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4話 伸び悩む大学時代

国体で優勝したユリカは陸上の名門である三河大学で過ごす。

慣れない上下関係や、故障等に悩まされ、ライバル達は好記録を出し、焦る。

そんな中、就職先に選んだ意外な先とは?

国体で好記録を出したユリカはバリバリの体育会系で東海地区の名門、三河大学に入学した。同じ歳の智子は関東の名門秋津大学へ進学した。


島をでて、寮生活をすることになったユリカは先輩後輩の厳しさを知ることに。

「ここはインターハイの実績とか、日本選手権の実績とか関係ないから。一年は風呂掃除、洗濯やってもらう。 食事や風呂も上級生が食べ終わってから食べてね」


専門が砲丸投のふくよかな4年が1年に言い放った。この選手は東海インカレにかろうじて出場できるレベルで、エリートではなかった。ユリカはショックを受けた。

島の寺西高は県立で上下関係はほとんどなく、和気あいあいとしていて、大山田の指導力で、全国レベルの選手が育ったから、このルールは理解できなかった。

「ユリカさん。世界陸上に出たからって、風呂掃除や洗濯は仕事だから。例外ないからよろしく」寮生活は地獄だった。


とはいえ、トラックでは実力は先輩後輩関係なく、スタートでユリカに勝てる者はいないし、100mも一番だった。


そして、秋になり、大学の全国大会である、全日本インカレを迎えた。試合前日秋津大学に進んだ智子と会場の国立競技場で再会した。


「ユリカ、久しぶり!」

「智子。元気?」

「うん。調子もいいよ。ユリカは?」

「え、まぁまぁ、かな」「何まぁまぁって。三河はどう?楽しい?」

「え? どうだろう。うん、秋津は?」

ユリカがうろたえると、

「最高。先輩優しいし、設備もいい。充実してるよ。あっ、時間だ。またね」

智子は行ってしまった。


ユリカは100メートルで優勝して、一年生チャンピオンになった。しかしタイムは高校時代より遅く、12秒を切れなかった。高校時代のトレーニングの貯金で走っているようなもので、大学に入ってから伸びていなかった。大学は筋トレの設備は充実しているが、ボディビルダーを目指すかのような量を課され、逆に体が重くなったような感覚があった。


そして冬に無理がたたり、左足を疲労骨折してしまった。


2年になり、ケガの影響で、全日本インカレは予選落ち。同じ大会で、秋津大学の智子は800メートルで日本新記録を樹立。智子の高校の後輩で、ユリカと一緒に世界陸上の4×100メートルリレーに出場した未央も200メートル、400メートルで記録を伸ばしていた。


3年になり、ケガから回復したものの、フォームが崩れたユリカはパフォーマンスが戻らなかった。全国大会には国体しかでれず、しかも予選落ちだった。


4年になっても調子は上がらず、実業団から声がかかることはなかった。寮ではユリカが先輩にやらされた風呂掃除や洗濯を同じように一年生にやらすようになっていた。

厄介なことに、世界陸上に出たという実績のある先輩だから、尚更後輩は指示に従った。

ユリカは体育学部なので、保健体育の教員免許を取ろうとしていた。


そこで、教育実習に母校の寺西高校に戻った。陸上部の練習にも顔を出した。


大山田がユリカを部員たちに紹介した。


「みんな。世界陸上ってあったろう? あれにウチの高校在学中に出た伝説の先輩がきたぞ。ユリカ君だ!」

大変な拍手とピュアな高校生たちの温かい目にユリカは驚いた。教員実習中、毎日陸上部の練習に参加し、後輩を指導した。ユリカは素直に聞いてくれるのが嬉しくて楽しかった。


終盤に差し替えり、大山田がユリカに話しかけた。

「就職はどうするんだ? 教員になるならウチでやらないか。俺もそろそろ潮時だから」

「はい。是非」


ユリカはトップアスリートの道を諦めて、母校で指導しながら、競技は続けることにした。そして教員免許を取り、大学1年時のみ全国のタイトルを取り、高校時代の世界陸上のような国際大会にも縁なく、フェードアウトするかのようにいつのまにか三河大学を卒業した。 


つづく


登場人物ユリカ 群馬県でサロン経営するセラピスト 高校時代世界陸上に出場

智子 埼玉県でサロン経営 ユリカの友人 陸上教室も行う

大山田 寺西高校教諭 ユリカの恩師

未央 ユリカの現役時代のライバルで智子と同じ高校に所属



大学を卒業したユリカは地元に戻り、新たな生活を送る。そこには思いもよらぬものが待ち受けていた。

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