浮かべて続けてきた。


「杏もキスしたかったんだな」

「なっ……!」

「だがいつでも杏からしてくれて構わないんだぞ? 遠慮せずにしてくれた方が俺も嬉しいからな」

「ふっ、風雅様っ!!」


 何て勝手な解釈なんだろうかと頭の中の冷静な部分は告げるが、生憎九割以上がパニックでは反論すら出来ない。

 そんな杏の反応に充分満足した風雅は、ギュッと杏の手を握るとその表情は魔法格闘技部の主将のものとなった。


「じゃ、帰ったらドリンク頼む」


 そう告げて来る風雅の顔はとても綺麗だ。絶対に負けたくないとそう強く思ってるからこそ、杏も支えたいと応えるかのように握られた手をギュッと握り返した。


「はい、風雅様」


 試合は来月、また慎司達に会えるのが楽しみだと二人は思った。




やっと書けた……!

しかも今年初なんですよね……!


ということで、今回は高一コンビの冴島慎司と大宮和人が登場!

二人とも魔法格闘技部の一軍、さらにはCROWNの医療戦闘官というポジションにいます。

結構良い性格をしているので、今後もちょくちょく出るかなぁと。


そんな訳で今回は二人の小話です。

慎司お兄ちゃんは若干シスコンなんです(笑)



〜女の子の好みは?〜


和人「はぁ、もう杏ちゃんってマジ天使だな! 俺の彼女になってくれたら毎日天国かもっ!」


慎司「気持ちは分からんでもないが、杏に手を出すのだけはやめとけ。風雅から月眼で殺されるぞ」


和人「うっ……! それじゃあ慎ちゃんってどんな子が好みなわけ? やっぱり夏音姉さんみたいな美人系? それとも沙里みたいな可愛い系?」


慎司「夏音姉さんは手が届かないから好みというより憧れ。というよりなぁ……」


和人「うわあああっ! 慎ちゃん戻ってきて! んじゃ、沙里は?」


慎司「……和人」


和人「ああ」


慎司「あいつの彼氏になったら命がいくらあっても絶対足りないよな……」


和人「うわあああっ!! 慎ちゃん、本当にゴメンっ!! やっぱり普通に可愛い子が一番だよな!!」


慎司「いや、そうでもないな」


和人「へっ?」


慎司「俺はどれだけ顔が歪んでいようと本人が望むなら整形出来るし」


和人「医療部隊ならではの答えだよね……」


慎司「だが、家事全般得意で時々泣き虫で肝心なところで意地っ張りでも、どこか脆くてそれでも頑張り屋で……」


和人「……それって妹の桜ちゃん?」


慎司「桜はさらに可愛くて妹属性半端なくて、おまけに医療の腕もかなりのものだ。かといって、妹に恋愛感情を抱くことはさすがにない。というより、認めたくないが蓮がいるからな……」


和人「慎ちゃんって大概シスコンだよね……」


慎司「ああ、だからそれを理解してくれる子が一番だな。でも理解してくれるか……」


和人「うん、難しいよね……本当に」




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