第7話 王の改革
それから数週間、レオンハルトは杉山の指導のもと、現代日本について猛勉強した。
スマートフォンの使い方、SNSの仕組み、民主主義の基本、そして何より「支持率」という新たな王権の指標について。
ある日、経済政策会議で閃きが訪れた。
「諸君、私は気づいた」
レオンハルトはゆっくりと立ち上がった。
「この『資本主義』というものは、我がアルカディアの封建制度と根本的に変わらぬ。強者が富を蓄え、弱者が苦しむ」
大臣たちが呆れた顔をした。また中世の話か、と。
「しかしだ」レオンハルトは続けた。
「中世と違う点がある。それは『機会』だ。アルカディアでは、農民の子は永遠に農民だった。しかしここでは、どんな生まれでも、教育と努力で這い上がれる」
彼はスクリーンに資料を映し出した。
杉山が深夜まで手伝って準備したものだ。
「故に我が――私の提案はこうだ。『新生アルカディア構想』と名付けよう。すべての子供に平等な教育機会を。地方には、インターネットという魔法の鏡を通じて、都会と同じ知識を。そして高齢者には、かつての王国の長老のように敬意とケアを」
室内が静まり返った。すると、経済産業大臣が拍手を始め、他の大臣たちも続いた。
「総理、それは素晴らしいビジョンです」
「ただし、財源は?」と財務大臣が現実的な質問を投げかけた。
レオンハルトは王としての知恵を働かせた。
「かつてアルカディアでは、戦争の前に必ず戦費を確保した。ならば、我々の『戦い』――少子化と地域格差との戦い――にも、特別な財源が必要ではないか」
「消費税増税の代替案として、『未来投資税』という名目ではどうでしょうか」と杉山がささやいた。
「よかろう!その名は『未来への盾税』としよう!」
「『盾税』はさすがにやめましょう、総理……」




