↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

共に鳴れ、フラグメント ― 800字掌編集 ―

復習タイム

作者: 月丘 佑
掲載日:2026/09/16

 ほのかな甘辛さに、しっとりキャベツの水分がまとわりついたかと思えば、豚肉の油の旨さと、ふやふやの薄いせんべいのような滑らかな生地が、いっぺんに押し寄せてきた。口を閉じれば、玉子味に染まる。ただし細切りキャベツが蒸し野菜としての主張を、ソースとともに繰り返しながら。二口目は、麺だった。それも、玉子と小麦粉とソースの何かで包まれている。嚙みしめれば、またキャベツがほどけて、そこにネギも加わった。うどんの場合には得られない、生地との一体感と、濃さがそこにある。平淡な三口目のはずが、突如、歯ごたえと出会う。味覚の総てが集ったかのような、悪魔的揚げ物。今度は、それだけを拾い上げる。少しふやけてはいるが、確かに食感があった。イカ天。

 コップに口をつけ、復習タイムへ入ることにした。イカにソース、小麦でできたそばの後味と相まって、水にも味があることを思い出す。すっかり水の勢いが増したところで、ヘラを握り直した。冷めてしまった舌へ、再び熱々をお見舞いしよう。そろそろ、香ばしさへ、ヘラを進めるときだ。一段と濃くなる液体調味料を、はみ出した野菜で絡めとる。露骨な焦味へと変わる前に、玉子とネギを放り込んだ。ひとしきり端を探索したところで、分厚いキャベツと対峙する。いっぱいに頬張れば、素朴でやさしい味だと思い込めるのだ。

 ヘラを手に、ただ無心で、切り分けては口へ運ぶ作業の繰り返しであっても、真っ先に四百字詰め原稿用紙が足りなくなってしまえる食べ物。きっと、チーズや餅、牡蠣なんて加われば、違った冒険が待っているに違いない。この一枚に集中したくなる意味だけはその場で考えつつ、フィニッシュが近づいてきた。細かくなった構成要素たちを、追いソースと抱き合わせにして味わい尽くす。ピッチャーからグラスへ、新鮮な飲料水を注ぎ出し、すっかり丸くなった氷と一緒に喉を潤す。気づけば鉄板の上にはソースの名残りがあるのみだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。