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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

放課後、2人きりの文芸室で善人会長は毒を吐く

作者: 雪柳オイル
掲載日:2026/04/15

先輩後輩はクソ。

私が言いたいことは、ただ1つ。

産まれた順番が早いだけで偉ぶる先輩も、それに犬のように従う後輩も、クソだということ。


「おはようございます!」

叫ぶように大声を出し、勢いよく頭を下げる野球部の1年生。

それに対し、偉そうな顔をして「うむ」とうなずく先輩。


私は呆れながら通りすぎる。


今日から、この高校の1年生も部活をはじめる。見学じゃなく、正式に部員として。


そして同時にはじまる、クソな関係。

先輩後輩、というクソな関係。


なんで、産まれた順番が早いだけで偉ぶれるのだろう、つくづく私は思う。


かく言う私も1年生。

けど、私はカゲに徹しているから、そんなクソな関係は存在しない。部活にも入っていないし。


「げっ」

『ある先輩』が目に入ってしまい、思わず嫌そうな顔をしてしまう。


「おはよう。今日もいい1日にしようね」

あれは、3年生の生徒会長。

ニコニコと笑み、1年生に声をかける。

『善人』と周りから思われている、生徒会長の女子。

実に優しそうに。それが余計、私をうんざりさせる。

「はいっ」

何も知らず、1年生の女子は笑顔で返す。


まーたやってるよ、と横目に見ながら、私は無言で通りすぎる。




放課後。

「あー、だるっ。会長とかマジだるいわー」

ケッ、と会長、生徒会長。


『善人』と周りから思われている、生徒会長のアオグ先輩。


放課後の文芸室で、アオグ会長は毎日毒を吐く。


本が文芸室にはたくさんある。

しかし、今は文芸部は活動していなくて、誰も使っていない。

それを聞いたとき、私はウキウキしたというのに。1人きり、本屋にも図書室にもない本があるかも、と胸を踊らせたというのに。


入学して初日、アオグ会長が1人きりの文芸室で毒を聞いてしまったのが運の尽き。


「会長とかマジで誰か代わってくれないかなー。3年生とさマジでいい子しないとキツイし、後輩たちは頼ってきやがるし、マジで疲れる」

「善人なんでしょ」

「そ、皆の前では善人」

「じゃ、いいじゃないですか」

「生徒会長部とかないかなー、毎日生徒会長が変わる奴。アタシは顧問でいいや、内申にも問題なし。最高じゃね?」

あってたまるか、そんな部活。


私は本を読みながら適当に返す。

先輩後輩がだるいのもあるし、なんかこのぐーたら会長に真面目に返したくなくて。


「で、何で何も部活に入ってないのかなあ? 私といるのが嫌なんじゃなかったっけ?」

ニヤニヤ、と笑いかけてくる。


「…知りません」

「んー? 聞こえんなー?」

楽しそうな顔をしてくる。


『会長の毒に付き合うのは嫌です。仕方ないけど何か部活に入ります』

と、つい前に言ってしまった。帰宅部に入りますとか言えばよかった。


「アタシのことが好きなんでしょー?」

「大嫌いですよ、善人な会長も毒吐きの会長も」

「えー?」




部活に入らなくても、放課後になったらすぐに家に帰ればいい。それか、図書室に行けばいい。


そうすればいい、それだけなんだけど。


でも、なんでだろう。

先輩の毒を気持ちよく感じてしまう。

善人ぶる生徒会長が2人きりのときだけは、毒を吐いてくれるから、かもしれない。


ありがとうございました。

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