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中世王の現代改革記  作者: ぶっくん


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第1話 王様、内閣総理大臣になる

アルカディア王国の王、レオンハルト三世は、最後の息を引き取る瞬間、天井のフレスコ画に描かれた天使たちがなぜか着物を着ていることに気づいた。

次の瞬間、彼は激しい頭痛とともに目を覚ました。


「陛下!陛下!緊急閣議が始まります!」


耳元で聞き慣れない言葉が響く。

レオンハルト――いや、今は獅子野春人という名の日本の内閣総理大臣――は、巨大な黒い机の上にうつ伏せさになっていた。

頬には議事録の紙の跡がくっきりと刻まれている。


「何たる無礼者!王の面前で――」


「総理、夢を見ていたのですか?『王』なんて言葉、もう使わないでくださいね」


目の前に立っていたのは、鋭い目つきの三十代半ばの男性。

名札には「内閣官房秘書官 杉山健一」と書かれている。

この男、どうやら自分の――獅子野春人の――右腕らしい。


「杉山よ、我が――私の王国はどうなった?」


「王国?ああ、支持率のことですか?先月の世論調査で28%まで下落しました。


『経済政策が中世並み』というコメントがトレンド入りしています」


レオンハルトの頭の中には、2つの記憶が渦巻いていた。

1つは剣と甲冑、騎士と農民、税の取り立てと領地争いの中世の記憶。

もう1つは経済指標と支持率、国会答弁とマスコミ対策、スマートフォンとSNSの現代の記憶。


「閣議に遅刻です、総理」


杉山に引っ張られるようにして総理大臣執務室を出ると、そこは信じられない光景だった。


魔法のように動く扉(自動ドア)、壁に埋め込まれた動くモニター、そして短いスカートをはいた若い女性たち(官僚たち)が書類を持って駆け回っている。


「これは……魔術の館か?」


「総理、また変なこと言い出しましたね。これは中央省庁の庁舎です。さあ、エレベーターです」

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