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High School Love  作者: KAMU
6/11

Dispair

香奈と仲直りをして、

全てが上手くいっていると思ってた俺は、体育大会で絶望を味わった。

運動は好きじゃない方だったけど、チームで協力するといった様な活動は大好きだった。

だからこの日の体育大会も、クラスメイトと優勝を目指していた。楽しみだったんだ。


朝登校して、体操着に着替える為に空いていた学習室へ。


「翔平くん!」


優子が話しかけてきた。

鍛えていない身体を見られて笑われた。


「で、何?」


俺は不機嫌そうに答える。


「嫌な事聞いちゃってさ!翔平くん知ってるかなー?って思って。」


「嫌な事?」


「うん、昨日ダンススクールに向かう途中、駅で香奈がタメくらいの男の子に泣きついてるとこ見ちゃってさ。翔平くんじゃないから、不思議に思って。」


泣きついてる?

状況が掴めなかったし、

聞きたくなかった。


「気のせいじゃない?」


「香奈に聞いてみた方がいいと思う。」


優子の目は真剣で、

冗談じゃないことは分かった。


教室に戻ると俺の席に香奈が居た。


「翔平おはよ!昨日はごめんね?」


謝ってきた香奈に質問した。


「あのさ、昨日駅で誰といたの?」


ホントは聞きたくなかった。でも知りたい気持ちもあった。


香奈は戸惑った顔をしたまま、何も言わない。

少ししてから、


「誰ともいないよ。」


この会話を聞いてた優子が入ってきた。


「香奈、悪いけど、私が見ちゃったの。翔平くんの為にも正直に言お?ね?」


香奈は辛そうだった。

どんな答えが返ってきてもいい、そんな覚悟までしていた。


「元カレ。」


さっきまでの香奈とはまるで別人のような言い方だった。逆ギレに近いものだった。


「は?」


俺と優子は、目を合わせた。

もうダメだと思った。


「翔平くん、それに対して言うことは?」


「特になし!許す。」


「は?いいの?元カレとこそこそ会って、泣きついてても。」


「嫌だけど、昨日は俺が悪いし。」


思ってもないことを口にした。

いい人であり続けたかったのか、彼女を大好きだったからなのかは分からない。

だけど一つ確かな事がある。怒らなかった俺は甘かった。

彼女が反省もせず、続ける事は目に見えていたのに…




体育大会学級対抗リレー。

俺の隣に千尋が来た。


「だから言ったでしょ?」


香奈の事だ。


「でも、浮気って程じゃないだろ」


笑いながら答えた。


「佐藤翔平がそれでいいならいいけどさ、辛いよ?これから。」


優しかった。俺の事を本気で心配してるのが伝わった。


「辛かったらお前頼るわ」


千尋は嬉しそうに応援席に戻っていった。

簡単に口に出したこの言葉。この言葉は後に、俺にとって忘れられない言葉となる。


体育大会も終わり、

結果は惨敗。

優勝なんて、到底辿り着きそうになかった。


白井先生は頑張って土だらけの俺たちに、


「こんなに笑った体育大会はないよ!佐藤くんの、リレーで足をつるっていう事故は、ホントに面白かった。笑いの方では優勝あげたいな。」


すごく嬉しかったし、この先生に優勝をプレゼントしたいって本気で思えた。


体育大会が終わった。

先生のおかげか、最後はしんみりする事もなかった。

みんな笑っていた。


香奈を駅まで送ってる途中、俺は決心した。


「別れよう」


突然すぎて彼女も戸惑っていた。

別に元カレと会っていたからじゃない。

好きな子ができたわけでもない。


「元カレの事だったら謝るから、別れないで。お願い。」


香奈は必死だった。

俺は無言で帰った。


携帯が一晩中ずっと鳴り続けた。

俺はそれでも電話には出なかった…


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