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第三話 冒険者ギルド


都市ガルンディアの城壁は、

テッドの想像よりもはるかに高かった。


石で築かれた壁が、

空を切り取るようにそびえている。


門の前には、

人、人、人。


商人。

傭兵。

冒険者。


鎧の擦れる音と、

怒鳴り声が入り混じる。


テッドは、

思わず立ち止まった。


――場違いだ。


そう感じる。


それでも、

足を動かす。


門をくぐると、

別の世界だった。


石畳の道。

並ぶ店。

行き交う人々。


村とは、

すべてが違う。


テッドは、

人にぶつかりながら進んだ。


目指す場所は一つ。


冒険者ギルド。


大きな木製の建物だった。


扉を開けると、

熱気が押し寄せる。


酒の匂い。

汗の匂い。


壁には、

無数の紙が貼られている。


依頼書だ。


※依頼書

冒険者が受ける仕事の内容が

書かれた紙。


カウンターの前に、

列ができている。


テッドは、

最後尾に並んだ。


周囲の視線が、

突き刺さる。


子供が一人。

しかも剣一本。


浮いていた。


順番が来る。


受付の女性が、

無表情で言う。


「登録かい?」


「は、はい」


名前と年齢を伝える。


「スキルは?」


テッドは、

ごくりと唾を飲む。


「剣技……レベル1です」


一瞬、

間があった。


周囲から、

小さな笑い声。


受付の女性は、

淡々と紙を書く。


「最低ランク、

Fだよ」


「これが冒険者証」


木札を渡される。


それだけだった。


「仕事は、

壁の掲示板から選びな」


テッドは、

うなずいた。


掲示板を見る。


どれも、

よく分からない言葉ばかりだ。


「スライム討伐」


「草原狼三体」


「洞窟調査」


比較的簡単そうな、

スライム討伐を選ぶ。


※スライム

粘液状の弱い魔物。


依頼書を剥がす。


そのとき。


「おい、坊主」


声をかけられた。


振り向くと、

三人組の冒険者。


剣士。

弓使い。

魔法使い。


「一緒に行くか?」


テッドは、

戸惑った。


「で、でも……」


「スライムだろ?」


「数が多い」


「足手まといでも、

盾くらいにはなる」


テッドは、

うなずいた。


ギルドを出て、

草原へ向かう。


風が強い。


少し歩くと、

粘ついた音が聞こえた。


ぷるぷると動く、

青い塊。


スライムだ。


「行くぞ!」


剣士が走る。


剣を振り下ろす。


一体、

真っ二つ。


次の瞬間。


地面が、

うねった。


十体以上、

現れた。


「聞いてねえぞ!」


魔法使いが、

火球を放つ。


数体が溶ける。


だが、

数が減らない。


弓使いが、

後退する。


「多すぎる!」


剣士が叫ぶ。


「撤退!」


三人は、

背中を向けた。


テッドは、

取り残された。


足が、

すくむ。


スライムが、

じわじわ迫る。


――逃げる?


だが、

背中を向ければ、

飲み込まれる。


テッドは、

剣を構えた。


「うああっ!」


突き刺す。


一体、

潰れる。


横から、

体当たり。


テッドは、

転んだ。


顔に、

粘液がかかる。


気持ち悪い。


だが、

剣を振る。


斬る。

突く。

斬る。


腕が、

重い。


息が、

苦しい。


それでも、

止まらない。


最後の一体が、

弾けた。


テッドは、

膝をついた。


全身が、

泥まみれだ。


頭の中に、

文字が浮かぶ。


――剣技レベル2


テッドは、

泥だらけの顔で、

笑った。


最弱でも、

進める。


そう、

初めて思えた。


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