Misunderstanding
俺たちが通ってる学校は、
文化祭と体育大会が夏休み明けてすぐにある。
文化祭当日、中学の友達とバンドをやっていた俺は、先輩達のバンドが気になって仕方がなかった。
先輩達はかっこよくて、
俺はこの文化祭で来年絶対バンドをしたいって思った。
バンド以外に特に見るものがなかった俺は、香奈と一緒に空いていた学習室でサボった。
「やめろって!先生来るかもしんないじゃん!」
「多分…来ないから大丈夫!」
2人でくっついて話してた。キスもした。
そして突然香奈から言われた事。それは、
「バンドやめて?」
えっ?
何で?
頭が混乱した。
理由を聞くと、一緒に居る時間が少なくなるからっていう事だった。
大好きな仲間とやってたし、何より同じ高校の新しいメンバーで来年文化祭ライブをしたいって思ってた俺には、すごく辛かった。
「バンドはやめらんない。」
「何で?一緒に居たくないの?」
「居たいよ?居たいけど…」
ピーンポーン
校内アナウンス。
文化祭のエンディングの為に体育館に集まれっていうアナウンスだった。
「行こう?」
香奈に言われて体育館に向かった。
今日の帰り、バンドの話をしよう。話せば分かって貰えると思った。
キーンコーンカーンコーン
文化祭が終わった。
周りを見渡すけど、香奈はいない。
「ねぇ!香奈知らない?」
「香奈なら終わった途端走って帰ったよ!」
優子がにやにやしながら答えてくれた。
言い損ねた。
電車の関係で急いだんだろう、夜になればまた電話かメールが来るって、そう思ってた。
家に戻った俺は、携帯を確認。香奈からの連絡はない。
いつもなら連絡がある。
些細な事でも連絡してくれる、マメな子だったから。
おかしいなって思った俺は電話をした。
「もしもし!あのさ…」
「何?」
いつもと違うく感じた。
一言で言えば、冷たい。
「いや、今日のバンドの話なんだけど、香奈もやめたくないものってあるじゃん?それと一緒で…」
「香奈は、翔平がバンドよりも私を選んでくれるって信じてた。」
「いや、だからさ!」
プチッツーツー
何でだよって思った。
正直意味が分からなかった。
バンドと香奈は比べられないけど、大事なのは香奈に決まってる。
香奈が大事だった俺は、バンドのメンバーにやめるって謝った。辛かった。
バンドのみんなには、部活が忙しいって言った…
みんな部活をやりたくても我慢してる奴らばっかりなのに、俺だけが自己中心的な行動をとっているようで、ホントに辛かった。
「佐藤のやりたいようにやれ。」
リーダーはそう言ってくれた。その場ではクールを装ったが、帰りは泣きまくった。
もう戻れないなって思ったから。
「香奈!俺バンドやめたから!毎日一緒に帰れるし、土日も遊べる!」
俺は香奈にそう電話で話した。
「ありがとう。」
この時には、もう手遅れだったんだ。
俺たちの関係は、ここでもう終わっていたのかもしれない。