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High School Love  作者: KAMU
8/11

Kiss

香奈とは完全に別れて、悠の事が好きになった。一学期は本当に特別な事は何も起きなかった。


ついに夏休みになった。

俺は悠の事が好きだってこと、

素直に伝える事にした。


「俺悠の事好きだよ。」


「ありがとー!」


それから何回か思いは伝えたけど、答えは決まってありがとう。

完全に脈なしだった。

それでもいいと思えた。


オーストラリアの旅が始まった。

飛行機の席は決まって悠の隣。

飛行機の中で悠は、

映画観て泣いて、英語話せなくて落ち込んで、機内食に喜んで、俺と話して笑う。

幾度となく恋をしてきたけど、

届かない思いのせいか、好きって気持ちは募るばかり。

悠はホントに可愛くて、やさしくて、おもしろくて、俺のアイドル的存在になっていた。

一緒に居ないと落ち着かなくて、

機嫌悪そうな時は、元気にしてあげたくて。

この人だと思った。

俺はそのアイドルのおっかけみたいなもので、みんなからは多分気持ち悪いって思われてた。

それでもよかった。

悠の前では素になれた。

無理にカッコつける事もなく、

心から好きって言えたんだ。

毎日かわいいねって、好きだって言い続けた。


そんな気持ちも届かないまま、オーストラリアでの生活が終わろうとしていた。

現地の学校とのお別れパーティーの為の買い出しに、2人で行く事になった。

買う物がたくさんあって、重い荷物を俺が持った。


「重そうだけど、1人で持てる?」


「心配すんな!片手で持てる!」


片手で荷物を持って、俺は、


「そんな心配なら俺の手持っとけ」


って冗談半分で言った。

本当に握ってくれた。

パーティー会場の近くで、友達に写真を撮られて、悠は恥ずかしそうにしていた。


この子を絶対彼女にしたい。ってそう思った。




オーストラリアから日本に帰ってくる飛行機の中、隣で寝てる悠の頭が俺の腕に倒れてきた。ドキドキで死ぬかと思った。

オーストラリアから戻っても、好きって言い続けた。

毎日、毎日。


でも彼女の答えは変わらず、

ありがとう。


誕生日、文化祭、体育大会、クリスマス。

全部、ありがとうだった。

ごめんでもなく、無理でもなく、ありがとう。これはこの関係を崩したくなかった、悠の優しさだったのかもしれない。


クリスマスに振られた俺は、

中学の時の友達の紹介で知り合った、

雪乃ゆきの と仲良くなった。


告白されて付き合う事になったのだが、

悠の事が諦められなくてすぐに別れた。


悠を好きでい続けて一年が経とうとしていた。二年生が終わり、もう三年生だ。

悠の家は遠かった。遠くて行く事がなかったが、悠が引っ越すことになった。

俺の家から自転車で30分の場所。


学校が終わると悠を家まで送っていった。

毎日2人は公園でいろんな事を話した。

遊具もたくさんあるのだが、2人は興味を持たずにベンチで話した。


「私の事好きで、楽しい?」


「楽しいよ!片思いしてて辛いはずなのに、幸せなんだ!一緒に居れて。」


こんな会話ばかりだった。


ある日学校で、悠がクラスメイトから、


「佐藤くん弄んでんでしょ?」


って嫌味を言われていた。


「違うから!」


俺は思わず言ってしまった。


「俺が悠の事大好きで、それだけ。」


俺はその時の悠の顔を見逃さなかった。

彼女は悲しそうな顔をしていた。


帰りにまた同じ公園で話した。


「もう、やめた方がいいと思う。」


「え?何が?」


「私の事好きでいること。」


「何で?」


焦った。かなり焦った。

この関係が終わると思ったから。

幸せが消えると思ったから。


「じゃあキス、しよう?」


ん?俺何言ってんの?

悠は考え込んだ。

30分くらい考えた結果、


「分かった!じゃあ一回だけね!しかも2秒!終わったら、おっかけやめてね?」


「分かった!でも、

15秒!」


「無理!5秒!」


「もうちょい!」


「はちびょ…」


この瞬間キスをした。


「お前絶対俺の事好きになるから!そんで、俺と付き合う事になる!覚えとけ(笑)」


「あり得ないけどね!覚えとくわ!」


俺が悠を追いかけるのはこれが最後になった…

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