再開
翌日、雪宮は下校に使った道を登校してバスの待機所を確認すると、置いていた折り畳み傘が無くなっていた。
あの時の少女が持っていったのだろうと雪宮は考え、気にせず登校した。
「智徳。今日暇か?」
6時間目の授業が終わり、放課後に雪宮に話しかけたのは、黒髪の男子平均より少し長いクラスメイトの野川大和だ。
雪宮は親からの連絡を確認するため、スマホの連絡アプリを開いた。
すると、一件雪宮の母から連絡が来ていた。
『今日は卵が安いから変えるだけ買ってきてね』
雪宮は「了解です」とだけ送り、鞄を持って席を立った。
「悪い。今日おつかい頼まれたからまた今度な」
「そうか。じゃあまた明日な」
「おう」とだけ言い、雪宮は教室を出て廊下を歩いた。
下駄箱から靴に履き替え、学校の門から外に出て横断歩道でくるまが来てないか確認して最寄りのスーパーに向かった。
スーパーに入った雪宮はカゴを持って安売りされていた卵のパックに手を差し伸べると、横から同じ卵のパックを取ろうとしていた人の手に当たった。
雪宮は咄嗟に横の人に謝ろうと見たが、横にいた人は昨日雨が止むのを待っていたあの少女と同じブレザーを着ている女子が立っていた。
その女子はさらさらとした黒髪のストレートヘアーで穏やかな黒色の目をしていた。
女子は雪宮の顔を見て、「あっ」と驚いたが、少し微笑んだ。
「あの時はありがとうございます。おかげ様で速く帰れました」
「ん?……あーあの時の子か」
雪宮はあの時雨であまり顔や髪を見えなく、最初は誰か考えたが、すぐあの時雨が止むのを待っていた少女だということを思い出した。
少女が元気そうで雪宮は内心安心した。
「そちらの卵は譲ります。他にもあるので大丈夫です」
「そ、そうか。じゃあありがたく貰っておく」
少女の言葉通りに雪宮は卵パックをカゴに入れ、その少女は他の卵パックを手にしてカゴに入れた。
そして、少女が肩にかけてあった学園の紋章が記されている肩掛け鞄を開け、手に取ったのは昨日雪宮が待機所の席に置いた折り畳み傘だった。
「……別に返さなくてもいいんだけど」
「借りた物はちゃんと返すのは常識ですよ」
「どうぞ」と折り畳み傘を渡しに来たことで、雪宮は断れず素直に受け取った。
雪宮はふと、少女が持っているカゴの中を確認すると多くの食材や調味料が入っていて、とても1人の少女が持ち帰る量ではない。
すると、少女は「では、失礼します」と言って去っていった。
レジを通し、商品をレジ袋に入れてスーパーから出た雪宮だが、先程の少女が両手で商品が入っている袋を持っている。
だが、少女の足取りは悪く今にも転びそうだったのを見た雪宮は少女から1つ袋を持った。
少女はきょとんとした顔をして雪宮を見た。
「別に奪おうとしない。ただ、転びそうだったからお前の家まで持っていこうと考えただけだ」
「そうですか。申し訳ありません」
少女は謝ったが、小声で「ありがとうごさいます」と言ってきたが、雪宮は「大丈夫だ」と言い、歩道を歩き始めた。
「そういえば、お前の名前は?」
雪宮は足を止め、後ろを振り向いて少女の名前を聞いた。
「……天森のどかです」
「そうか。俺の名前は雪宮智徳だ」
お互いの名前を言い、雪宮は少女こと天森のどかの後ろを歩き、天森の家まで歩いた。
天森の家に着き、雪宮は天森が買った商品の袋を渡し、帰ろうとしたが、天森の提案に雪宮は足を止めた。
「もし、よろしければ夕飯食べていきませんか」
「……え?」




